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建設業許可の取り方|29業種・6要件・一般と特定の違いを解説

建設業許可の取り方|29業種・6要件・一般と特定の違いを解説

建設業許可とは、建設業法第3条にもとづき、一定金額を超える建設工事を請け負うために必要な業種別の許可制度です。許可区分は営業所の所在地状況に応じて国土交通大臣許可または都道府県知事許可に分かれ、営業所ごとに一定の人的要件(専任技術者の常勤配置等)を満たす必要があります。29の業種区分ごとに要件を満たす必要があり、独立開業・元請受注・大規模工事の受注の前提となる、いわば建設事業者の「免許証」に相当します。

一方で、施工管理の実務者が「どこから許可が必要になるのか」「一般と特定はどう違うのか」「経営業務管理責任者や専任技術者にどう関わるのか」を体系的に理解する機会は少なく、独立や社内での役員登用が視野に入って初めて調べ始めるケースが目立ちます。

本記事では、建設業許可の全体像を、29業種の区分・6つの許可要件・一般と特定の違い・知事許可と大臣許可の分け方・費用と審査期間・軽微な建設工事の判定・独立や社内対応時のキャリア視点まで、国土交通省の一次資料と最新の改正(2025年2月1日施行の下請金額基準引上げ、令和2年10月施行の経営業務管理責任者要件緩和)をふまえて、施工管理者と独立検討者向けに整理します。

  1. 先に結論
  2. この記事で分かること
  3. 建設業許可とは|制度の全体像
    1. 建設業許可の位置づけと目的
    2. 許可がなくても請け負える「軽微な建設工事」(500万円/1,500万円)
    3. 建設業許可が必要な理由と取得メリット
    4. ミニFAQ
  4. 29業種の区分|2一式工事と27専門工事
    1. 2つの一式工事(土木一式・建築一式)の位置づけ
    2. 27の専門工事一覧
    3. 業種選択の考え方(一式工事の落とし穴)
    4. ミニFAQ
  5. 一般建設業と特定建設業の違い|下請金額の基準(2025年2月改正)
    1. 一般と特定の区分基準
    2. 特定建設業の下請金額(5,000万円/8,000万円)
    3. 特定建設業に求められる追加要件(財産・技術者)
    4. ミニFAQ
  6. 知事許可と大臣許可の違い|営業所所在地で決まる
    1. 知事許可の対象
    2. 大臣許可の対象
    3. 手数料・審査期間・登録免許税の違い
  7. 建設業許可の6大要件
    1. 要件1:経営業務の管理責任者(経管)
    2. 要件2:専任技術者(専技)
    3. 要件3:財産的基礎(500万円/資本金2000万等)
    4. 要件4:誠実性
    5. 要件5:欠格要件非該当
    6. 要件6:社会保険加入(適切な保険)
    7. ミニFAQ
  8. 建設業許可の申請フロー|準備から取得まで
    1. Step 1:業種・区分の決定
    2. Step 2:要件確認と証明資料の収集
    3. Step 3:申請書類の作成
    4. Step 4:窓口提出と手数料納付
    5. Step 5:審査・許可通知
    6. ミニFAQ
  9. 費用・審査期間・有効期間の実務
    1. 新規申請費用(90,000円/150,000円)
    2. 更新・業種追加の費用(50,000円)
    3. 審査期間の目安
    4. 有効期間5年と更新
    5. 決算変更届(毎年)・変更届(都度)
  10. 施工管理者が建設業許可に関わる4シーン|キャリア視点
    1. ケース1:独立開業を目指す施工管理者
    2. ケース2:社内の許可申請・維持を担う技術者
    3. ケース3:経営業務管理責任者候補として役員登用
    4. ケース4:転職時に許可保有企業を選ぶ視点
  11. 建設業許可でよくある失敗と回避策
    1. 失敗1:軽微な工事の分割契約
    2. 失敗2:専任技術者の要件確認不足
    3. 失敗3:決算変更届の未提出
    4. 失敗4:更新期限切れ
    5. 失敗5:業種の選定ミス
  12. よくある質問
    1. Q1. 建設業許可を持たない状態で500万円以上の工事を請け負ったら、どうなりますか?
    2. Q2. 個人事業主で許可を取り、後で法人化した場合、許可はそのまま引き継げますか?
    3. Q3. 一級建築士は建設業許可の専任技術者になれますか?
    4. Q4. 複数の営業所を持つ場合、専任技術者は営業所ごとに必要ですか?
    5. Q5. 建設業許可を取得したら、経営事項審査(経審)も必ず受ける必要がありますか?
    6. Q6. 廃業する場合、どのような手続きが必要ですか?
    7. Q7. 経営業務管理責任者を、社外の非常勤役員が担当することは可能ですか?
    8. Q8. 一般建設業許可と特定建設業許可を、同一業種で両方持つことはできますか?
    9. Q9. 建設業許可の申請から取得までのトータル期間は?
    10. Q10. 建設業許可票(金看板)はどこに掲示すればよいですか?
    11. Q11. 建設業許可を取得すると、社会保険加入は絶対条件ですか?
    12. Q12. 元請の許可番号は、下請の私たちの営業活動でどう関係しますか?
    13. Q13. 建設業許可の要件緩和はさらに進む予定はありますか?
    14. Q14. 2024年問題(時間外労働上限規制)と建設業許可は関係がありますか?
    15. Q15. 施工管理未経験でも、独立して建設業許可を取ることは可能ですか?
  13. まとめ
    1. 年収・転職でお悩みの方へ

先に結論

  • 建設業許可は、1件500万円以上の工事(建築一式は1,500万円以上または延床150㎡以上の木造住宅)を請け負う場合に必要な業種別の許可で、29業種(2一式工事+27専門工事)ごとに取得する
  • 許可区分は「一般建設業」と「特定建設業」の2種類。特定建設業は、元請として1件あたり下請契約合計が5,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)となる工事を請け負う場合に必要(2025年2月1日施行)
  • 営業所の所在地により「知事許可」(1都道府県内のみ)か「大臣許可」(2都道府県以上)かが分かれる
  • 取得要件は6本柱:経営業務管理責任者(経管)/専任技術者(専技)/財産的基礎/誠実性/欠格要件非該当/社会保険加入
  • 施工管理者にとって建設業許可は、独立時の必須条件であると同時に、社内で許可維持・更新に関わる技術者としての価値、そして将来の役員登用の道筋を示すキャリア指標にもなる

この記事で分かること

  • 建設業許可が必要な工事とそうでない「軽微な建設工事」の判定基準
  • 29業種(2一式工事+27専門工事)の区分と業種選択の考え方
  • 一般建設業と特定建設業の違い、2025年2月1日改正後の下請金額基準
  • 知事許可と大臣許可の分け方、費用・審査期間の実務差
  • 6大要件(経管・専技・財産・誠実性・欠格・社保)の具体的な充足条件
  • 準備から取得までの申請フロー、費用・審査期間・有効期間の実務
  • 施工管理者が独立・社内対応・転職判断で建設業許可に関わる4つのシーン
  • よくある失敗(分割契約・専技要件・決算変更届未提出・更新切れ・業種選定ミス)と回避策

建設業許可とは|制度の全体像

建設業許可は、建設業法第3条にもとづく、営業所ごとの業種別の許可制度です。1949年(昭和24年)に登録制として発足し、1971年(昭和46年)に許可制へ移行しました。目的は、無資格・無経験の事業者による不良工事や不当廉売、下請しわ寄せを防ぎ、発注者と下請事業者を保護することにあります(国土交通省「建設業の許可について」)。

建設業許可の位置づけと目的

許可は、建設事業者にとって「一定規模を超える工事を請け負う権利」を担保する免許証に相当します。無許可で500万円以上(建築一式は1,500万円以上)の工事を請け負うと、建設業法第47条により3年以下の懲役または300万円以下の罰金(両罰規定あり)が科されるため、事業拡大とセットで許可取得は避けて通れません。

一方、許可はゴールではなく、以下のような恒常的な維持コストを伴う制度でもあります。

  • 毎年の決算変更届(事業年度終了後4か月以内)
  • 役員・所在地・技術者等の変更届(30日以内など、事項により期限が異なる)
  • 5年ごとの更新申請(有効期間満了の30日前まで)
  • 経営事項審査(経審)を受けるなら1年に1回の申請

つまり、許可取得は「取ったら終わり」ではなく、事業体としての事務体制を継続的に維持する覚悟を意味します。

許可がなくても請け負える「軽微な建設工事」(500万円/1,500万円)

建設業法施行令第1条の2で定める軽微な建設工事は、建設業許可がなくても請け負うことができます。判定基準は以下の通りです。

工事区分 許可不要とされる工事
建築一式工事 1件の請負代金が1,500万円未満(税込)、または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事
建築一式以外の27業種 1件の請負代金が500万円未満(税込)

ここで注意したいのが契約分割の解釈です。工期の長い工事や連続する工事について、実質的に一体の工事とみなされる分割契約を締結した場合、合算して判定されます(国土交通省「建設業法解説」)。「500万円を超えるので2件に分ければ許可不要」といった運用は建設業法違反になり得ます

また、以下は「請負代金」に含めて判定します。

  • 材料費(発注者支給材の場合はその市場価格を加算)
  • 消費税相当額

発注者支給材の市場価格加算は見落としがちなポイントです。材料費が大きい業種(電気・管・鋼構造物等)では、労務費だけを見て「500万円未満」と判断すると許可要否を誤りやすいため、発注書ベースの請負金額に材料市場価格を足して判定します。

建設業許可が必要な理由と取得メリット

軽微な建設工事の範囲を超えて事業を拡大したい場合、建設業許可の取得は必須です。加えて、以下のような取得メリットがあります。

  • 公共工事の入札参加資格:建設業許可+経営事項審査(経審)が前提
  • 元請・大手ゼネコンからの下請発注要件:多くの元請が下請登録時に許可の有無を確認
  • 金融機関の融資審査:建設業許可の有無が信用格付けに反映される
  • CCUS(建設キャリアアップシステム)事業者登録:建設業許可の有無で技能者評価が変わる場面がある
  • 人材採用:求人票の企業信頼性向上に寄与する

独立を目指す施工管理者にとっては、「軽微な建設工事の範囲でスタートし、実績と資金を作って建設業許可を取得し、元請案件・公共工事に進出する」という段階的なキャリアパス が現実的な選択肢となります。より詳しい独立プロセスは施工管理から独立する手順の記事を参照してください。

ミニFAQ

Q. 500万円未満の工事しか請けないなら、建設業許可はまったく不要ですか?
A. 法令上は不要です。ただし、元請登録・公共工事参加・金融機関との取引・大手発注者との継続取引を視野に入れるなら、事業拡大前提で許可取得を計画するのが実務的です。

Q. 建設業許可の申請は個人事業主でも可能ですか?
A. 可能です。法人だけでなく個人事業主も申請できます。ただし、経営業務管理責任者・専任技術者の要件を個人事業主本人または雇用する従業員で満たす必要があります。

29業種の区分|2一式工事と27専門工事

建設業許可は業種別に取得します。合計29業種は、2つの一式工事と27の専門工事に分かれています(国土交通省「建設業許可の業種区分」)。

2つの一式工事(土木一式・建築一式)の位置づけ

一式工事は、原則として元請の立場で、総合的な企画・指導・調整のもとに土木工作物または建築物を建設する工事を指します。

業種
土木一式工事 総合的な企画・指導・調整のもとに土木工作物を建設する工事(橋梁・トンネル・上下水道・造成・河川・港湾・空港・鉄道等の大型土木)
建築一式工事 総合的な企画・指導・調整のもとに建築物を建設する工事(元請として発注される建物新築・大規模増改築)

一式工事の許可を持っているからといって、そのなかで発生する専門工事(内装・電気・管・鉄筋等)を単独で500万円以上請け負えるわけではありません。単独で請け負う場合は、その専門工事の業種許可が別途必要です(または軽微な建設工事の範囲内)。

27の専門工事一覧

専門工事は、単一の建設技術に特化した工事です。以下の27業種があります。

No. 業種 主な工事内容
1 大工工事業 木材の加工・取付け
2 左官工事業 モルタル塗り・タイル張り下地等
3 とび・土工工事業 足場組立・掘削・地盤改良・杭工事等
4 石工事業 石材加工・積み
5 屋根工事業 瓦・スレート・板金屋根
6 電気工事業 発電設備・変電設備・照明・弱電
7 管工事業 給排水・冷暖房・空調・ダクト
8 タイル・れんが・ブロック工事業 タイル張り・れんが積み
9 鋼構造物工事業 鉄骨製作・組立、鉄塔
10 鉄筋工事業 鉄筋加工・組立
11 舗装工事業 アスファルト舗装・コンクリート舗装
12 しゅんせつ工事業 河川港湾等の底面掘削
13 板金工事業 金属薄板の加工取付け
14 ガラス工事業 ガラス取付け
15 塗装工事業 塗料・塗材の塗付け
16 防水工事業 アスファルト防水・シート防水・塗膜防水
17 内装仕上工事業 壁紙・カーペット・床仕上げ
18 機械器具設置工事業 各種プラント機械据付
19 熱絶縁工事業 断熱材の吹付・貼付け
20 電気通信工事業 LAN・情報通信設備
21 造園工事業 植栽・公園整備
22 さく井工事業 井戸掘削
23 建具工事業 木製・金属建具取付
24 水道施設工事業 上下水道の取水・浄水・排水処理設備
25 消防施設工事業 スプリンクラー・消火栓
26 清掃施設工事業 ごみ処理施設
27 解体工事業 建築物・工作物の解体(2016年新設)

解体工事業は2016年(平成28年)6月1日施行で新設された比較的新しい業種で、それ以前はとび・土工工事業に含まれていました。既存の解体工事の経験を専任技術者要件として使う場合、業種切り替えの経過措置期間の扱いに注意します。

業種選択の考え方(一式工事の落とし穴)

「うちは新築請負ばかりだから建築一式で全部いける」という誤解は、実務でよく見かける失敗パターンです。前述のとおり、一式工事の許可は「元請として総合的な企画・指導・調整を行う工事」に限定され、単体の専門工事を500万円以上で請け負う場合は別途その業種の許可が必要です。

業種選択の判断軸は以下の通りです。

  • 主たる収益源となる工事は何か:まずその業種を軸に取得する
  • 将来、他業種にも展開するか:後から業種追加は可能(50,000円の手数料)だが、その時点で専任技術者要件を満たす必要があるため、要件確認の時期がズレる
  • 元請として動くか、下請専業か:元請として一式工事を統括するなら一式工事、下請専業なら該当専門工事のみでも可
  • 公共工事の入札参加を目指すか:入札に必要な業種を先取りで取得しておく

自社の実際の受注実績と将来計画をふまえ、業種構成を組み立てることが重要です。

ミニFAQ

Q. 一式工事の許可があれば、その中で発生する専門工事はいくらでも自社で施工できますか?
A. できません。一式工事の許可は元請として総合的に工事を統括する権限で、単独の専門工事を500万円以上で請け負う場合はその業種の許可が別途必要です。ただし、一式工事の付帯工事として、専門工事の技術者を配置すれば付帯範囲での施工は可能です。

Q. 業種を後から追加することはできますか?
A. できます。「業種追加」の申請で追加でき、手数料は1業種5万円(知事許可の場合)です。追加時に、その業種の専任技術者要件を満たす必要があります。

一般建設業と特定建設業の違い|下請金額の基準(2025年2月改正)

建設業許可には一般建設業特定建設業の2区分があり、業種ごとにどちらの許可を取るかを決めます。同じ業種で一般と特定の両方を持つことはできません。

一般と特定の区分基準

区分の判定基準は「元請として工事を請け負い、下請に出す金額」です。自社が下請専業なら、金額規模にかかわらず一般建設業許可で足ります

区分 元請として下請に出す金額(1件あたりの下請契約合計)
一般建設業 特定建設業の基準未満、または元請として下請に出さない
特定建設業 建築一式工事:8,000万円以上/建築一式以外の27業種:5,000万円以上(2025年2月1日施行)

特定建設業の下請金額(5,000万円/8,000万円)

2025年2月1日施行の建設業法施行令改正で、特定建設業許可が必要となる下請金額基準が引き上げられました(国土交通省「建設業法施行令の一部改正」)。

施行時期 建築一式以外 建築一式工事
〜2022年12月31日 4,000万円以上 6,000万円以上
2023年1月1日〜2025年1月31日 4,500万円以上 7,000万円以上
2025年2月1日〜(現行) 5,000万円以上 8,000万円以上

同じ改正で、監理技術者の配置基準・施工体制台帳の作成基準の下請金額しきい値も同時に引き上げられています。元請として大型工事を扱う会社は、まずこの改正後の基準で自社が特定建設業に該当するかを再判定する必要があります

特定建設業に求められる追加要件(財産・技術者)

特定建設業許可は、下請しわ寄せから中小の専門工事業者を守る趣旨があるため、一般建設業より財産面と技術面の要件が厳しくなります

財産的基礎(特定建設業):以下すべてを満たすこと。

  • 資本金:2,000万円以上
  • 純資産:4,000万円以上
  • 流動比率:75%以上
  • 欠損の額が資本金の20%を超えないこと

専任技術者(特定建設業):以下のいずれかを満たすこと。

  • 1級施工管理技士(土木・建築・電気工事・管工事・造園・建設機械・電気通信のうち該当業種)などの1級国家資格保有者
  • 一般建設業の専任技術者要件を満たしたうえで、元請として4,500万円以上(消費税込・当時基準)の工事の指導監督経験2年以上
  • 国土交通大臣が個別に認めた者

指定建設業7業種(土木一式・建築一式・電気・管・鋼構造物・舗装・造園)については、上記のうち「指導監督経験のみでの取得」は不可で、1級国家資格または大臣認定者に限られます

なお、1級施工管理技士は監理技術者資格者証取得の代表的な資格要件であり、特定建設業許可の専任技術者要件と、元請工事における監理技術者配置の要件が実質的に重なるケースが多い点も押さえておきましょう(詳細は国土交通省「監理技術者制度運用マニュアル」最新版を確認)。

ミニFAQ

Q. 元請でも下請に出さないなら、特定建設業許可は不要ですか?
A. 不要です。自社施工のみで完結するなら、金額規模にかかわらず一般建設業許可で足ります。ただし、大型工事の受注に伴って下請発注が発生することが多いため、事業拡大時期に区分の再判定が必要です。

Q. 一般から特定への切替えは可能ですか?
A. 可能です。「一般建設業許可の廃業届+特定建設業許可の新規申請」の同時申請で切替えます。財産的基礎の要件を継続的に満たす必要があるため、決算後の財務状況で毎年チェックすることが実務的です。

知事許可と大臣許可の違い|営業所所在地で決まる

建設業許可は、営業所の所在地により知事許可(都道府県知事許可)か大臣許可(国土交通大臣許可)かに分かれます。「工事現場の場所」ではなく「営業所の所在地」で判定されるのがポイントです。

知事許可の対象

営業所が1つの都道府県内のみにある場合は、その都道府県の知事許可を取得します。多くの中小建設事業者はこちらに該当します。

たとえば、東京都内に本店と支店1つを持ち、営業所は両方とも東京都内にある場合、東京都知事許可となります。知事許可でも、他都道府県での工事施工は自由に可能です(許可の効力は全国に及ぶ)。この誤解は今もよく残っています。

大臣許可の対象

営業所が2つ以上の都道府県にまたがる場合、国土交通大臣許可となります。

たとえば、東京都に本店、大阪府と福岡県に支店を持ち、それぞれで営業活動を行っている場合、大臣許可となります。

「営業所」の定義は「請負契約の締結に係る実体的な行為を継続的に行う場所」で、単なる連絡事務所や作業所(現場事務所)は該当しません。営業所ごとに専任技術者を配置する必要があり、この点が支店展開時のコスト増要因になります。

手数料・審査期間・登録免許税の違い

項目 知事許可 大臣許可
新規手数料(登録免許税) 90,000円(都道府県収入証紙等) 150,000円(登録免許税)
更新手数料 50,000円 50,000円
業種追加手数料 50,000円 50,000円
審査期間の目安 約30〜45日 約90〜120日
申請窓口 都道府県の建設業許可担当部署 都道府県経由で国土交通省地方整備局

大臣許可は審査期間が長いため、支店展開のタイミングで許可切替を伴う場合は、事業計画のスケジュールに余裕を持たせておく必要があります。

建設業許可の6大要件

建設業許可の取得には、以下6つの要件をすべて満たす必要があります(建設業法第7条・第8条・第15条)。

要件 概要
1. 経営業務の管理責任者(経管) 常勤役員等のうち1人が5年以上の経営経験等を持つ
2. 専任技術者(専技) 営業所ごとに、有資格者または実務経験10年以上の技術者を常勤配置
3. 財産的基礎 一般:自己資本500万円以上等/特定:資本金2,000万円・純資産4,000万円等
4. 誠実性 請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれがない
5. 欠格要件非該当 破産手続開始決定・懲役刑・許可取消し等の欠格事由に該当しない
6. 社会保険加入 適切な健康保険・厚生年金保険・雇用保険への加入(2020年10月新設)

要件1:経営業務の管理責任者(経管)

経営業務の管理責任者(経管)は、法人の常勤役員(または個人事業主・支配人)のうち1人が、建設業の経営業務を総合的に管理した経験を持つことを求められる要件です。

令和2年(2020年)10月1日施行の建設業法改正で、要件が緩和されました。改正後は以下のいずれかを満たせばOKです。

(1)常勤役員等が経営経験を持つパターン(従来からのパターン)

  • 建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験
  • または、建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者に準ずる地位(執行役員・営業部門長等)としての経験
  • または、建設業に関し6年以上の経営業務を補佐した経験

改正前は「許可を受けようとする業種」での経験が原則でしたが、改正後は業種を問わず建設業に関する経営経験であれば要件を満たせるようになりました(内装工事業の経営経験でとび・土工工事業の許可を取ることが可能)。

(2)常勤役員等+補佐者の組合せパターン(改正で新設)

常勤役員等(建設業に関し2年以上の役員経験+5年以上の役員・管理職経験)を、以下の補佐者3名で直接補佐する体制を組む方法が追加されました。

  • 財務管理の5年以上の経験
  • 労務管理の5年以上の経験
  • 業務運営の5年以上の経験

(同一人物が複数の役割を兼務することも可)

この改正により、後継者候補や他業種からの役員転籍者でも要件を満たせるようになり、事業承継のハードルが下がったという実務的な意義があります(国土交通省「経営業務管理責任者要件緩和」)。

要件2:専任技術者(専技)

専任技術者(専技)は、営業所ごとに常勤配置する技術系の要件です。「専任」なので、他社との掛け持ちや他の営業所との兼務は原則不可(同一営業所内で経管兼任は可)。

各業種の一般建設業許可における専任技術者要件は、以下いずれかを満たすこと。

  • 国家資格保有者(1級・2級施工管理技士、技術士、電気工事士等の該当区分)
  • 大学・高等専門学校の指定学科卒業+実務経験3年以上
  • 高校の指定学科卒業+実務経験5年以上
  • 学歴不問で該当業種の実務経験10年以上

「実務経験10年」は、施工管理・現場代理人・職人としての実務経験を含みます。ただし、下記のような期間は算入されない点に注意:

  • 単なる労務作業(施工管理と評価できない補助作業のみの期間)
  • 実務経験と評価できない資材運搬・清掃等の期間
  • 同一期間に2業種を兼務した重複期間(原則1業種分のみ)

証明資料としては、雇用元の証明書・工事契約書・請書・注文書・請求書等が必要になります。過去の実務経験を後から証明するのが難しいケースが多いため、独立を視野に入れる場合は、勤務先で工事書類の写しを取っておくと将来の証明がスムーズです。

なお、1級施工管理技士は特定建設業許可の専任技術者要件も同時に満たす代表的な資格(指定建設業7業種は1級必須)で、施工管理者のキャリアにおける戦略的な資格です。詳細は施工管理技士の資格価値と年収の記事を参照してください。

要件3:財産的基礎(500万円/資本金2000万等)

一般建設業と特定建設業で財産的基礎の要件は大きく異なります。

一般建設業:以下いずれかを満たすこと

  • 自己資本500万円以上(貸借対照表の純資産合計)
  • 500万円以上の資金調達能力(金融機関発行の残高証明書等)
  • 直前5年間の許可継続実績

特定建設業:以下すべてを満たすこと

  • 資本金2,000万円以上
  • 純資産4,000万円以上
  • 流動比率75%以上
  • 欠損の額が資本金の20%を超えないこと

特定建設業の財産的基礎は、更新時点でも維持できていないと更新できない点に注意が必要です。決算後に基準割れが発覚した場合、次回更新までに増資等で立て直すか、一般建設業への切替を検討することになります。

要件4:誠実性

誠実性要件は、法人・役員等・使用人(支店長等)が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれがないことです。実務上は、以下のような場合に「該当なし」と判定されます。

  • 過去5年以内に建設業許可の取消し、免許取消しなどを受けていないこと
  • 詐欺・脅迫・横領などの罪に相当する行為の実績がないこと
  • 宅建業法・建築士法・不動産特定共同事業法等での免許取消し等がないこと

事実上、次の欠格要件と重なる部分が多く、独立で個人事業主が申請する場合はほぼクリアできるケースが一般的です。

要件5:欠格要件非該当

欠格要件は、法人・役員・使用人(令3条使用人)のいずれかが以下に該当すると許可を受けられません。

  • 成年被後見人または被保佐人(欠格から2021年に削除。代わりに個別判定)
  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 建設業許可の取消しから5年を経過しない者
  • 禁錮以上の刑で執行終了・免除から5年を経過しない者
  • 建設業法・労働基準法・独占禁止法等の一定の法律違反による罰金刑で5年を経過しない者
  • 暴力団員(暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者を含む)または暴力団員が事業支配する者

役員が1人でも欠格に該当すると、その法人は許可を受けられないため、役員登用時のバックグラウンドチェックは実務上重要です。

要件6:社会保険加入(適切な保険)

2020年10月1日施行の建設業法改正で、社会保険加入が許可要件に明文化されました(従来は指導・助言にとどまっていた)。

加入すべき保険は、事業者区分により異なります。

事業者区分 健康保険 厚生年金保険 雇用保険
法人(役員のみ、従業員なし) 加入 加入
法人(従業員あり) 加入 加入 加入
個人事業主(従業員5人以上) 加入 加入 加入
個人事業主(従業員4人以下) 国保・国民年金でも可 国保・国民年金でも可 加入(1人でも雇用したら必要)

社会保険未加入業者は許可・更新申請ができないだけでなく、公共工事の入札からも実質的に排除されます。建設業界全体で社会保険加入率を高める国策の一環であり、国土交通省「社会保険加入の徹底」で厳格化が進んでいます。

ミニFAQ

Q. 経営業務管理責任者と専任技術者を、同一人物が兼務することは可能ですか?
A. 同一の営業所に所属する場合は兼務可能です。個人事業主が本人で経管と専技を兼ねる、または法人の常勤役員兼技術者が同一営業所で兼務するケースは実務でよく見られます。

Q. 前職の建設会社で職長として10年働いていましたが、独立して自分の名前で許可を取れますか?
A. 実務経験の証明資料(雇用証明書・工事契約書・請書・注文書の写し等)を集めれば、実務経験10年で専任技術者要件を満たせる可能性があります。ただし、前職から書類を出してもらう必要があるため、退職前に写しを揃えておくとスムーズです。

建設業許可の申請フロー|準備から取得まで

新規で建設業許可を申請するときの標準的な流れは以下の5ステップです。準備期間を含めたトータル期間の目安は3〜6か月(要件確認と資料収集の期間で個人差が大きい)。

Step 1:業種・区分の決定

  • 業種:主たる収益源となる工事の業種を軸に、必要に応じて複数業種を選定
  • 一般/特定:元請として下請に出す金額規模で判定(5,000万円/8,000万円以上なら特定)
  • 知事/大臣:営業所の所在地で判定(1都道府県内のみなら知事、2都道府県以上なら大臣)

この段階での判断ミスが最も影響が大きいため、行政書士等の専門家に事前相談する会社が多い工程です。

Step 2:要件確認と証明資料の収集

6大要件それぞれについて、証明資料を集めます。

  • 経管:役員経験の証明(登記事項証明書・確定申告書・工事契約書等)
  • 専技:資格証明書、実務経験証明書、雇用元の確認書
  • 財産:貸借対照表、残高証明書
  • 誠実性・欠格:役員全員の身分証明書(本籍地の市区町村発行)、登記されていないことの証明書(法務局発行)
  • 社保:健康保険・厚生年金・雇用保険の加入証明

証明資料の収集に一番時間がかかるのがこの工程で、特に「実務経験10年」を過去の在籍先から証明してもらう場面は、前職の協力度合いで所要期間が大きく変わります。

Step 3:申請書類の作成

申請書一式は都道府県ごとに様式が細かく異なります。主な書類例:

  • 建設業許可申請書(様式第一号)
  • 役員等の一覧表
  • 営業所一覧表
  • 専任技術者証明書
  • 工事経歴書(過去1年間の実績)
  • 直前3年の各事業年度における工事施工金額
  • 使用人数
  • 誓約書
  • 経営業務管理責任者証明書
  • 財務諸表(法人:貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・注記表/個人:貸借対照表・損益計算書)
  • 定款
  • 商業登記簿謄本
  • 納税証明書

書類作成の実務では、行政書士に外注するケースが多いのが実態です。行政書士報酬の相場は10万〜30万円程度(案件難易度により幅がある)。

Step 4:窓口提出と手数料納付

  • 知事許可:都道府県の建設業許可担当窓口へ提出、手数料90,000円(都道府県収入証紙等)
  • 大臣許可:主たる営業所の所在地の都道府県経由で、国土交通省地方整備局へ提出、登録免許税150,000円

書類の形式審査で不備があれば補正指示があり、補正後に受理されます。

Step 5:審査・許可通知

  • 知事許可:約30〜45日(都道府県により変動)
  • 大臣許可:約90〜120日

審査完了後、許可通知書が交付され、許可番号が付与されます。許可番号は「(般-XX)第XXXXX号」または「(特-XX)第XXXXX号」の形式で、後の数字は許可年度を、XXXXXは通し番号を示します。

許可を受けたら、以下の対応が必要です。

  • 建設業許可票(金看板)の営業所掲示:全ての営業所に建設業法第40条の掲示義務。なお、建設現場で必要となる標識・帳票(施工体系図・作業所掲示物等)とは別制度のため、建設現場・営業所の掲示物一覧の記事で現場側との区別を確認
  • 建設業法上の届出・帳票整備
  • CCUS事業者登録(推奨)

ミニFAQ

Q. 申請に際して、行政書士に依頼せず自分で申請することはできますか?
A. 可能です。ただし、書類の分量が多く、都道府県ごとの様式差もあるため、初回申請は行政書士に外注する会社が多い実態があります。手引書は都道府県のウェブサイトで公開されているため、自社で申請するなら手引の熟読と早期の窓口相談が現実的です。

Q. 審査中に不備の指摘があった場合、追加期間はどのくらいかかりますか?
A. 補正内容の程度によりますが、書類の追加・差替なら1〜2週間程度で対応可能なケースが一般的です。ただし、実務経験の証明資料が不足している等の実体的な問題があると、追加証明の収集に月単位を要することもあります。

費用・審査期間・有効期間の実務

建設業許可のトータルコストは、申請時の一時費用だけでなく、維持コストも含めて理解する必要があります。

新規申請費用(90,000円/150,000円)

項目 知事許可 大臣許可
新規申請手数料(登録免許税) 90,000円 150,000円
一般+特定を同時申請 180,000円 300,000円
行政書士報酬(相場・任意) 10万〜25万円 20万〜40万円
証明書取得実費(登記簿・納税証明等) 数千円〜1万円 数千円〜1万円

(参考情報:公的統計ではなく、Web上の料金表示ベースの参考傾向値) 行政書士報酬は事務所や案件難易度で幅があります。編集部がWeb上の料金表示を確認した範囲では、東京都の知事許可・新規申請で15万〜20万円を提示する事務所が多い印象ですが、独立系の格安事務所(10万円台前半)から大手会計事務所併設(30万円超)まで幅があるため、複数見積を取ることをおすすめします。上記数値は判断の補助情報であり、法令・制度解説と同列に扱わず、実際の依頼価格は個別見積で確認してください。

更新・業種追加の費用(50,000円)

  • 更新申請手数料:50,000円(知事・大臣共通)
  • 業種追加手数料:50,000円(1業種あたり、知事・大臣共通)

業種追加は、追加時点で当該業種の専任技術者要件を満たす必要があります。「後から追加できる」から先延ばしにしていたら、要件を満たす人材の退職で追加できなくなるケースがあるため、事業計画に組み込んでおくのが実務的です。

審査期間の目安

申請区分 標準的な審査期間
知事許可 新規 30〜45日
知事許可 更新 30〜45日
知事許可 業種追加 30〜45日
大臣許可 新規 90〜120日
大臣許可 更新 90〜120日
大臣許可 業種追加 90〜120日

大臣許可の審査期間は3〜4か月と長いため、更新申請は有効期間満了の3か月前からの申請を推奨する行政庁が多い実態があります。

有効期間5年と更新

建設業許可の有効期間は5年(建設業法第3条第3項)。有効期間の満了日の30日前までに更新申請を提出する必要があります。

  • 更新申請しなかった場合、有効期間満了で許可が失効
  • 失効後の再取得は「新規申請」扱いとなり、新規手数料(9万円/15万円)が必要
  • 更新申請の受付期間は、都道府県により「満了日の2〜3か月前から30日前まで」が一般的

決算変更届(毎年)・変更届(都度)

決算変更届(事業年度終了届)は、事業年度終了後4か月以内に提出する必要があります(建設業法第11条第2項)。未提出のまま更新期を迎えると、更新申請が受理されない(あるいは更新前に決算変更届の一括提出を求められる)ため、毎年の実務ルーティンに組み込みが必要です。

主な変更届(発生の都度、原則30日以内):

  • 商号・名称の変更
  • 営業所の所在地・新設・廃止
  • 資本金の変更
  • 役員の就任・退任
  • 経営業務管理責任者・専任技術者の変更
  • 使用人(支店長等)の変更

変更届の期限遵守は、5年ごとの更新時点で過去分がまとめて確認されるため、社内で許可管理台帳を整備している会社が実務的です。

施工管理者が建設業許可に関わる4シーン|キャリア視点

建設業許可は経営者だけの話ではなく、施工管理の実務者もキャリアの中で4つのシーンで直接関わる可能性があります。

ケース1:独立開業を目指す施工管理者

独立時に、法人設立とセットで建設業許可の取得を計画するパターンです。

  • 軽微な建設工事の範囲(500万円/1,500万円未満)でスタートし、実績と資金を積んで許可取得へ
  • 個人事業主で許可申請するか、法人設立して法人で許可申請するかを選択
  • 経管要件は、個人事業主本人が建設業に関する所定の経営業務管理経験(5年以上等)を満たす場合に充足可能
  • 専技要件は、1級・2級施工管理技士等の資格保有者なら容易にクリア

施工管理として5〜10年の実務経験を持ち、1級施工管理技士を取得した段階が、独立と許可取得の準備が整うタイミングとして実務的な目安です。独立プロセス全体は施工管理から独立する手順の記事、独立後の年収レンジは施工管理独立フリーランスの年収の記事を参照してください。

ケース2:社内の許可申請・維持を担う技術者

建設会社の社内で「許可担当」として、申請・更新・変更届の実務を担う施工管理者もいます。

  • 総務・経理部門と連携し、決算変更届・年次更新の準備
  • 役員変更・専任技術者変更に伴う変更届の作成
  • 経営事項審査(経審)を受けるなら、その申請対応
  • 監督官庁の立入検査・書類調査への対応

この業務は「大手ゼネコンでは総務・法務・経営企画に集約」される一方、中堅・中小の建設会社では現場叩き上げの施工管理者が兼務するケースが多い実務パターンです。行政対応力・書類作成力が身につくため、施工管理者のキャリアの幅を広げる意味があります。

ケース3:経営業務管理責任者候補として役員登用

中小建設会社で、後継者候補として役員登用され、経営業務管理責任者(経管)に就任するパターンです。

  • 令和2年改正で、経管の要件が「他業種の建設業経営経験でも可」に緩和
  • さらに「常勤役員等+補佐者3名」の組合せパターンも新設
  • 改正により、他業種からの役員転籍者や、後継者候補でも要件を満たしやすくなった

長年の施工管理経験を活かして役員に登用され、経管として会社の経営に関わるルートは、施工管理者のキャリアの1つの到達点です。

ケース4:転職時に許可保有企業を選ぶ視点

転職時に「その会社が持っている許可の内容」を確認することで、会社の事業規模・将来性を判断できる視点です。

  • 特定建設業許可を持っているか(元請として大型工事を受注できる規模か)
  • 何業種の許可を持っているか(事業展開の広さ)
  • 大臣許可か知事許可か(全国展開しているか)
  • 経審の点数はどうか(公共工事の受注実績)

建設業許可情報は都道府県の建設業許可検索システムで無料閲覧できます(大臣許可は国土交通省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システム)。求人票では見えない「会社の実力」を客観データで確認できるため、施工管理者の転職判断で活用できます。

(参考情報:公的統計ではなく、公開求人ベースの参考傾向値)タテルート編集部の求人観測:編集部が2026年7〜8月に建設特化系転職媒体3社・総合転職媒体2社で、施工管理職・現場代理人職の公開求人を約60件確認した範囲では、企業規模の目安として以下の傾向が読み取れました。

会社規模の目安 保有許可の傾向 求人年収レンジ(想定)
中小地場(従業員10〜30名程度) 知事許可・一般建設業・5〜10業種 400〜600万円
中堅(従業員30〜100名程度) 知事許可または大臣許可・一般+特定・10〜20業種 500〜750万円
準大手(従業員100〜500名程度) 大臣許可・一般+特定・20〜28業種 600〜900万円
ゼネコン大手(東証プライム上場) 大臣許可・一般+特定・全29業種 700〜1,200万円

抽出条件:正社員限定・派遣/請負/海外案件除外・同一企業重複統合。年収の内訳は公的統計ベースの厚生労働省「賃金構造基本統計調査」厚生労働省 job tag「建築施工管理技術者」で補完確認できます。

建設業許可でよくある失敗と回避策

現場でよく見る5パターンを整理します。

失敗1:軽微な工事の分割契約

「500万円を超えるので2件に分ければ許可不要」という運用は建設業法違反になり得ます。実質的に一体の工事とみなされる分割契約は、合算判定されるため、無許可営業として指導・罰則の対象になります。

回避策:500万円超の受注が続くようになったら、早めに建設業許可の取得計画を立てる。取得までの過渡期は、下請として大手元請の傘下に入ることで、自社無許可でも施工可能な体制を組む選択肢もあります。

失敗2:専任技術者の要件確認不足

実務経験10年で申請しようとしたが、証明資料が集まらず要件を満たせないケースが典型的な失敗パターンです。

回避策:独立を視野に入れる段階で、勤務先の工事書類の写しを蓄積しておく。1級・2級施工管理技士等の国家資格を早期に取得しておけば、実務経験の細かな証明が不要になり、スムーズです。

失敗3:決算変更届の未提出

5年間で毎年の決算変更届を出し忘れ、5年目の更新申請時に「過去5年分をまとめて提出」を求められて更新期限に間に合わなくなるケースがあります。

回避策:決算後4か月以内の届出を、経理の年次ルーティンに組み込む。行政書士と顧問契約を結び、年次届出を代行してもらう会社も多い実態があります。

失敗4:更新期限切れ

有効期間満了日の30日前を過ぎて申請が受理されず、失効してしまうケースは、忙しい中小事業者で今もあります。失効後は新規申請扱いとなり、手数料増と数か月の許可空白が発生します。

回避策:許可番号・有効期間を社内で見える化し、満了日の3〜6か月前にリマインダーを設定する。都道府県によっては満了通知のはがきが届きますが、届いてから慌てないよう自社管理を推奨します。

失敗5:業種の選定ミス

「うちは建築一式で全部いけるはず」と誤解して、実際は個別の専門工事を単体受注しているケース。一式工事の許可は元請として総合的な工事を統括する権限で、単体の専門工事500万円以上を請け負う場合は別途その業種の許可が必要です。

回避策:実際の工事契約書・請書ベースで、「どの業種で、いくらの受注が発生しているか」を業種別に集計し、必要業種を洗い出す。将来の事業拡大計画と併せて、業種構成を段階的に整備します。

よくある質問

Q1. 建設業許可を持たない状態で500万円以上の工事を請け負ったら、どうなりますか?

建設業法第47条により、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。両罰規定があるため、法人と行為者(代表者等)の両方が処罰対象になり得ます。加えて、5年間は許可を受けられなくなる欠格要件に該当する可能性があります。

Q2. 個人事業主で許可を取り、後で法人化した場合、許可はそのまま引き継げますか?

原則として引き継げません。個人と法人は別人格のため、法人成りに伴い許可も新規申請となります(「事業承継制度」の要件を満たせば例外的に承継可能)。ただし、令和2年10月施行の事業承継承認制度により、事前の承認を経て個人→法人・法人→法人の承継が可能になっています。詳細は都道府県窓口に相談してください。

Q3. 一級建築士は建設業許可の専任技術者になれますか?

なれます。一級建築士は、建設業許可の専任技術者要件で「建築一式工事」の一般・特定建設業ともに、また、大工・屋根・タイル・ガラス・内装仕上・熱絶縁・造園・鋼構造物工事等の一般建設業の専任技術者要件を満たします。二級建築士も一部業種の専任技術者要件を満たします。

Q4. 複数の営業所を持つ場合、専任技術者は営業所ごとに必要ですか?

必要です。各営業所ごとに専任技術者を常勤配置する必要があります。営業所の数だけ有資格者が必要になるため、支店展開時の人材確保コストとして計画に組み込みます。

Q5. 建設業許可を取得したら、経営事項審査(経審)も必ず受ける必要がありますか?

公共工事の元請入札に参加する場合のみ必要です。民間工事のみで事業を行うなら、経審は不要です。経審は毎年1回、決算後の申請となり、点数化された結果が公共工事入札の資格審査に使われます。

Q6. 廃業する場合、どのような手続きが必要ですか?

廃業届(30日以内)を都道府県窓口(大臣許可の場合は地方整備局)に提出します。事業譲渡・合併等で許可を引き継ぐ場合は、事前の事業承継承認申請で承継が可能です。

Q7. 経営業務管理責任者を、社外の非常勤役員が担当することは可能ですか?

不可能です。経管は「常勤役員等」に限定されます。他社の常勤役員を兼任することはできません。名目上の役員登用で常勤実態がない場合、許可取消しの対象になります。

Q8. 一般建設業許可と特定建設業許可を、同一業種で両方持つことはできますか?

できません。同一業種は一般または特定のいずれか1つのみ選択できます。ただし、業種ごとに一般・特定を使い分けることは可能で、たとえば「建築一式は特定、電気工事は一般」といった構成は許容されます。

Q9. 建設業許可の申請から取得までのトータル期間は?

準備期間3〜6か月+審査期間1〜4か月で、実務的には半年から10か月を見ておくのが安全です。要件確認と証明資料の収集が最も時間を要する工程です。

Q10. 建設業許可票(金看板)はどこに掲示すればよいですか?

営業所の公衆の見やすい場所に掲示する必要があります(建設業法第40条)。「金看板」は俗称で、実際には縦25cm×横35cm以上の看板で、商号・許可年月日・許可番号・許可業種等を記載します。なお、営業所掲示と建設現場で必要となる標識類(施工体系図・作業員名簿・元請/下請の建設業許可票等)は別制度なので、現場側の掲示物一覧は建設現場・営業所の掲示物一覧の記事も併せて参照してください。

Q11. 建設業許可を取得すると、社会保険加入は絶対条件ですか?

はい。2020年10月1日施行の建設業法改正で、社会保険加入が許可要件に明文化されました。事業者区分(法人/個人・従業員規模)に応じて、健康保険・厚生年金・雇用保険に適切に加入している必要があります。

Q12. 元請の許可番号は、下請の私たちの営業活動でどう関係しますか?

元請の建設業許可の内容(一般か特定か、業種、大臣か知事か)は、下請にとって取引先の信頼性を判断する材料になります。特定建設業許可を持たない元請から5,000万円以上(建築一式8,000万円以上)の下請契約を打診されたら、それは元請側の建設業法違反リスクを孕むため、契約内容の再確認が必要です。

Q13. 建設業許可の要件緩和はさらに進む予定はありますか?

2025年12月12日に第三次・担い手3法(建設業法・入契法・品確法)が全面施行されました(国土交通省「第三次・担い手3法」)。労務費の基準明確化、処遇改善、資材高騰時の労務費しわ寄せ防止、働き方改革・生産性向上を柱としており、担い手不足への対応として、今後も許可制度周辺の実務運用が継続的にアップデートされる見込みです。契約時点の最新情報は必ず国交省の公表資料で確認してください。

Q14. 2024年問題(時間外労働上限規制)と建設業許可は関係がありますか?

直接の許可要件ではありませんが、労働基準法違反による罰金刑を受けた場合、建設業法の欠格要件に該当し許可取消しや新規取得不能となる可能性があります。2024年4月から建設業にも時間外労働上限規制が適用されており(原則月45時間/年360時間、特別条項付き36協定でも年720時間以内、時間外+休日労働で単月100時間未満・複数月平均80時間以内、違反は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金、災害復旧・復興工事には特例あり/厚生労働省「時間外労働の上限規制」)、コンプライアンス体制の整備が許可維持と直結します。

Q15. 施工管理未経験でも、独立して建設業許可を取ることは可能ですか?

現実的にはかなり難しいのが実態です。専技要件で実務経験10年、または国家資格保有が必要になり、未経験からのスタートでは要件を満たせません。まずは施工管理職として建設会社で実務経験を積み、1級・2級施工管理技士を取得した段階で独立・許可取得を検討するのが実務的な順序です。未経験からのキャリアパスは施工管理未経験からのスタートの記事も参照してください。

まとめ

建設業許可の取り方について、要点を整理します。

  • 建設業許可は1件500万円以上(建築一式は1,500万円以上)の工事を請け負うための業種別許可で、29業種(2一式工事+27専門工事)ごとに取得する
  • 区分は「一般建設業」と「特定建設業」の2種類。特定は元請として1件あたり下請契約合計5,000万円以上(建築一式8,000万円以上)で必要(2025年2月1日改正)
  • 営業所の所在地により「知事許可」(1都道府県内)と「大臣許可」(2都道府県以上)が分かれる
  • 取得要件は6本柱:経管・専技・財産的基礎・誠実性・欠格要件非該当・社会保険加入
  • 令和2年10月改正で経管要件が緩和され、他業種の建設業経営経験や補佐者体制でも要件を満たせるようになった
  • 費用は新規知事許可90,000円/大臣許可150,000円、更新50,000円、業種追加50,000円。有効期間は5年で30日前までの更新申請必須
  • 施工管理者にとって建設業許可は、独立時の必須条件・社内での許可維持担当者としての価値・役員登用時の経管要件・転職時の企業選定視点の4シーンで関わる

建設業許可の取得は「取ったら終わり」ではなく、決算変更届(毎年)・変更届(都度)・更新(5年)と継続的な事務体制の維持を伴う制度です。独立や社内対応の判断時は、取得時の一時コストだけでなく、維持コストと社内体制の整備計画までを含めて検討することが重要です。

より具体的なキャリア設計や独立準備の情報整理には、施工管理から独立する手順建設業独立の年収施工管理独立フリーランスの年収改正建設業法2025の実務対応施工管理技士の資格価値といった関連記事も併せて参照してください。個別の許可判定・要件確認・書類作成は行政書士等の専門家に相談することを前提に、複数の情報源の1つとしてタテルートの無料キャリア相談LINEも活用できる選択肢です。

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