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山積み・山崩しのやり方|工程平準化7ステップと人員配分

山積み・山崩しのやり方|工程平準化7ステップと人員配分

山積み・山崩しとは、工程表上に日別・週別の人員数や重機稼働数を棒グラフとして積み上げ(山積み)、そのピークをフロート(余裕期間)の範囲で作業移動して平準化する(山崩し)工程調整の実務手法です。ネットワーク工程表やバーチャート単体では見えにくいリソース負荷のムラを可視化し、労務・機材・仮設の投入計画を実行可能な水準に落とし込む役割を担います。

現場では「人が足りない日」と「暇な日」が交互に来る計画は、労務費のロスと安全リスクを同時に生みます。特に2024年4月から建設業に適用されている時間外労働の上限規制、そして日本建設業連合会が推進する4週8閉所(4週間で8日間の現場閉所、業界の働き方改革指標)に対応するには、感覚頼みの調整ではなく山積み表を根拠に据えた工程平準化が必要になります。

本記事では、施工管理技士試験の頻出論点でもある山積み・山崩しについて、定義と目的、山積み表の作り方7ステップ、山崩しの4手順、順行負荷法と逆行負荷法の使い分け、建設現場での対象リソース7分類、2024年問題との整合、失敗パターンとケース別の運用まで、実務でそのまま使えるレベルに整理してお届けします。

  1. 先に結論
  2. この記事で分かること
  3. 山積み・山崩しとは:定義と工程管理での位置づけ
    1. 山積みの定義
    2. 山崩しの定義
    3. 他の工程表との役割の違い
    4. 施工管理技術検定での位置づけ
    5. ミニFAQ:山積みと山崩しは片方だけでもいい?
  4. 山積み表の作り方7ステップ
    1. ステップ1:対象リソースの選定
    2. ステップ2:各作業の必要負荷量を算出
    3. ステップ3:時間軸に沿って積み上げる
    4. ステップ4:リソース上限線(能力線)を引く
    5. ステップ5:ピーク(山)の検出と評価
    6. ステップ6:山崩し(作業の再配置)を実施
    7. ステップ7:再検証と関係者への共有
    8. ミニFAQ:山積み表は毎週作り直す?
  5. 山崩し(工程平準化)の4手順とフロート活用
    1. 手順1:クリティカルパスとフロートの整理
    2. 手順2:ピーク日の作業をフロート順に並べる
    3. 手順3:作業の開始日をずらす/期間を延ばす
    4. 手順4:再度山積みして上限線を確認
    5. 山崩しの限界と、次の一手
    6. ミニFAQ:クリティカルパスを動かして山崩しする例外はある?
  6. 順行負荷法と逆行負荷法(負荷配分方式の使い分け)
    1. 順行負荷法(フォワード方式)
    2. 逆行負荷法(バックワード方式)
    3. 使い分けの判断軸
    4. ミニFAQ:順行と逆行、どちらから始めるべき?
  7. 建設現場での山積み対象リソース7分類
    1. 1. 人員(職種別作業員数)
    2. 2. 重機(クレーン・バックホウ等)
    3. 3. 仮設(足場・型枠・支保工)
    4. 4. 資材(生コン・鉄筋・型枠材)
    5. 5. 電力・仮設インフラ
    6. 6. 搬入路・搬入時間帯
    7. 7. 検査・立会・監理員
    8. リソース分類別の山積み対応表
    9. ミニFAQ:全リソースを毎回山積みする?
  8. 山積み・山崩しと2024年問題/週休二日への対応
    1. 2024年問題の数値と山積みへの影響
    2. 4週8閉所と山積み表の連動
    3. 週休二日と山崩しの現実解
    4. 参考データ:週休二日達成状況
    5. ミニFAQ:山積み表で残業を減らせる?
  9. エクセルとクラウド工程管理ツールの選び方
    1. エクセル運用の適用範囲と限界
    2. クラウド工程管理ツールの強み
    3. 選び方の目安
    4. ミニFAQ:ツールを入れれば所長のスキルは不要?
  10. 山積み・山崩しでよくある失敗5パターン
    1. 失敗1:作業員数だけで山積みして重機・仮設を見落とす
    2. 失敗2:クリティカルパス上の作業を動かして工期遅延
    3. 失敗3:山積み表が計画倒れで運用されない
    4. 失敗4:上限線が「集められる最大」で引かれ、常に超過
    5. 失敗5:協力会社への共有不足で山崩しが空回り
    6. ミニFAQ:山積み・山崩しの失敗はどこで気づく?
  11. ケース別解説:RC造マンション/土木道路/改修工事
    1. ケース1:RC造マンション(工期14ヶ月・地上10階建て)
    2. ケース2:土木道路工事(工期6ヶ月・県道拡幅)
    3. ケース3:改修工事(工期3ヶ月・オフィスビル)
    4. ミニFAQ:短工期案件でも山積みは必要?
  12. よくある質問(FAQ)
    1. Q1. 山積みと山崩しは施工管理技士試験でどのくらい出題されますか?
    2. Q2. 山積み表とガントチャートは何が違いますか?
    3. Q3. フロートがない作業ばかりの現場では山崩しできない?
    4. Q4. 応援や外注で人員を増やせば山崩し不要では?
    5. Q5. 山積み表を協力会社にも共有するべきですか?
    6. Q6. 2024年問題で山積み表の上限線はどう変わりましたか?
    7. Q7. 山積み表と実行予算はどう連動しますか?
    8. Q8. BIM/CIMは山積み・山崩しに使えますか?
    9. Q9. 山崩し後の工程は必ず現場でその通りに動きますか?
    10. Q10. 中小の元請でも山積み・山崩しは必須ですか?
  13. まとめ
    1. 年収・転職でお悩みの方へ

先に結論

  • 山積みとは、日別・週別の人員数・重機稼働数を工程表上に積み上げて負荷を可視化する作業で、山崩しはそのピークをフロート(作業移動の余裕)の範囲で分散させ、リソース上限内に平準化する調整手法である
  • 山崩しの鉄則は「クリティカルパス上の作業は動かさない/フロートを持つ作業から移動する」の2点で、ネットワーク工程表と組み合わせて初めて実用的な平準化ができる
  • 順行負荷法(前詰め)は「早く終わらせたい/後工程が読めない案件」、逆行負荷法(後詰め)は「工期延長を避けたい/リソース確保が難しい案件」で使い分ける
  • 建設現場の山積み対象は人員だけでなく、重機・仮設・型枠・鉄筋・生コン・電力容量・搬入路の7カテゴリに及ぶ。単一資源だけの山積みは実務では不十分
  • 2024年問題(時間外労働上限規制/2024年4月適用)と週休二日制の推進により、山積み表の「上限線」は労務時間の総量ベースでの再設定が必要になっている

この記事で分かること

  • 山積み・山崩しの定義と、バーチャート・ネットワーク工程表・ガントチャートとの役割の違い
  • 山積み表を作る具体的な7ステップ(対象リソース選定→負荷入力→上限線→ピーク検出→山崩し→再検証→運用)
  • 山崩しの4手順とフロートの活用方法、クリティカルパスとの関係
  • 順行負荷法・逆行負荷法(フォワード方式/バックワード方式)の使い分け
  • 建設現場で山積み対象となる7リソース分類と、それぞれの上限線の引き方
  • 2024年問題・4週8閉所の労務規制を踏まえた山崩し上限線の再設計
  • エクセルとクラウド工程管理ツールの選び方、属人化リスクの回避策
  • 山積み・山崩しでの失敗5パターンと回避策、RC造マンション・土木道路・改修工事のケース別運用

山積み・山崩しとは:定義と工程管理での位置づけ

山積み・山崩しは、施工管理技術検定(1級・2級/建築・土木ほか)の第一次検定で扱われやすい工程管理の基礎論点であり、実務でも工程計画の質を左右する中核手法です。定義と目的を最初に押さえておきましょう。

山積みの定義

山積みとは、工程表上の各作業に必要なリソース(作業員数・重機台数・資材投入量など)を日別/週別に集計し、時間軸を横軸・負荷量を縦軸とした棒グラフとして積み上げる作業です。積み上がった棒グラフは「リソースヒストグラム」とも呼ばれ、負荷のピーク(山)と谷が視覚的に把握できます。

山崩しの定義

山崩しとは、山積み表で表れたピークをリソース上限内に収めるため、フロート(作業の移動可能な余裕期間)を持つ作業の開始日・終了日をずらして、負荷を平準化する調整作業です。クリティカルパス上の作業は工期を左右するため原則として動かせず、フロートを持つ作業だけが移動候補になります

他の工程表との役割の違い

山積み・山崩しは、バーチャート工程表やネットワーク工程表を「置き換える」ものではなく、それらと組み合わせて使うリソース分析ツールです。役割の違いを整理すると次のようになります。

工程表の種類 主な役割 得意なこと 苦手なこと
バーチャート(横線式) 各作業の期間と順序を可視化 全体像の把握・進捗共有 リソース負荷の可視化
ガントチャート 作業別の進捗率を可視化 進捗管理・遅延検出 資源競合の可視化
ネットワーク工程表 作業の依存関係とクリティカルパス算出 工期短縮・遅延影響の分析 人員負荷の可視化
山積み工程表 リソース負荷の可視化 労務・資機材の平準化 作業順序の可視化
出来形管理表 出来高の測定値管理 品質・寸法の記録 工程調整

エクセルでの一般的な工程表の作り方は工程表 エクセル 作り方で、ネットワーク工程表とクリティカルパスの求め方はネットワーク工程表 作り方で個別に整理しています。山積み・山崩しはこれら2種と組み合わせて機能する前提で読み進めてください。

施工管理技術検定での位置づけ

施工管理技術検定は2024年度に受検資格が改正され、第一次検定は年齢要件を中心に受検しやすくなっています(第二次検定には引き続き実務経験要件があります)。第一次検定の工程管理分野では、ネットワーク工程表のクリティカルパス算出、フロートの計算、そして本記事のテーマである山積み・山崩しの手順・原則が扱われる傾向があります。試験対策の詳細と最新の出題範囲は、各試験機関(一般財団法人建設業振興基金一般財団法人全国建設研修センター)の受検案内で確認してください。

ミニFAQ:山積みと山崩しは片方だけでもいい?

Q. 山積み表だけ作って、山崩しは省略できますか?
A. 実務では山積みと山崩しはセットです。山積みで負荷を可視化した後、上限線を超えるピークを山崩しで平準化しない限り「見えているのに手を打っていない」状態になり、労務費のロスや工程遅延を招きます。山積みは診断、山崩しは処方の関係で理解してください。

山積み表の作り方7ステップ

ここからは、山積み表を実際に作る手順を7ステップに分けて解説します。エクセル運用でもクラウド工程管理ツールでも、基本の考え方は共通です。

ステップ1:対象リソースの選定

まず「何の負荷を可視化するか」を決めます。単純な作業員数だけでなく、案件のボトルネックになりやすいリソースを1〜3種類選ぶのがコツです。RC造マンションであれば躯体工事期の型枠・鉄筋・生コン、改修工事であれば夜間の警備員数、土木の道路工事であれば重機台数と交通誘導員数、といった要領で選定します。対象リソースの分類は本記事後半の「建設現場での山積み対象リソース7分類」で詳しく解説します。

ステップ2:各作業の必要負荷量を算出

作業ごとに、単位期間(日または週)あたりの必要リソース量を積算します。躯体工事なら「型枠大工○人/日×○日間」「鉄筋工○人/日×○日間」といった形で、既往プロジェクトの実績歩掛や社内標準の歩掛データをベースに算出します。歩掛の根拠が薄い作業は、協力会社や職長にヒアリングして数字を固めるのが確実です。

ステップ3:時間軸に沿って積み上げる

日別または週別のマスに、各作業からの必要負荷量を積み上げていきます。エクセルなら縦軸に日付、横軸に作業(または職種)を配置し、合計行を作って積み上げグラフ(縦棒グラフ)で表示するのが標準的な作り方です。日建連が推進する4週8閉所の運用が定着している現場では、閉所日(現場閉所日)を空白として設計する必要があるため、閉所日を明示できる書式にしておくと後の山崩しが楽になります。

ステップ4:リソース上限線(能力線)を引く

山積みグラフに、そのリソースの上限線(能力線)を水平線で追加します。上限線は「集められる最大人員」ではなく「無理なく安定供給できる上限」で引くのが実務のセオリーです。目安として次の3層で設定します。

  • 標準上限線:協力会社の常用体制で無理なく確保できる人員(山崩しの目標ライン)
  • 警戒上限線:応援・臨時投入で対応できる上限(超過時は要調整)
  • 絶対上限線:宿舎・食堂・搬入路のキャパから見た物理的な限界

ステップ5:ピーク(山)の検出と評価

上限線を超えている日・週を洗い出します。ピークが「1〜2日の突発的な尖り」なら山崩しで平準化しやすい一方、「1週間以上続く高原状のピーク」は根本的な工期・工法・投入体制の見直しが必要になるサインです。ピークの性質を先に評価してから、次のステップの山崩し手順に入ります。

ステップ6:山崩し(作業の再配置)を実施

フロートを持つ作業を移動して、上限線内に負荷を収めます。山崩しの具体的な4手順は次の章で詳述します。

ステップ7:再検証と関係者への共有

山崩し後の山積み表を再作成し、上限線を超える日が残っていないか、クリティカルパスに悪影響が出ていないかを再検証します。問題がなければ、協力会社の職長・所長・元請の工事課長へ更新版を配布し、翌週の労務手配・重機手配・搬入指示に落とし込みます。この共有フェーズが弱いと、せっかく山崩しをしても現場でその通り動かず絵に描いた餅になります。

段取り力全般については施工管理 段取り コツで詳しく整理しています。山積み・山崩しは段取り力の核心的な技法の1つです。

ミニFAQ:山積み表は毎週作り直す?

Q. 山積み表は最初に1回作れば十分ですか?
A. 現場の実態が動くため、着工前の初期版に加えて、少なくとも週次のローリング更新(次1〜4週の見通しを毎週更新)が推奨されます。天候による工程遅延・設計変更・追加工事があるたびに更新するのが理想ですが、運用負荷とのバランスで週次までは死守するのが現実解です。

山崩し(工程平準化)の4手順とフロート活用

山崩しは、単純に「作業をずらす」ものではありません。ネットワーク工程表のフロート(余裕)を根拠に、動かせる作業だけを動かすのが原則です。手順を4段階で整理します。

手順1:クリティカルパスとフロートの整理

まず、ネットワーク工程表からクリティカルパスとフロートを算出します。フロートには次の2種類があり、山崩しではそれぞれの使い方が異なります。

フロートの種類 定義 山崩しでの扱い
トータルフロート(TF) 全体工期に影響を与えず、その作業を遅らせられる最大の余裕日数 大きく動かせるが、消費すると後続作業のフロートも減る
フリーフロート(FF) 後続作業のスタートに影響を与えず遅らせられる余裕日数 山崩しの第一選択。後続への波及がないため使いやすい

山崩しではフリーフロートから使うのが鉄則です。トータルフロートを先に使ってしまうと、後続作業の余裕がなくなり、以降の工程変更に耐えられなくなります。

手順2:ピーク日の作業をフロート順に並べる

ピーク日に投入されている作業を、フロート(動かせる余裕日数)が大きい順に並べます。フロートが大きい作業ほど移動候補として優先度が高くなります。クリティカルパス上の作業(フロート=0)は原則として山崩し対象から除外します。

手順3:作業の開始日をずらす/期間を延ばす

移動候補となった作業について、次のいずれかの調整を行います。

  • 開始日をずらす:フロート範囲内で開始を後ろに移動し、ピーク日の負荷を分散
  • 期間を延ばす:投入人員を減らして日数を伸ばし、日別負荷を下げる(例:4人×5日→2人×10日)
  • 開始日を早める:先行作業の完了後すぐに前倒し(フロートを前倒しで使う)

期間を延ばす調整では、労務費の総量は変わりません(人日ベース)が、日別の労務手配は楽になります。ただし工期全体には影響しないよう、必ずフロート範囲内で収めます。

手順4:再度山積みして上限線を確認

山崩し後の負荷を再集計し、上限線を超えていないか、他の日にしわ寄せが出ていないかを検証します。1回では収まらないケースも多く、実務では2〜3回の反復調整を経て平準化を完了させるのが一般的です。しわ寄せ先の日が別の資源(重機など)の上限を超えていないかも同時にチェックします。

山崩しの限界と、次の一手

フロート範囲内の山崩しだけでは上限線内に収まらない場合、次の対応を検討します。

  1. 工期延長の交渉:発注者と工期延長の可能性を協議(追加費用の負担者も同時に整理)
  2. 並行作業の導入:複数職種を同時投入して工期短縮と負荷分散を両立
  3. 工法変更:プレファブ化・機械化・ユニット化で必要労務量そのものを削減
  4. 応援・多能工の投入:内部応援や協力会社の広域配員で上限線を一時的に引き上げ
  5. 夜間・休日作業の検討:ただし2024年問題の上限規制と4週8閉所の目標に留意

ミニFAQ:クリティカルパスを動かして山崩しする例外はある?

Q. クリティカルパスを動かさないと平準化できない場合は?
A. 原則は動かしませんが、①発注者と工期延長を合意できる場合、②並行作業や工法変更で新しいクリティカルパスに切り替えられる場合、③特急工事で費用増でも工期優先の場合、といった条件つきで動かす判断はあります。ただし単独判断ではなく、必ず所長・工事課長・発注者との合意を残してください。

順行負荷法と逆行負荷法(負荷配分方式の使い分け)

山積み・山崩しの山崩し手順には、負荷を積む方向による2つの方式があります。生産管理理論では「順行負荷法(フォワード方式)」と「逆行負荷法(バックワード方式)」と呼ばれ、案件の特性で使い分けます。

順行負荷法(フォワード方式)

着工日を基準に、時間軸に沿って前から負荷を積んでいく方式です。各作業をできるだけ早い時期に配置し、余力のある最初の期間に負荷を割り当てます。特徴と使いどころは次の通りです。

  • 早く着手・早く完了することを優先できる
  • 手待ちや遅延に強い(余力を後半に残せる)
  • 追加工事・設計変更の可能性がある案件で有効
  • リソース確保が事前に難しい案件でも動きやすい

逆行負荷法(バックワード方式)

竣工日(納期)を基準に、時間軸を逆に辿って後ろから負荷を積んでいく方式です。各作業を「その作業が終わっていなければ後続に間に合わない最も遅い時期」に配置します。

  • 労務・資機材のリソース確保を最小限に抑えられる
  • 前半に余裕期間ができ、リスク対応の時間を持てる
  • 工期がタイトで納期厳守を最優先する案件で有効
  • 遅延が起きると即座に工期に響くリスクがある

使い分けの判断軸

案件特性 推奨方式 理由
追加工事・変更が多い民間建築 順行負荷法 余力を後半に残しリスク吸収
発注者からの納期厳守案件(引渡日固定) 逆行負荷法 竣工から逆算で確実性を高める
職人確保が困難で分散したい案件 逆行負荷法 前半に余裕を持ち手配時間を確保
早期竣工でボーナスがある案件 順行負荷法 前倒しで完了を狙う
特急・災害復旧工事 順行負荷法 最短完了が最優先

多くの民間建築案件は順行負荷法を基本に、竣工1〜2ヶ月前の仕上工事期のみ逆行負荷法で逆算する複合運用が実務では現実的です。土木・公共工事では、工期の遅延がペナルティに直結しやすいため、逆行負荷法での逆算を先に済ませ、そこから順行で組み直すハイブリッド運用が採られることも多くあります。

ミニFAQ:順行と逆行、どちらから始めるべき?

Q. 実務では順行と逆行のどちらから始めるのが良いですか?
A. 案件全体の工期が余裕なら順行から、工期がタイトなら逆行から始めるのが基本です。迷ったら、竣工日から逆行で「必ず間に合う日程」を1度算出し、それを基準線に順行で余力を配置する2段階アプローチが有効です。

建設現場での山積み対象リソース7分類

「山積み」というと作業員数のイメージが先行しますが、建設現場ではリソースが多岐にわたります。実務で山積み表を作る際に検討すべきリソースを、7カテゴリに整理します。

1. 人員(職種別作業員数)

最も基本的な対象です。職種別に山積みしないと平準化が成立しないのが実務のポイントで、「大工○人」「鉄筋工○人」「型枠大工○人」「電工○人」といった職種別集計が必要です。全職種を合算した総人数だけを見ると、実際は特定職種の負荷が集中していても見逃してしまいます。

2. 重機(クレーン・バックホウ等)

タワークレーン・移動式クレーン・バックホウ・不整地運搬車などの稼働台数です。特にタワークレーンは1機を複数職種で共用するため、揚重計画としての山積みが重要です。揚重日程が重なるとクレーン待ちが発生し、複数職種の作業が同時に停滞します。

3. 仮設(足場・型枠・支保工)

足場・型枠・支保工の使用面積と枚数を山積みします。型枠は転用計画(1セットで何回使い回すか)を組み込む必要があり、単純な累積ではなく「投入→撤去→再投入」の回転として管理します。型枠支保工の組立作業には作業主任者の選任が労働安全衛生法で義務付けられており、この人員も山積み対象に含めます。

4. 資材(生コン・鉄筋・型枠材)

生コンクリートの打設量、鉄筋の搬入量、型枠材の搬入量です。特に生コンは日別の打設量に上限(プラント能力・アジテータ車の台数・打設能力)があり、山積みで超過すると打設分割や輸送量調整が必要になります。

5. 電力・仮設インフラ

大規模現場では、仮設電源の容量が実質的なリソース上限になります。溶接工事とタワークレーンの同時稼働で電力容量を超えるようなケースは、山積みで事前検出しないと当日の作業停止に直結します。

6. 搬入路・搬入時間帯

都市部現場では、搬入時間帯の制限(近隣配慮による朝〜夕方の時間帯指定)が実質的なリソース上限として働きます。1日に受け入れられるトラック台数の上限を山積み表に反映しないと、路上待機の交通違反や近隣クレームにつながります。

7. 検査・立会・監理員

発注者立会検査、監理員検査、社内品質検査は「監理員のスケジュール」というリソース制約下にあります。複数の検査が同日に集中すると、監理員1名では対応できず検査待ちで工程が止まります。品質管理の全体像は品質管理 チェック項目で整理しています。

リソース分類別の山積み対応表

リソース 上限線の引き方 主な調整手段
人員(職種別) 協力会社の常用体制+応援上限 開始日移動・期間延長・応援投入
クレーン 1日の揚重可能ロット数 揚重順序調整・複数機投入
型枠・支保工 保有セット数×転用回数 転用計画見直し・追加調達
生コン プラント能力・車両台数 分割打設・打設エリア分割
電力 仮設電源容量 同時稼働制限・容量増設
搬入路 時間帯別車両受入上限 搬入時刻分散・順序調整
監理員 1日の立会可能検査数 検査日分散・遠隔検査導入

ミニFAQ:全リソースを毎回山積みする?

Q. 7カテゴリ全部を毎回山積みするのは大変では?
A. 全て山積みするのは大規模案件だけで十分です。中小規模の案件では、着工前に「この現場のボトルネックになりそうな2〜3リソース」を選び、そこに絞って山積み表を作るのが実践的です。RC造マンションなら「職種別人員+クレーン+生コン」、改修工事なら「職種別人員+搬入路+監理員」といった具合に、案件特性で3種類程度に絞ります。

山積み・山崩しと2024年問題/週休二日への対応

2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用されており、山積み表の上限線設定にも直接影響します。制度と平準化の連動を整理します。

2024年問題の数値と山積みへの影響

2024年4月から建設業に適用された時間外労働の上限規制の主な数値は次の通りです。原則は月45時間/年360時間、特別条項付き36協定がある場合でも年720時間以内、時間外労働と休日労働の合計で単月100時間未満/複数月平均80時間以内が上限です。月45時間超は年6回まで(特別条項適用時)で、違反企業には6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます(出典:厚生労働省「時間外労働の上限規制」)。なお、災害復旧・復興工事には一部の制限緩和特例があります。

山積み表の上限線を「毎日の最大投入人員」だけで引くと、「投入日数×1日あたり労働時間」の総量が月45時間・複数月平均80時間の壁を超えてしまう設計が生まれかねません。個々の労働者ごとの時間外・休日労働管理を前提としつつ、山積み表では月次総量の偏りを早期検知する運用が2024年問題以降の実務基準です。

4週8閉所と山積み表の連動

日建連は4週8閉所(4週間で8日間の現場閉所)を業界目標として推進しています。閉所日は「現場全体を閉める日」であって、労働者個人の休日とは限らない点に注意が必要ですが、山積み表の運用では閉所日を空白(負荷ゼロ)として設計しなければなりません。閉所日を実質作業日として山積みに入れてしまうと、目標の運用と乖離した工程になります。

週休二日と山崩しの現実解

閉所日を含めて工期を組むと、旧来の週6日稼働前提の工程よりも実働日が減ります。山崩しの選択肢が狭くなるため、次の工夫が必要です。

  • 工期そのものを長めに設定:発注者に4週8閉所前提の工期延長を提案
  • 工法の機械化:BIM/CIM(建築・土木の3次元モデルに属性情報を持たせる技術)を活用した先行検討・プレファブ化で現場作業日を圧縮
  • 多能工の育成:職種横断で稼働できる人員を増やし山崩しの自由度を上げる
  • 並行作業設計:階分けやゾーン分けで同時進行可能な作業を増やす

参考データ:週休二日達成状況

日本建設業連合会「週休二日実現行動計画フォローアップ」(2024年度上半期/会員企業の作業所を対象)では、公共工事・民間工事別に4週8閉所の達成率が公表されています。会員企業は大手・準大手ゼネコン中心のため、中小・地場を含む業界全体の実態はこの数値より低い傾向にあります。最新値は日本建設業連合会の公表資料で確認してください。

ミニFAQ:山積み表で残業を減らせる?

Q. 山積み表を導入すると、現場の残業は減りますか?
A. 山積み表そのものは診断ツールで、残業削減は山崩し後の運用の質に依存します。しかし、負荷のムラを可視化することで「特定週に残業が集中する構造」が事前に見え、工期・工法・応援投入といった打ち手を早めに打てるため、間接的な残業削減効果は期待できます。日建連の会員企業向けフォローアップでも、山積み表を含む工程平準化の取り組みが労働時間削減施策として位置づけられています。

エクセルとクラウド工程管理ツールの選び方

山積み・山崩しを実装する道具は、エクセルとクラウド工程管理ツールに大別できます。案件規模と運用体制で使い分けます。

エクセル運用の適用範囲と限界

エクセルの積み上げ縦棒グラフを使えば、比較的簡単に山積み表が作れます。中小規模案件(1現場・1所長運用)では十分機能する一方、次の限界があります。

  • 属人化:作った所長しか使いこなせず、引き継ぎが難しい
  • 入力ミス検出が弱い:SUM関数の範囲ミスで負荷合計が実態と乖離
  • 修正コスト:作業移動のたびに手作業でセルを更新
  • 統合が困難:複数現場の統合山積み表が作れない
  • リアルタイム共有困難:本社・現場・協力会社間の同期が遅れる

エクセルでの工程表運用の基本は工程表 エクセル 作り方で解説しています。あわせて、施工管理でよく使うエクセル書類の全体像は施工管理 エクセル 書類にまとめています。

クラウド工程管理ツールの強み

近年増えている建設DX系のクラウド工程管理ツールは、次の機能で山積み・山崩しを支援します。

  • ドラッグ&ドロップで作業移動:山崩しの試行錯誤が高速化
  • リソース上限線の自動アラート:ピーク検出を自動化
  • 複数現場の統合山積み:協力会社の広域配員判断に活用
  • モバイル同期:職長・所長がスマホで最新版を閲覧
  • 他の工程管理データとの連動:出来形・写真・書類と連動

出来形管理を含む現場記録の全体像は出来形管理 とはで整理しています。

選び方の目安

案件規模 推奨ツール 理由
小規模(工期3ヶ月未満・単独現場) エクセル 導入コスト最小・機能十分
中規模(工期3〜12ヶ月・単独現場) エクセル+簡易クラウド併用 標準化と共有性のバランス
大規模(工期1年超・複数現場) クラウド工程管理ツール 統合山積みと属人化排除
複数現場を横串で管理する本社 クラウド工程管理ツール 広域リソース配員の可視化

ツールを導入すれば山崩しが上手くいくわけではありません。山積み・山崩しの原理原則を所長・担当者が理解しているかが成否を決めるため、ツール選定の前にまず本記事の手順を身につけることをおすすめします。

ミニFAQ:ツールを入れれば所長のスキルは不要?

Q. クラウドツールを入れれば、所長が山積み・山崩しの理屈を知らなくても回りますか?
A. 回りません。ツールは「移動可能な作業を提示・上限線超過を警告」するだけで、「どの作業をどこに動かすか」の判断は人が行います。フロート・クリティカルパス・順行/逆行の判断ができない状態でツールを入れても、警告が鳴っても打ち手が見えないまま終わります。原理原則の理解が先です。

山積み・山崩しでよくある失敗5パターン

現場で山積み・山崩しがうまく機能しない典型的な5パターンと、その回避策を整理します。

失敗1:作業員数だけで山積みして重機・仮設を見落とす

症状:職種別人員は上限内なのに、クレーン待ち・型枠不足で現場が止まる。
原因:山積み対象を「作業員数」に限定してしまい、重機・仮設のリソース制約を見落とした。
対策:着工前にボトルネックリソースを2〜3種類選定し、複数リソースで山積みする。RC造なら「職種別人員+クレーン+生コン」の3層山積みが標準。

失敗2:クリティカルパス上の作業を動かして工期遅延

症状:山崩しの結果、後日クリティカルパス上の作業が遅れて工期全体が延びる。
原因:フロート算出をせずに山崩しに入り、動かしてはいけない作業を移動した。
対策:山崩し前に必ずネットワーク工程表でクリティカルパスとフロートを算出。フロート=0の作業には赤マーキングをつけて移動禁止を明示。

失敗3:山積み表が計画倒れで運用されない

症状:着工前に立派な山積み表を作ったが、着工後は誰も更新せず放置される。
原因:更新責任者と更新頻度が決められておらず、追加工事・遅延が反映されない。
対策:週次会議で山積み表を配布し、工程担当者を更新責任者として明示。更新版の配布日を工事書類の運用フローに組み込む。段取り含めた運用は施工管理 段取り コツを参照。

失敗4:上限線が「集められる最大」で引かれ、常に超過

症状:ほぼ毎日が上限線超過で、山崩ししてもピークが消えない。
原因:上限線を「無理をすれば集められる最大人員」で引いた結果、平準化の余地がなくなった。
対策:上限線は3層(標準・警戒・絶対)で引き、山崩しの目標は標準ラインに合わせる。絶対上限を目標にしない。

失敗5:協力会社への共有不足で山崩しが空回り

症状:所長は山崩しできたつもりだが、協力会社の職長は元の予定で動いていて労務手配がずれる。
原因:山崩し結果を協力会社に共有するタイミングが遅い/根拠が伝わっていない。
対策:山崩し後の山積み表と、変更した作業の一覧を協力会社に配布。特に「移動した作業・移動先の日・理由」を明示。少なくとも1週間前には通知する。

ミニFAQ:山積み・山崩しの失敗はどこで気づく?

Q. 失敗に気づけるタイミングは?
A. 週次工程会議で「先週の実績と山積み計画のズレ」を確認する運用にしておくと、2週目くらいから兆候が見えます。実績が計画から乖離し始めたら、原因(追加工事・欠員・遅延)を突き止めて山積み表の再作成に入るのが早期是正の基本です。

ケース別解説:RC造マンション/土木道路/改修工事

案件タイプによって山積み・山崩しの重点は変わります。代表的な3ケースを紹介します。

ケース1:RC造マンション(工期14ヶ月・地上10階建て)

  • 山積み対象:型枠大工・鉄筋工・とび工の職種別人員、タワークレーンの揚重ロット、生コンの日別打設量、仮設足場面積
  • 重点期間:躯体工事期(工期の30〜50%)が最大の山、仕上工事期(工期の70〜90%)が第2の山
  • 山崩しのポイント:躯体工事期は「階サイクル」(1階分の型枠→鉄筋→打設のサイクル)を維持しつつ、階間の平準化を狙う。仕上工事期は職種数が急増するため、職種別山積みの粒度を細かく取る
  • 順行/逆行:竣工日(引渡日)が固定されるため、仕上工事期は逆行負荷法で逆算、躯体工事期は順行負荷法で早期完了を狙う複合運用が多い

ケース2:土木道路工事(工期6ヶ月・県道拡幅)

  • 山積み対象:土工の重機(バックホウ・ダンプ)、舗装工の作業員、交通誘導員数、日別の生コン・アスファルト搬入量
  • 重点期間:土工期(工期の30〜50%)、舗装工期(工期の70〜90%)
  • 山崩しのポイント:交通誘導員は昼夜間規制で日別上限が決まるため、規制計画との連動が必須。舗装は天候依存が強く予備日を持たせた山積みが必要
  • 順行/逆行:発注者の工期延長判断が厳しいため逆行負荷法を優先。梅雨時期の予備日を10〜20%見込んで逆算する
  • 関連:道路使用許可の取得手順は道路使用許可 取り方で整理

ケース3:改修工事(工期3ヶ月・オフィスビル)

  • 山積み対象:内装工の職種別人員、夜間帯の警備員数、搬入路の1日車両受入数、監理員の立会検査数
  • 重点期間:解体・撤去期(工期の10〜30%)、内装仕上期(工期の40〜80%)
  • 山崩しのポイント:稼働中のテナントとの共存が前提で、夜間・休日作業の枠が実質的な上限。搬入経路・エレベーター利用時間帯が細かく制約される
  • 順行/逆行:入居予定日から逆行負荷法で逆算するのが基本。ただし解体後の既存不適合が判明することが多く、順行の余裕バッファを工期の10%前後で持たせる

これら3ケースはいずれも、着工から竣工までの流れを俯瞰したうえで山積み・山崩しに落とし込む必要があります。工事全体の流れは工事 流れ 着工 竣工で整理しています。

ミニFAQ:短工期案件でも山積みは必要?

Q. 工期1ヶ月未満の短工期案件でも山積みは作るべき?
A. 短工期でも作る価値はあります。むしろ短工期のほうが1日単位のミスが致命傷になりやすく、日別の負荷可視化が効きます。ただしフルスペックの山積み表ではなく、「主要2〜3リソースの日別集計表」レベルに簡素化して運用するのが実務解です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 山積みと山崩しは施工管理技士試験でどのくらい出題されますか?

第一次検定の工程管理分野で、ネットワーク工程表のクリティカルパス算出とセットで扱われることが多い論点です。フロートの種類(トータル・フリー)、山崩しの原則(フロートを持つ作業を移動)、順行/逆行負荷法の違いといった知識が問われる傾向があります。試験制度の詳細と直近の出題範囲は、一般財団法人建設業振興基金一般財団法人全国建設研修センターの受検案内で確認してください。

Q2. 山積み表とガントチャートは何が違いますか?

ガントチャートは「作業ごとの期間と進捗率」を可視化する工程表で、山積み表は「日別のリソース負荷総量」を可視化する分析表です。ガントチャートの下に山積み表を並べて連動させるのが実務では一般的で、ガントチャート上の作業を動かすと山積み表の負荷が自動更新される運用が理想です。

Q3. フロートがない作業ばかりの現場では山崩しできない?

原則、フロート=0の作業は移動できません。この場合、①発注者と工期延長を交渉、②工法変更(プレファブ化・機械化)で必要労務量そのものを削減、③並行作業設計で新しいクリティカルパスに切り替え、といった構造変更で対応します。単純な山崩しでは解決しないケースです。

Q4. 応援や外注で人員を増やせば山崩し不要では?

短期的には有効ですが、応援・外注の投入は労務費が跳ね上がる傾向があり、教育不足や作業手順の不一致から安全管理の負荷も増しやすくなります。応援は最後の手段として位置づけ、まず山崩しで平準化してから、残ピークに応援を充てる順序が推奨されます。

Q5. 山積み表を協力会社にも共有するべきですか?

はい、共有するのが実務の標準です。協力会社の職長は自社の人員配置計画を持っているため、元請の山積み表を根拠に自社側の労務調整を行います。守秘上の懸念があれば、自社関連の負荷だけ抜粋した部分共有でも構いません。共有タイミングは「更新翌日」が理想、遅くとも週次会議までには配布します。

Q6. 2024年問題で山積み表の上限線はどう変わりましたか?

日別の頭数上限だけでなく、月別・複数月平均の労働時間総量ベースでの上限チェックが加わりました。原則は月45時間/年360時間、特別条項付き36協定でも年720時間・単月100時間未満・複数月平均80時間以内が上限です。山積み表の上限線を「投入頭数の限界」から「時間総量の限界」に読み替える運用が必要です。

Q7. 山積み表と実行予算はどう連動しますか?

山積み表の「月別必要人員×労務単価」で月別労務費予測が算出でき、実行予算の月別展開と突合できます。実行予算より山積みの月別労務費が上回る月があれば、①予算超過を許容、②山崩しで平準化して総額調整、③工法変更で必要労務量そのものを削減、といった対応を選択します。

Q8. BIM/CIMは山積み・山崩しに使えますか?

使えます。BIM/CIMのモデルから工種別・部位別の数量を自動集計し、歩掛と組み合わせれば必要労務量の山積み精度が上がります。特に4D BIM(時間軸を持つBIM)は工程シミュレーションと組み合わせられ、山崩しの試行錯誤を高速化できます。国土交通省もBIM/CIM原則適用を推進しており、活用実績は毎年拡大しています。

Q9. 山崩し後の工程は必ず現場でその通りに動きますか?

そうとは限りません。天候・追加工事・欠員・材料遅延など変動要因が多く、山崩し計画は「基準線」であって「絶対」ではありません。週次のローリング更新で、実績とのズレを見て随時再山崩しする運用がリアルな現場運用です。

Q10. 中小の元請でも山積み・山崩しは必須ですか?

規模を問わず、工程管理の基本として身につけるべき技法です。中小案件では山積み対象を主要2〜3リソースに絞る、更新頻度を週次までにする、といった簡素化で運用負荷を抑えれば、少人数の現場でも十分機能します。むしろ中小の元請ほど、感覚頼みの調整からの脱却効果が大きい傾向があります。

まとめ

山積み・山崩しは、工程表上の負荷を可視化して平準化する工程管理の核心的な手法です。要点を再度整理します。

  • 山積みは日別・週別の必要リソースを積み上げて可視化し、山崩しはフロートを持つ作業を移動してピークを平準化する
  • 山積み表の作り方は7ステップ(対象選定→負荷算出→積み上げ→上限線→ピーク検出→山崩し→再検証と共有)
  • 山崩しは4手順(クリティカルパス整理→フロート順並べ替え→開始日移動/期間延長→再検証)で、フリーフロートから優先使用する
  • 順行負荷法(フォワード)は前詰め・追加変更に強い、逆行負荷法(バックワード)は納期厳守・リソース確保優先
  • 建設現場の山積み対象は人員・重機・仮設・資材・電力・搬入路・監理員の7分類
  • 2024年問題の上限規制(月45時間/年360時間、特別条項でも年720時間)と4週8閉所を上限線設計に組み込む
  • 失敗パターンは「単一資源だけの山積み」「フロート未算出のまま山崩し」「更新責任者不在」「上限線が最大値」「協力会社共有不足」の5つ

山積み・山崩しは1回身につければ現場人生を通じて使える基本技能です。まずは1つの担当現場で、主要2〜3リソースの山積み表を作るところから始めてみてください。工程管理の全体像は品質管理 チェック項目工事 流れ 着工 竣工と併せて読むと理解が深まります。キャリアや働き方の悩みはタテルートのLINEキャリア相談という情報整理の場を活用する選択肢もあります。

運営:株式会社ヘルスベイシス・コンストラクション/タテルート編集部

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