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経営事項審査(経審)とは|P点計算と点数アップの実務ガイド

経営事項審査(経審)とは|P点計算と点数アップの実務ガイド

経営事項審査(経審)とは、国や地方公共団体などが発注する公共工事を元請として直接請け負おうとする建設業者に、建設業法第27条の23で受審が義務付けられている法定の審査制度で、会社の経営規模・経営状況・技術力・社会性等を全国統一の基準で数値化し「総合評定値(P点)」として通知します。公共工事の入札参加資格ランク(A〜Eの格付)に直結し、施工管理者の1級資格やCCUS登録が「Z点・W点」に加点されるため、キャリアと経営がつながる制度です。

「経審のP点をどうやって上げればよいか」「令和8年(2026年)7月の改正でCCUSや自主宣言はどう変わったのか」「1級施工管理技士を取ると会社の点数はどれだけ上がるのか」――こうした疑問は、建設業許可を持ち公共工事の元請を目指す会社と、そこで働く施工管理者双方の共通課題です。

本記事では、経営事項審査(経審)の仕組みをP点計算式・5評点の中身・令和8年改正・申請フロー・電子申請JCIP・点数アップの実務戦略の順で整理し、施工管理者のキャリア(1級技士・監理技術者講習・登録基幹技能者)との接続まで踏み込みます。会社の経営企画・総務・営業だけでなく、現場側の判断材料としても使える1本にまとめました。

  1. 先に結論
  2. この記事で分かること
  3. 経営事項審査(経審)とは|3審査+P点評価の全体像
    1. 経営事項審査の定義と法的位置づけ
    2. 3つの審査=経営状況分析+経営規模等評価+総合評定値請求
    3. 受審が必要な建設業者と有効期限
    4. 経審が公共工事の入札参加資格に直結する構造
  4. 総合評定値P点の計算式とウェイト
    1. P点の計算式:P = 0.25X1 + 0.15X2 + 0.2Y + 0.25Z + 0.15W
    2. 平均は700点、A〜Eランクの目安
  5. 5つの評点:X1・X2・Y・Z・Wの中身
    1. X1(完成工事高評点)
    2. X2(経営規模評点:自己資本額と平均利益額)
    3. Y(経営状況分析評点:財務8指標)
    4. Z(技術力評点:技術職員数と元請完成工事高)
    5. W(社会性等評点:8〜10項目)
  6. 令和8年(2026年)7月改正の4つのポイント
    1. ① 建設技能者を大切にする企業の自主宣言:W+5点
    2. ② CCUS就業履歴の配点引き下げ
    3. ③ 建設機械保有:不整地運搬車・アスファルトフィニッシャ追加
    4. ④ 社会保険未加入減点の廃止
  7. 経審の申請フロー6ステップ
    1. ① 決算変更届(毎事業年度終了後4ヶ月以内)
    2. ② 経営状況分析の申請
    3. ③ 経営規模等評価の申請
    4. ④ 総合評定値の請求
    5. ⑤ 結果通知(経営規模等評価結果通知書+総合評定値通知書)
    6. ⑥ 入札参加資格審査の申請
  8. 手数料と費用の目安(参考情報)
  9. 電子申請(JCIP)の使い方
    1. JCIPの概要と対応状況
    2. 必要な準備:GビズIDプライム
    3. 電子申請と紙申請の使い分け(実務判断)
  10. 点数アップの実務戦略:X/Y/Z/W別
    1. X評点(完成工事高・経営規模)の点数アップ
    2. Y評点(経営状況)の点数アップ
    3. Z評点(技術力)の点数アップ
    4. W評点(社会性等)の点数アップ
    5. 業種別の点数アップ優先順位(イメージ)
  11. 経審点数とキャリア:施工管理者にとっての意味
    1. 1級施工管理技士はZ評点の主力
    2. 監理技術者講習の位置づけ
    3. 建設業経理士1級・2級の位置づけ
    4. 登録基幹技能者制度
  12. ケース別の点数アップ優先順位(4層)
    1. ケース① 大手ゼネコン(P点900点以上狙い)
    2. ケース② 中堅ゼネコン・準大手サブコン(P点800点前後狙い)
    3. ケース③ 中小地場建設業(P点650〜750点狙い)
    4. ケース④ 新規・スタートアップ(初回受審)
  13. よくある失敗5パターン
    1. 失敗① 決算対策と経審対策を分離してしまう
    2. 失敗② 業種振替の要件を誤解する
    3. 失敗③ 技術者名簿を最新化していない
    4. 失敗④ 建退共の加入手続きが決算日後になっている
    5. 失敗⑤ 令和8年改正の適用開始時期を誤解する
  14. よくある質問(FAQ)
    1. Q1. 経審は毎年必ず受けなければならないですか?
    2. Q2. 総合評定値P点の平均は何点ですか?
    3. Q3. 1級施工管理技士を取ると経審のP点は何点上がりますか?
    4. Q4. 建設業経理士は何点加点になりますか?
    5. Q5. 令和8年(2026年)7月改正で自主宣言はどう加点されますか?
    6. Q6. CCUS就業履歴の加点は令和8年改正でどう変わりますか?
    7. Q7. 経審の申請から結果通知まで何ヶ月かかりますか?
    8. Q8. 経審のP点を短期で上げるにはどれから手をつけるべきですか?
    9. Q9. 経審は自社でできますか?行政書士に依頼すべきですか?
    10. Q10. 経審の結果通知に不服がある場合はどうしたらよいですか?
    11. Q11. 経審のP点はいつから公表されますか?
    12. Q12. 建設業経理検定と建設業経理士の違いは何ですか?
    13. Q13. 経営事項審査と入札参加資格審査は違うものですか?
    14. Q14. 2024年問題(時間外労働上限規制)は経審に影響しますか?
    15. Q15. 経審のP点は将来的にどう変わっていきますか?
  15. まとめ
    1. 年収・転職でお悩みの方へ

先に結論

  • 経営事項審査(経審)は建設業法27条の23に基づく法定審査で、公共工事を元請として直接請け負う建設業者に受審義務がある。有効期限は審査基準日から1年7ヶ月で、途切れると公共工事の元請ができない
  • 総合評定値P点はP = 0.25X1 + 0.15X2 + 0.2Y + 0.25Z + 0.15W で計算され、業種区分ごとに算出される。全国平均は概ね700点前後、A〜Eの5段階格付につながる
  • 5つの評点のうちX1(完成工事高)とZ(技術力)が各0.25でウェイト最大。次いでY(経営状況・0.2)、X2(経営規模・0.15)、W(社会性等・0.15)
  • 令和8年(2026年)7月1日以降の申請から改正:建設技能者を大切にする企業の自主宣言で+5点/CCUS就業履歴の配点引き下げ(全工事15→10点・公共のみ10→5点)/不整地運搬車とアスファルト・フィニッシャの加点対象追加/社会保険未加入減点の廃止
  • 施工管理者の1級資格・監理技術者講習受講・登録基幹技能者・建設業経理士はZ点/W点の主力加点源。施工管理者のキャリアが会社の経審点数を通じて公共工事の受注に直結する構造

この記事で分かること

  • 経営事項審査(経審)の法的位置づけと受審が必要な建設業者の範囲
  • 総合評定値P点の計算式と5つの評点X1・X2・Y・Z・Wの中身
  • 平均点700点前後の目安とA〜Eランク格付との関係
  • 令和8年(2026年)7月1日改正の4つのポイントと自主宣言・CCUS配点の変更
  • 経審申請の6ステップフロー、手数料、有効期限、電子申請JCIP
  • X/Y/Z/W別の点数アップ実務戦略と、施工管理者のキャリア(1級技士・監理技術者講習・登録基幹技能者・建設業経理士)との接続
  • ケース別(大手・中堅・中小・スタートアップ)の点数アップ優先順位と、よくある失敗5パターン
  • 経審の結果通知の見方、公共工事等級格付(A〜E)と入札参加資格審査の関係

経営事項審査(経審)とは|3審査+P点評価の全体像

経営事項審査(経審)は、公共工事の入札参加資格の前提となる法定審査です。建設業許可・入札参加資格審査と組み合わさって、公共工事の元請受注の入口を規律しています。

経営事項審査の定義と法的位置づけ

経営事項審査とは、建設業法第27条の23 に基づき、国・地方公共団体・政府関係機関などが発注する公共工事を元請として直接請け負おうとする建設業者に受審が義務付けられている法定審査です。会社の経営規模・経営状況・技術力・その他の客観的事項 を全国統一の基準で数値化し、「総合評定値(P点)」として通知します。

「客観的事項の審査」と位置づけられており、発注者の主観評価(工事成績評定など)と組み合わせて公共工事の入札参加資格ランクが決まる仕組みです。詳細は国土交通省 関東地方整備局「経営事項審査について」を参照してください。

3つの審査=経営状況分析+経営規模等評価+総合評定値請求

経審は3つの手続きの総称です。

審査 主体 内容 評点
経営状況分析 国土交通大臣の登録経営状況分析機関(民間) 財務諸表8指標から経営状況を評価 Y
経営規模等評価 許可行政庁(国土交通大臣または都道府県知事) 完成工事高・自己資本・技術者・社会性等を評価 X1・X2・Z・W
総合評定値請求 許可行政庁 Y・X・Z・Wを統合してP点を算出 P

経営状況分析はワイズ公共データシステム、建設業情報管理センター(CIIC)などの登録経営状況分析機関に申請します。経営規模等評価と総合評定値請求は建設業許可の許可行政庁(大臣許可なら国土交通省地方整備局/知事許可なら都道府県)に提出します。

受審が必要な建設業者と有効期限

公共工事を元請として直接請け負おうとする建設業者は必ず受審 します(下請専門なら不要)。

  • 審査基準日 は原則として直前の事業年度末日(決算日)
  • 有効期限は審査基準日から1年7ヶ月(例:3月末決算なら翌年10月末まで)
  • 有効期限が切れると公共工事の元請入札に参加できなくなるため、毎年決算後に受審するサイクル が実務標準

「毎年受審が必須ではないが、公共工事の元請を継続する会社は毎年受審するのが実務」というのがポイントです。

経審が公共工事の入札参加資格に直結する構造

経審結果はそれ単体で公共工事の受注資格を与えるものではなく、発注者ごとの「入札参加資格審査」に添付する客観データ として使われます。

  • 経審のP点+発注者の主観点(工事成績評定等)→ 発注者ごとのランク(A〜E等)が決まる
  • 例:東京都では建築一式のCランクを狙うには経審P点700点前後が目安

発注者ごとに評価方法や必要点数が異なるため、狙う発注者の入札公告・格付基準を必ず確認します。

内部リンク:建設業許可の取り方|要件・費用・行政書士報酬とキャリア接続の実務

総合評定値P点の計算式とウェイト

経審の中心となる指標がP点(総合評定値)です。5つの評点を加重平均して算出します。

P点の計算式:P = 0.25X1 + 0.15X2 + 0.2Y + 0.25Z + 0.15W

各評点のウェイトは以下です。

評点 内容 ウェイト
X1 完成工事高評点 0.25(最大)
X2 経営規模評点(自己資本・利払前税引前利益) 0.15
Y 経営状況分析評点(財務8指標) 0.20
Z 技術力評点(技術職員数・元請完成工事高) 0.25(最大)
W 社会性等評点 0.15
合計ウェイト 1.00

X1(完成工事高)とZ(技術力)が各0.25でウェイト最大、次いでY(経営状況)が0.2です。経営規模と技術力を上げるほど公共工事のランクが上がる 設計と理解できます。

計算式は制度設計時点で「各評点700点=平均、P点700点=平均」になるよう調整されており、上限・下限のレンジは告示改正・分布実態で変動 します。実務上は理論値よりも、応札予定の発注者の格付基準(P点区分)を個別確認 することが重要です。

平均は700点、A〜Eランクの目安

一般的なP点の目安レンジは以下です(複数の行政書士事務所解説サイト整理値。発注者による格付は個別公告で異なる)。

P点帯 一般的な評価 参考格付イメージ
900点以上 優秀 大規模公共工事Aランク層
800点台 よい Aランク〜Bランク上位
700点台 平均・普通 Bランク〜Cランク
600点台 やや低い Cランク〜Dランク
500点台以下 改善余地大 Dランク〜Eランク

格付の実際のライン は発注者・年度・工事種別で異なります。代表例として、都道府県・政令市の資格審査要領では概ね900点以上を最上位ランク、600点前後を下位ランクの目安とする運用が多く見られますが、境界値・区分数は個別発注者の要領で規定 されます。応札予定の発注者の入札参加資格審査基準を必ず個別確認してください。

「まず700点」「公共工事の実質的な参加ラインは概ね600点以上」というのが実務感覚として一般的に語られます。

5つの評点:X1・X2・Y・Z・Wの中身

P点を構成する5つの評点それぞれの中身を整理します。

X1(完成工事高評点)

業種区分ごとの直前2年または3年平均完成工事高 を42段階の点数表にあてはめて評価します。

  • 建設業許可の29業種区分ごとに算出されるため、業種別の実績が重要
  • 2年平均・3年平均のいずれか有利な方を選択可能(業種振替 で特定業種の平均完成工事高を積み増す実務も一般的)
  • 完成工事高が大きいほど点数が上がるが、業種振替は同種の工事しか認められない ため注意

X2(経営規模評点:自己資本額と平均利益額)

自己資本額と平均利益額(EBITDA的な指標:利払前税引前利益)の平均値 を評価します。

  • 自己資本額 :純資産の部の合計(払込資本+内部留保)
  • 平均利益額 :営業利益+減価償却実施額の直前2年平均

自己資本比率を高めるための増資や、負債圧縮による自己資本比率改善 が中長期の点数アップに効きます。

Y(経営状況分析評点:財務8指標)

財務諸表から8つの経営指標 を算出し、経営状況を評価します。登録経営状況分析機関に外部委託して算出する部分です。

指標区分 指標例
負債抵抗力 純支払利息比率/負債回転期間
収益性・効率性 総資本売上総利益率/売上高経常利益率
財務健全性 自己資本対固定資産比率/自己資本比率
絶対的力量 営業キャッシュフロー/利益剰余金
  • Y評点は数式で連続的に算出されるため、支払利息削減/負債減少/利益追求 が直接効く
  • 決算対策で純資産増強・借入金圧縮を進めることでY点は改善しやすい

内部リンク:実行予算作成と工事原価管理の実務|4費目内訳と現場での使い方

Z(技術力評点:技術職員数と元請完成工事高)

技術職員数評点元請完成工事高評点 の合算で構成されます。ウェイトはP点全体の0.25で最大級です。

技術職員数評点 は業種区分ごとに以下の点数配分(原則)で算出されます。

資格・区分 加点
1級監理技術者資格者(1級施工管理技士等)+監理技術者講習修了 6点
1級技術者資格者(1級施工管理技士等) 5点
監理技術者補佐 4点
基幹技能者(登録基幹技能者) 3点
2級技術者資格者(2級施工管理技士等) 2点
その他技術者・実務経験者 1点

1級施工管理技士+監理技術者講習受講で1人あたり6点 になる仕組みが、施工管理者のキャリアと経審の接続点です。

  • 監理技術者講習を受講すると1級加点が5点→6点に上がる ため、1級保有者には受講のインセンティブが強い(5年ごとの受講が必要)
  • 登録基幹技能者は1人3点加点 され、専門工事会社にとって重要な加点源
  • 業種区分ごとに算出されるため、複数区分の1級資格を持つ技術者は複数業種で加点される

内部リンク:施工管理技士1級と2級はどちらを取るべきか|経審加点とキャリア別の判断登録基幹技能者のメリットとCCUSレベル4接続|経審Z1加点3点の実務

元請完成工事高評点 は業種区分ごとの元請完成工事高(発注者から直接請け負った工事の売上)を42段階の点数表にあてはめて算出します。

W(社会性等評点:8〜10項目)

W評点は社会性・地域貢献・法令遵守の観点 から加点減点する枠で、令和8年7月改正以降は次の項目で構成されます。

W区分 内容 主な加点/減点
W1 建設工事の担い手の育成・確保(建退共加入・退職一時金・企業年金・法定外労災・CCUS就業履歴・若年技術者確保・技術能力向上・建設技能者を大切にする企業の自主宣言 加点主体
W2 建設業の営業継続の状況 加点
W3 防災協定の締結(自治体との地域防災協定) 加点
W4 法令遵守(建設業法違反等による指示・営業停止処分の減点) 減点主体
W5 建設業の経理の状況(監査の受審・公認会計士・建設業経理士等の人数 加点
W6 研究開発の状況(研究開発費の平均額) 加点
W7 建設機械の保有状況(不整地運搬車・アスファルトフィニッシャ含む11機種 加点
W8 国際標準化機構による登録の状況(ISO9001・ISO14001・エコアクション21 加点
  • 建退共(建設業退職金共済制度)の加入で15点加点 が最大級(W1)
  • 建設業経理士1級で+1点/2級で+0.4点 など建設業経理士は複数人でW評点(W5「建設業の経理の状況」)の加点積み上げが見込める仕組み
  • ISO9001とISO14001の両方登録で満点
  • 令和8年7月からは社会保険未加入減点は廃止 され、代わりに許可要件で担保される構造に変わりました

内部リンク:建設業経理士の難易度とキャリア|経審Y点・W点との接続と勉強法

令和8年(2026年)7月改正の4つのポイント

令和8年7月1日以降の申請から適用される経審改正の主なポイントです。

① 建設技能者を大切にする企業の自主宣言:W+5点

担い手確保・処遇改善の推進策として新設された自主宣言制度 で、W評点に+5点が加算されます。

  • 建設キャリアアップシステム(CCUS)ポータルサイトで宣言を実施
  • 加点を受けるには「審査基準日(決算日)より前に宣言完了」が必須 で、申請日ではない点に注意
  • 宣言から公表まで概ね1ヶ月を要するため、決算対策と一体で早めの申請が有効

制度全体の位置づけは国土交通省 建設技能者の処遇改善に関する情報で最新版を確認してください。

② CCUS就業履歴の配点引き下げ

建設キャリアアップシステム(CCUS)の就業履歴蓄積措置 による加点は以下に変更されます。

対象 改正前 改正後
全建設工事で活用 15点 10点
公共工事のみ活用 10点 5点

引き下げ分の5点が①の自主宣言に振り替えられた形で、W評点全体の上限は概ね同水準 に維持されました。

③ 建設機械保有:不整地運搬車・アスファルトフィニッシャ追加

W7(建設機械の保有状況)の加点対象機種が9機種から11機種に拡大 されました。

  • 追加:不整地運搬車・アスファルト・フィニッシャ
  • 従前:ショベル系掘削機・ブルドーザー・トラクターショベル・ロードローラー・移動式クレーン・ダンプ(土砂運搬車)・締固め機械・大型ブレーカ等
  • 1台あたり5点加算、最大15点
  • 所有だけでなく1年7ヶ月以上のリース契約 でも加点対象

土木系の会社で機械保有戦略が経審に効く度合いが強まる改正です。

④ 社会保険未加入減点の廃止

社会保険未加入による減点項目は経審から削除 されました。理由は建設業許可の取得・更新要件に社会保険加入が既に組み込まれ、許可要件側で担保されているためです。

  • 未加入なら経審以前に許可の維持自体が難しくなる構造
  • 経審での二重評価を整理した位置づけ

改正の全体像は国土交通省「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律等の一部を改正する法律(第三次・担い手3法)」の担い手確保パッケージと連動しています。担い手3法は2024年6月公布・2025年12月12日に全面施行された制度で、経審の令和8年7月改正はその実装の一部です。

経審の申請フロー6ステップ

経審の申請は決算処理から入札参加資格審査申請まで6段階で進みます。

① 決算変更届(毎事業年度終了後4ヶ月以内)

建設業許可を取得している会社は毎事業年度終了後4ヶ月以内に決算変更届(事業年度終了届)を提出 する義務があります。経審受審の前提でもあります。

  • 財務諸表(貸借対照表・損益計算書・完成工事原価報告書等)
  • 工事経歴書
  • 直前3年の各事業年度における工事施工金額

② 経営状況分析の申請

登録経営状況分析機関 に経営状況分析を申請し、Y評点を算出してもらいます。

  • 申請書+財務諸表を提出
  • 概ね1週間〜3週間で分析結果通知書が発行される
  • 手数料はおおむね1万〜1.5万円レンジ(機関により異なる/要問い合わせ)

③ 経営規模等評価の申請

許可行政庁(国土交通大臣または都道府県知事) に経営規模等評価の申請を行います。

  • 上記②の分析結果通知書を添付
  • 完成工事高・技術職員名簿・技術者資格証・工事経歴書・社会性等の裏付資料
  • 手数料は業種数ベースで算定(次項)

④ 総合評定値の請求

経営規模等評価と同時に総合評定値の請求 も行うのが実務標準です。P点の算出・通知を受けるステップです。

  • 手数料は業種数ベースで少額加算

⑤ 結果通知(経営規模等評価結果通知書+総合評定値通知書)

行政庁の審査後、経営規模等評価結果通知書+総合評定値通知書 が交付されます。

  • 業種ごとのX1・X2・Y・Z・W・P点が明細で記載される
  • 有効期限は審査基準日から1年7ヶ月

⑥ 入札参加資格審査の申請

各発注者(国・都道府県・市区町村・独立行政法人等)に入札参加資格審査 を申請します。経審結果通知書を添付します。

  • 発注者ごとの申請時期・様式・格付方法は異なる
  • 経審のP点+発注者の主観点で格付ランクが決まる

申請から入札参加までの標準スケジュール は概ね決算後3〜6ヶ月とされ、決算月から逆算して早めに動くのが定石です。

手数料と費用の目安(参考情報)

経審の実費は業種数と分析機関で変動します。以下は主要な公開情報を集約した参考レンジで、手数料改定・機関ごとの独自価格があるため受審前に必ず最新版で確認 してください。

項目 目安レンジ 備考
経営状況分析(Y) 約1万〜1.5万円 登録経営状況分析機関により異なる
経営規模等評価(基本) 8,100円(一部行政庁 8,800円) 令和7年1月から一部改定あり
経営規模等評価(業種数追加) 業種数×2,300円 業種ごとに加算
総合評定値請求(基本) 400円
総合評定値請求(業種数追加) 業種数×200円 業種ごとに加算
合計(1業種の場合の目安) 約2万〜2.5万円 手数料のみ
行政書士報酬相場(参考) 10万〜20万円台 業種数・状況で変動/公開料金表参考
  • 手数料そのものは1業種で概ね2万円台 と大きくないが、事務作業(財務諸表整理・技術者名簿作成・裏付資料収集)が実質的な負担
  • 行政書士に依頼する場合の報酬相場は10万円台〜20万円台 が一般的(公開料金表の参考レンジ/業種数・複雑度で変動)

編集部が2026年8月中旬に、複数の行政書士事務所(首都圏中心の建設業許可・経審専門事務所5社)の公開料金表を確認した参考範囲では、経審一式(決算変更届+経営状況分析+経営規模等評価+総合評定値請求の代行)で13万円〜25万円レンジが多く見られました。個別事情(許可業種数・技術者名簿の整備状況・過去の経審履歴)で見積は大きく変動するため、複数事務所での相見積が推奨されます

電子申請(JCIP)の使い方

令和5年(2023年)1月から建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP:Japan Construction Industry electronic application Portal) が稼働しています。

JCIPの概要と対応状況

必要な準備:GビズIDプライム

JCIPを使うにはGビズIDプライムアカウント の取得が必要です。

  • GビズIDプライムは法人代表者の実印・印鑑証明書等が必要で、取得に概ね2週間程度
  • 一度取得すれば経審以外の行政手続き(社会保険手続き等)にも使える汎用ID

電子申請と紙申請の使い分け(実務判断)

  • 電子申請のメリット:郵送費削減・進捗確認が容易・記入漏れの自動チェック
  • 紙申請のメリット :既存フローの継続性・行政書士との分業しやすさ
  • 直近では電子申請への段階的な移行が推進 されており、次回改正のタイミングでは電子化前提の運用が広がる見込み

点数アップの実務戦略:X/Y/Z/W別

経審のP点を上げる実務戦略を、5つの評点ごとに整理します。

X評点(完成工事高・経営規模)の点数アップ

X1(完成工事高)

  • 業種振替の活用:許可業種のうち、実績を積みたい業種に振り替えて計上(同種工事に限る)
  • 2年平均/3年平均の有利選択:好調年を含む方を選ぶ
  • 大型案件の計上時期を意識(工事進行基準の活用)

X2(経営規模)

  • 自己資本額の増強:内部留保積み上げ・増資
  • 平均利益額(利払前税引前利益)の改善:営業利益+減価償却費のコントロール

Y評点(経営状況)の点数アップ

Y評点は財務指標8項目 で構成されるため、以下の順で効きます。

  • 借入金の圧縮 :純支払利息比率・負債回転期間・自己資本対固定資産比率に効く
  • 利益体質の改善 :総資本売上総利益率・売上高経常利益率に効く
  • キャッシュフロー改善 :営業キャッシュフローに効く
  • 利益剰余金の積み上げ :内部留保による自己資本比率改善

決算月から逆算した3〜6ヶ月の決算対策で改善余地が大きい評点です。

内部リンク:建設業の原価差異分析|実行予算vs実績のCheck→Actフローと月次原価会議

Z評点(技術力)の点数アップ

Z評点は施工管理者のキャリアと直結 します。

  • 1級施工管理技士の取得推進 :1人+5点、監理技術者講習修了で+6点
  • 監理技術者講習の受講管理 :5年ごとの受講で+1点分の底上げ
  • 登録基幹技能者の育成 :1人+3点、業種によっては複数区分で加点
  • 元請完成工事高の積み上げ :下請中心から元請直接受注へシフト

「1級施工管理技士+監理技術者講習」の組み合わせが最も費用対効果の高いZ点対策 です。

内部リンク:施工管理技士1級と2級はどちらを取るべきか|経審加点とキャリア別の判断

W評点(社会性等)の点数アップ

W評点は短期で改善しやすい枠 で、以下が定番です。

  • 建設業退職金共済(建退共)加入 :+15点(W1の主力)
  • 建設技能者を大切にする企業の自主宣言(令和8年7月〜) :+5点
  • CCUS就業履歴蓄積措置 :全工事で+10点/公共工事のみで+5点
  • 防災協定の締結 :自治体との地域防災協定で加点
  • ISO9001・ISO14001の登録 :それぞれ加点、両方で満点側
  • 建設業経理士の配置 :1級で+1点、2級で+0.4点(複数人で積み上げ)
  • 建設機械の保有・リース :11機種、1台+5点、最大15点

「まずW評点で稼ぐ」というのが中小建設業でよく採られる方針です。

業種別の点数アップ優先順位(イメージ)

業種特性 優先度① 優先度② 優先度③
土木系 X1/Z(元請工事高) W7(建設機械) Y(財務)
建築系 Z(1級技術者・監理技術者講習) X1(完成工事高) W1(建退共・CCUS)
電気・管 Z(1級技術者) W1(自主宣言・CCUS) Y(財務)
中小地場 Y(財務改善) W1(建退共) Z(1級技術者確保)

経審点数とキャリア:施工管理者にとっての意味

経審点数は経営マター(総務・経営企画・営業)と思われがちですが、施工管理者のキャリアと直結する評価軸 です。

1級施工管理技士はZ評点の主力

1級施工管理技士は監理技術者になれる代表的な国家資格要件の一つ で、経審Z評点の技術職員数評点で+5点(監理技術者講習修了で+6点)が加算されます。

  • 中堅ゼネコン・地場建設業では1人の1級技士確保が経審P点で数点〜十数点押し上げる インパクト
  • 会社が1級取得支援(受験料補助・資格手当)を出すのは経審合理性がある
  • 1級技士+監理技術者講習受講のペアが最も効率的

監理技術者講習の位置づけ

監理技術者講習は1級施工管理技士等が5年ごとに受講 する仕組みで、講習修了により経審Z点加点が5→6点に上がります。

  • 受講費用は概ね1〜2万円レンジ(実施機関・年度で変動/実施機関の最新案内を確認)
  • 経審の申請直前に一斉受講する運用 が中堅以上の建設業でよく見られる

建設業経理士1級・2級の位置づけ

建設業経理士 はW5「建設業の経理の状況」で加点対象になる資格です。

  • 1級は+1点、2級は+0.4点、複数人の配置で積み上げ加算
  • 総務・経理職のキャリアパスとして、経審視点で会社が資格取得を支援するインセンティブが強い
  • 中小建設業では「2級建設業経理士を3〜5人配置」でW5満点近くを狙う実務が一般的

内部リンク:建設業経理士の難易度とキャリア|経審Y点・W点との接続と勉強法

登録基幹技能者制度

登録基幹技能者 はW1「担い手育成・確保」の一部+Z評点で加点対象です(詳細は既存記事)。

  • 職種別に47区分の登録基幹技能者資格
  • 1人あたりZ点+3点、CCUSレベル4(ゴールドカード)への接続もあり
  • 専門工事会社では現場代人・職長級の職人がキャリアとして目指す資格

内部リンク:登録基幹技能者のメリットとCCUSレベル4接続|経審Z1加点3点の実務

ケース別の点数アップ優先順位(4層)

会社の規模・立ち位置別に、経審点数アップの優先順位を整理します。

ケース① 大手ゼネコン(P点900点以上狙い)

  • 1級施工管理技士・監理技術者講習の徹底管理(技術者名簿の最適化)
  • 登録基幹技能者の増員 で協力会社との一体運用
  • 建設機械保有の拡張(改正で11機種)
  • 完成工事高X1は既に高水準のためX1は横ばい前提でZ・W改善に注力

ケース② 中堅ゼネコン・準大手サブコン(P点800点前後狙い)

  • バランス改善 :Y(財務)・Z(技術力)・W(社会性)を並行改善
  • 1級技士の新規取得推進(社内資格取得支援制度)
  • CCUS導入と自主宣言のW枠フル活用
  • 元請完成工事高の積み上げ(下請比率の見直し)

ケース③ 中小地場建設業(P点650〜750点狙い)

  • Y評点改善が最優先(借入金圧縮・自己資本比率改善)
  • 建退共加入でW+15点 を取りに行く
  • 1級技士の確保が難しければ2級+実務経験でZ底上げ
  • 建設業経理士2級を経理担当者に取らせてW5加点

ケース④ 新規・スタートアップ(初回受審)

  • 経営規模等評価の必要書類整備が最大の壁
  • 完成工事高が少ないうちはX1低評価に留まるため、W評点で稼ぐ設計
  • 建退共加入・CCUS登録・ISO9001(可能なら14001)取得
  • 1級技士1人採用・監理技術者講習受講 で技術者名簿を整える

よくある失敗5パターン

経審の点数アップで頻出する失敗パターンを整理します。

失敗① 決算対策と経審対策を分離してしまう

決算月から逆算して6ヶ月前にはY点対策(借入圧縮・利益体質改善)を始める のが定石。決算後に経審申請の準備を始めても、Y評点は「もう決まった財務諸表」で算出されるため手遅れです。

失敗② 業種振替の要件を誤解する

業種振替は「同種の工事」しか認められない(例:建築一式と建築系の内装は振替可、建築と土木は不可)。実態と乖離した振替は経審の再申請・行政指導のリスクにつながります。

失敗③ 技術者名簿を最新化していない

技術者の在籍要件(常勤性)・資格証の有効期限・監理技術者講習の受講年月日 を毎年精査していないと、名簿に載せた技術者が実際は加点対象外だった、という事故が起きます。社会保険加入状況(健康保険・厚生年金・雇用保険)の常勤性証明 も要チェック。

失敗④ 建退共の加入手続きが決算日後になっている

W1の建退共加入加点は「審査基準日(決算日)時点で加入していること」が要件。決算日を過ぎてから加入手続きを始めても当該年度の経審では加点されません。自主宣言も同じく決算日前の公表が必要 です。

失敗⑤ 令和8年改正の適用開始時期を誤解する

令和8年7月1日以降の申請から新基準適用 です。「決算日が7月1日以降」ではなく「申請日が7月1日以降」 が判定基準。決算日が6月末で7月に申請するケースは新基準適用となる点に注意です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 経審は毎年必ず受けなければならないですか?

公共工事を元請として継続的に受注する場合は、実質的に毎年受審が必要 です。有効期限が審査基準日から1年7ヶ月のため、途切れると公共工事の元請入札に参加できなくなります。下請専業なら受審不要ですが、その場合は入札参加資格審査も不要です。

Q2. 総合評定値P点の平均は何点ですか?

業種・地域で異なりますが、全国的な目安は概ね700点前後 とされています。制度設計時点で各評点700点=平均になるよう調整されており、P点700点が「普通」の水準です。900点以上は優秀、600点以下は改善余地大と一般的に位置づけられます。

Q3. 1級施工管理技士を取ると経審のP点は何点上がりますか?

1人あたり技術職員数評点で+5点(監理技術者講習修了で+6点)が加算 されます。ただしP点への影響は業種区分・全体の技術職員数・完成工事高で異なります。目安として、中小建設業で1級技士1人増員のP点押し上げ効果は業種区分によって数点〜十数点レンジになるケースが多く見られます。

Q4. 建設業経理士は何点加点になりますか?

建設業経理士はW5「建設業の経理の状況」で加点 され、1級で+1点、2級で+0.4点が加算されます。複数人配置で積み上げ加算が可能で、中小建設業では2級を3〜5人配置してW5満点近くを狙うのが実務標準です。

Q5. 令和8年(2026年)7月改正で自主宣言はどう加点されますか?

「建設技能者を大切にする企業の自主宣言」により、W評点が+5点 加算されます。宣言はCCUSポータルで実施し、加点を受けるには審査基準日(決算日)より前に宣言完了が必須 です。宣言から公表まで約1ヶ月を要するため、決算対策と一体で早めの申請が推奨されます。

Q6. CCUS就業履歴の加点は令和8年改正でどう変わりますか?

全建設工事で活用の場合は15点→10点、公共工事のみで活用の場合は10点→5点に引き下げ られました。引き下げ分の5点が自主宣言に振り替えられたため、両方フル活用すればW評点全体の上限は概ね同水準に維持されます。

Q7. 経審の申請から結果通知まで何ヶ月かかりますか?

申請から結果通知まで概ね1〜3ヶ月 が一般的です。経営状況分析(民間機関)で1〜3週間、経営規模等評価と総合評定値請求(許可行政庁)で1〜2ヶ月、事案の複雑度で変動します。決算月から逆算して入札参加資格審査開始までに間に合うよう6ヶ月前 には準備開始するのが定石です。

Q8. 経審のP点を短期で上げるにはどれから手をつけるべきですか?

短期(1〜3ヶ月)で効くのはW評点 です。建退共加入(+15点)、自主宣言(+5点)、防災協定締結、ISO登録などが定番です。中長期(半年〜1年)はY評点 の改善(借入金圧縮・利益体質改善)が効きます。長期(1年以上)はZ評点 の1級技術者確保が効きます。順番としてはW→Y→Zの3層で戦略を組むのが実務的です。

Q9. 経審は自社でできますか?行政書士に依頼すべきですか?

経審の申請は自社で対応可能 です。ただし技術者名簿の整備・裏付資料の収集・添付書類の様式適合など事務作業が煩雑で、初回受審や事業規模拡大で業種が増える場面では建設業許可・経審専門の行政書士 に依頼するケースが一般的です。行政書士報酬は10万〜20万円台のレンジが多く(公開料金表の参考レンジ)、事務コストとのバランスで判断します。

Q10. 経審の結果通知に不服がある場合はどうしたらよいですか?

結果通知に事実誤認・計算誤りがある場合は、許可行政庁に再審査を求めることが可能 です。技術者資格の見落とし、建設機械の重複計上、財務諸表の入力誤りなどが典型パターンです。運用の具体(受付期間・様式・添付書類)は許可行政庁ごとに異なる ため、通知受領後は速やかに申請先へ確認するのが実務対応です。

Q11. 経審のP点はいつから公表されますか?

経審結果は許可行政庁で公表 され、国土交通省 経営事項審査結果の公表や都道府県の建設業ポータルで検索・閲覧が可能です。同業他社のP点を確認して自社の立ち位置を把握することは、公共工事の受注戦略で有効です。

Q12. 建設業経理検定と建設業経理士の違いは何ですか?

建設業経理士 は建設業経理検定の合格者に付与される資格名で、日本建設業経理教育センター(現・一般財団法人建設業振興基金)が実施しています。1級・2級が経審W5の加点対象です。建設業経理事務士 は3級・4級の合格者で経審では加点対象外です。

Q13. 経営事項審査と入札参加資格審査は違うものですか?

別の手続き です。経審は建設業法27条の23に基づく法定審査で許可行政庁に申請します。入札参加資格審査は各発注者(国・都道府県・市区町村等)が独自に実施する審査で、経審結果通知書を添付して申請します。発注者ごとに申請時期・様式・格付方法が異なる ため、狙う発注者の公告・要領を個別確認します。

Q14. 2024年問題(時間外労働上限規制)は経審に影響しますか?

建設業の時間外労働上限規制 は2024年4月から適用され、原則月45時間・年360時間、特別条項付き36協定でも年720時間以内、時間外+休日労働の合計で単月100時間未満/複数月平均80時間以内が上限です。違反企業には6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。災害復旧・復興工事には一部の制限緩和特例あり です(出典:厚生労働省「時間外労働の上限規制」)。経審の直接評価項目ではありませんが、W4「法令遵守」で建設業法違反・労働基準法違反による指示・営業停止処分の減点対象となり得ます。

Q15. 経審のP点は将来的にどう変わっていきますか?

担い手確保・処遇改善・生産性向上の政策トレンドに沿って改正が積み重ねられてきています。第三次・担い手3法(2024年6月公布・2025年12月12日全面施行)以降、CCUS活用・技能者処遇改善・防災対応の加点が強化されており、令和8年(2026年)7月改正もその流れを実装したものです。今後の改正のタイミングは各年度の国土交通省告示で通知されるため、国土交通省 建設産業ポータルで最新情報を確認してください。

まとめ

経営事項審査(経審)は、公共工事を元請として直接請け負う建設業者に法定義務のある審査制度で、施工管理者のキャリアと会社の経営が「Z点・W点」で交差する構造を持ちます。

  • 総合評定値P = 0.25X1 + 0.15X2 + 0.2Y + 0.25Z + 0.15W で、X1(完成工事高)とZ(技術力)が各0.25でウェイト最大
  • 平均は概ね700点前後、900点以上で優秀、A〜Eランク格付の目安
  • 令和8年(2026年)7月改正の4大ポイント :自主宣言+5点/CCUS配点引き下げ/建設機械11機種化/社会保険未加入減点廃止
  • 申請フローは決算変更届→経営状況分析→経営規模等評価→総合評定値請求→結果通知→入札参加資格審査の6ステップ
  • 有効期限は審査基準日から1年7ヶ月、電子申請JCIPで全国対応が進行中
  • 施工管理者の1級技士+監理技術者講習で+6点、登録基幹技能者+3点、建設業経理士1級+1点 など、キャリアと会社の経審点数が直接つながる

経営マター(総務・経理・経営企画)と現場マター(施工管理・技能者)を橋渡しする軸として、経審の理解は施工管理者のキャリア資産にもなります。1級施工管理技士・監理技術者講習・建設業経理士・登録基幹技能者を計画的に取っていくことは、個人のキャリアと会社の公共工事受注の両方に効く投資 です。

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