ネットワーク工程表とは、作業(アクティビティ)を矢印で、作業の開始・終了地点(イベント)を丸で表し、作業の先行・後続関係と所要日数を1枚の図で示す工程表です。バーチャートでは見えない「どの作業が遅れると工期全体に響くか」を、クリティカルパス(工期を決める最長経路)として可視化できるため、施工計画書・実行予算の裏付け図として建設現場で長く使われてきました。
一方で、記号ルールや最早開始時刻(EST)・最遅完了時刻(LFT)の計算につまずき、「バーチャートで済ませたい」と感じる若手施工管理者は少なくありません。1級・2級施工管理技士検定でも工程管理は必出領域で、正確に描けるかどうかで実務評価と資格取得の両面が変わります。
本記事では、施工管理職として現場で使えるレベルを目標に、ネットワーク工程表の基本記号、作成6ステップ、クリティカルパスとフロートの計算例、検定対策、そして現代のExcel・BIM/CIM連動での使い方までを、実例図と留保つきの根拠で整理します。
- 先に結論
- この記事で分かること
- ネットワーク工程表とは|バーチャートとの違いと使いどころ
- ネットワーク工程表の基本記号と作成ルール
- ネットワーク工程表の作り方6ステップ
- クリティカルパス・フロートの計算例(実例)
- ネットワーク工程表のメリット・デメリット
- 施工管理技士検定でのネットワーク工程表対策
- 作成ツールと現代的な使い方(Excel・専用ソフト)
- よくある間違いと現場での使い方のコツ
- よくある質問(FAQ)
- Q1|バーチャートしか使っていない現場でも、ネットワーク工程表は描く必要がありますか?
- Q2|クリティカルパスは1本ですか?
- Q3|トータルフロートとフリーフロートの違いは何ですか?
- Q4|ダミー作業は何日と数えますか?
- Q5|ネットワーク工程表は施工管理技士検定でどの程度出題されますか?
- Q6|工期を1日縮めたいときはどこに手を打てばいいですか?
- Q7|山積み・山崩しとは何ですか?
- Q8|Excelで作成する場合の限界はどこですか?
- Q9|BIM/CIMとネットワーク工程表は連動できますか?
- Q10|1級と2級で、ネットワーク工程表の出題レベルは違いますか?
- Q11|手書きで描くのと、ツールで描くのはどちらが良いですか?
- Q12|クリティカルパスに乗っていない作業は軽視して良いですか?
- まとめ
先に結論
- ネットワーク工程表は「作業の順序」と「所要日数」を1枚に示し、工期を決める最長経路=クリティカルパス を明らかにする工程表
- 記号は イベント(丸)とアクティビティ(矢印) の2つが基本。並行作業の依存関係は ダミー(点線矢印) で表現し、日数は0日と扱う
- 作成は 6ステップ(作業洗い出し→先行関係整理→図示→EST計算→LFT計算→クリティカルパス特定)
- フロート(余裕日数)は トータルフロート(TF)とフリーフロート(FF) の2種類。TF=0の作業が クリティカル
- 施工管理技士検定では 1級・2級とも工程管理で頻出。第二次検定(実地)では計算・記述の両方が問われる傾向
- 現代は Excel・専用工程管理アプリ・BIM/CIM連動 が併用され、手書き図とデジタル管理を役割分担するケースが増えている
この記事で分かること
- ネットワーク工程表と バーチャート/ガントチャートとの違い、使い分けの基準
- アロー式(ADM)とプレシデンス式(PDM) の違いと、日本の建設業で標準的に使われる書き方
- 6ステップの作成手順 と、各ステップで確認すべきチェックポイント
- クリティカルパス・トータルフロート・フリーフロート の計算例(7作業の実例)
- 1級・2級施工管理技士検定 で出題される工程管理問題の傾向と勉強法
- Excel・工程管理アプリ・BIM/CIM とネットワーク工程表を組み合わせる現代的な運用
ネットワーク工程表とは|バーチャートとの違いと使いどころ
ネットワーク工程表は、建設プロジェクトの作業を矢印と丸で結び、先行・後続関係と所要日数を1枚の図で示す工程管理手法です。1950年代後半に米国海軍のポラリス・ミサイル開発でPERT(Program Evaluation and Review Technique:計画評価およびレビュー技法)として体系化され、日本では1960年代から建設業に普及しました。国土交通省が公表する「最近の建設業を巡る状況について」でも、生産性向上・働き方改革の観点から工程管理の高度化が繰り返し取り上げられており、建設業振興基金・全国建設研修センターの施工管理技術検定でもネットワーク工程表は工程管理領域で恒常的に出題される標準テーマです。
「ネットワーク工程表」「PERT図」「アロー・ダイアグラム」は、厳密には出自や射程が異なる用語ですが、日本の建設現場や施工管理技士検定の学習資料では近い意味で使われる場面が多く、本記事では作業を矢印で表す「アロー式(ADM)」のネットワーク工程表を中心に扱います。
3種類の工程表比較|バーチャート・ガント・ネットワーク
代表的な工程表を比較すると、それぞれ得意分野が異なります。
| 工程表 | 記法 | 得意なこと | 苦手なこと |
|---|---|---|---|
| バーチャート工程表 | 縦軸:作業/横軸:日付・棒 | 一目で期間が把握できる/若手・職人にも伝わる | 作業間の依存関係が読めない/遅延の波及先が見えない |
| ガントチャート | 縦軸:作業/横軸:日付・期間(進捗をバーの塗り分け・色分けで表示) | 進捗管理・出来高管理 | 順序・依存の可視化は限定的 |
| ネットワーク工程表 | 丸(イベント)と矢印(作業) | 依存関係・クリティカルパス・フロートの可視化 | 記号の読み方に慣れが必要/描画に時間がかかる |
現場では、社内・職長への共有はバーチャート、施工計画書と工程管理の裏付けはネットワーク工程表 という使い分けが一般的です。バーチャート工程表の詳細は、社内の工程表 エクセル 作り方の記事でも取り上げています。
ADM(アロー式)とPDM(プレシデンス式)の違い
ネットワーク工程表には主に2つの書き方があります。
- ADM(Arrow Diagram Method/アロー式):矢印を「作業」、丸を「イベント(開始・終了点)」として表現。日本の建設業と施工管理技士検定で標準的に使われる
- PDM(Precedence Diagram Method/プレシデンス式):四角形を「作業」、矢印を「依存関係」として表現。海外プロジェクト・EPC案件・大規模プラント工事で採用が多い
本記事では ADM(アロー式) を前提に解説します。1級・2級施工管理技士検定で出るのもアロー式が中心のためです。
ネットワーク工程表の基本記号と作成ルール
ネットワーク工程表は、いくつかの単純な記号とルールで構成されます。記号を混同すると、工期計算が全て狂う ため、最初に正確に押さえておく必要があります。
イベント(丸)とアクティビティ(矢印)
| 記号 | 名称 | 意味 |
|---|---|---|
| ○(丸)内に番号 | イベント(結合点) | 作業の開始・終了時点。時間は消費しない |
| →(実線矢印) | アクティビティ(作業) | 実際の作業。矢印の上に作業名、下に所要日数を書く |
| ‐‐▶(点線矢印) | ダミー作業 | 作業間の順序関係だけを示す仮想作業。所要日数は0日 |
イベント番号は左から右、上から下へ小さい順に振ります。同じイベント番号が2回登場することはなく、矢印の始点番号 < 終点番号 が原則です。
ダミー作業(点線矢印)の使い方
ダミー作業は「所要日数0日の仮想作業」で、以下の2つの目的で使います。
- 順序関係の明示:作業Cが作業A・Bの両方の完了後に開始できる場合、A→C、B→Cの順序をダミーで示す
- 同一イベント間の重複回避:作業AとBが同じイベント間(例:①→②)で並行する場合、片方をダミー経由に迂回させ、1本のイベント間に複数作業が並ばないようにする
ダミーは点線矢印で、必ず0日として扱う。実線と混同するとフロート計算が狂うので注意が必要です。
作図の6ルール
施工管理技士検定の学習資料や実務書で一般的に扱われている作図ルールは次のとおりです。
- ネットワーク図は 始点イベント1つ・終点イベント1つ に収束させる
- 矢印の始点番号 < 終点番号 で番号を振る
- 同一イベント間には1本の作業しか書かない(重複する場合はダミーで迂回)
- 矢印は逆走・循環しない(ループ禁止)
- 矢印の長さは所要日数と比例させなくてよい(描きやすさ優先)
- すべての作業は始点から終点まで連結 されていること
これらは1級・2級施工管理技士第一次検定でも問われる基本ルールです。詳しくは施工管理技士 難易度 比較の記事も参考にしてください。
ネットワーク工程表の作り方6ステップ
ここからが本記事の中核です。実務でも検定でも共通して使える、ネットワーク工程表の作成6ステップを解説します。
ステップ1|作業の洗い出し(WBS)
まず、対象プロジェクトの作業を漏れなくリストアップします。ここはWBS(Work Breakdown Structure:作業分解構造) の考え方を使い、工事を階層的に分解します。
- 大工程(例:仮設・躯体・仕上げ・外構)
- 中工程(例:躯体→基礎→柱・梁→床・壁)
- 小工程(例:型枠→鉄筋→打設→養生→脱型)
小工程レベルまで下ろすと図が煩雑になるため、ネットワーク工程表では中工程レベルで整理し、詳細はバーチャートに落とす のが実務の定番です。作業リストの作り方は施工計画書 書き方でも扱っています。
ステップ2|先行関係と所要日数の整理
各作業について、次の2点を表にまとめます。
| 作業 | 先行作業 | 所要日数 |
|---|---|---|
| A:仮設工事 | なし | 3日 |
| B:基礎掘削 | A | 4日 |
| C:型枠工事 | B | 5日 |
| D:鉄筋組立 | B | 3日 |
| E:コンクリート打設 | C, D | 2日 |
| F:養生・脱型 | E | 4日 |
| G:仕上げ・引渡し前 | F | 3日 |
所要日数は自社の標準歩掛や過去実績、協力会社の見積を根拠に決めます。予備日(バッファー)を各作業に埋め込みすぎると全体工期が実態から離れる ため、バッファーは工事全体に対して1〜2本の予備工程として置く運用が一般的とされます。
ステップ3|ネットワーク図の描画
作業リストを元に、イベントとアクティビティで図を描きます。上のリストをアロー式で図示すると次のような順序になります。
①──A(3)──②──B(4)──③──C(5)──④──E(2)──⑤──F(4)──⑥──G(3)──⑦
└─D(3)─→③'‐‐(dummy)‐‐▶④
(上図はテキスト簡略表現のため、実際のネットワーク図では③→④の並行経路のうちD側にダミー矢印を1本引き、同一イベント間に実線を重ねないよう作図します。)
- ①:着工
- ②:仮設完了/基礎掘削開始
- ③:基礎掘削完了/型枠・鉄筋開始
- ④:型枠・鉄筋完了/打設開始(Cと並行のDはダミー経由で④に合流)
- ⑤:打設完了/養生開始
- ⑥:養生完了/仕上げ開始
- ⑦:竣工
矢印の上に作業記号、下に所要日数を書き、各イベントに番号を振ります。同一イベント間(③→④)にCとDが並ぶ場合、片方をダミー経由で描き替えるのが原則です。
ステップ4|最早開始時刻(EST)の計算
ここからが計算パートです。最早開始時刻(EST:Earliest Start Time) は、「その作業を最も早く開始できる時刻」を意味します。
計算は 始点から終点へ順方向 に進めます。
- ①:0日目
- ②:0 + 3(A)= 3日目
- ③:3 + 4(B)= 7日目
- ④:max(7 + 5(C), 7 + 3(D)) = max(12, 10) = 12日目
- ⑤:12 + 2(E)= 14日目
- ⑥:14 + 4(F)= 18日目
- ⑦:18 + 3(G)= 21日目
複数の作業が合流するイベントでは、最も遅い到達日を採用 します(④の12日目がその例)。この計算結果からわかるとおり、この工事の総工期は 21日 です。
ステップ5|最遅完了時刻(LFT)の計算
最遅完了時刻(LFT:Latest Finish Time) は、「その作業を最も遅くに完了しても全体工期が伸びない時刻」を意味します。
計算は 終点から始点へ逆方向 に進めます。
- ⑦:21日目(全体工期=EST)
- ⑥:21 − 3(G)= 18日目
- ⑤:18 − 4(F)= 14日目
- ④:14 − 2(E)= 12日目
- ③:min(12 − 5(C), 12 − 3(D)) = min(7, 9) = 7日目
- ②:7 − 4(B)= 3日目
- ①:3 − 3(A)= 0日目
複数の作業が分岐するイベントでは、最も早く出発すべき日を採用 します(③の7日目がその例)。
ステップ6|クリティカルパスの特定
クリティカルパス は、EST=LFTのイベントを結んだ経路のうち、余裕(フロート)が0で工期を規定する経路です。
上記の例では、①→②→③→④→⑤→⑥→⑦がすべてEST=LFTで、経路A→B→C→E→F→G(3+4+5+2+4+3=21日)がクリティカルパスとなります。作業Dは所要3日でCの5日より短いため、Dには余裕(フロート)2日 が発生し、クリティカルパス上には乗りません。
クリティカルパスは1本とは限りません。並行する経路の合計日数が等しい場合、クリティカルパスは複数本存在します。
クリティカルパス・フロートの計算例(実例)
ステップ6で「Dに余裕2日」と書きましたが、この余裕にも2種類あります。フロートの計算は、施工管理技士検定第二次検定で頻出のポイントです。
トータルフロート(TF)とフリーフロート(FF)
| 用語 | 意味 | 計算式 |
|---|---|---|
| トータルフロート(TF) | その作業が全体工期に影響を与えない範囲での最大余裕日数 | TF = 後続イベントのLFT − 先行イベントのEST − 所要日数 |
| フリーフロート(FF) | その作業を遅らせても後続作業のESTに影響を与えない余裕日数 | FF = 後続イベントのEST − 先行イベントのEST − 所要日数 |
| 従属フロート(DF) | TFのうちFFを超える部分。この日数を使うと後続の余裕を食う | DF = TF − FF |
上記例でのフロート計算表
| 作業 | 先行 | 後続 | 所要 | 先行EST | 後続LFT | 後続EST | TF | FF |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| A:仮設 | ① | ② | 3 | 0 | 3 | 3 | 0 | 0 |
| B:基礎掘削 | ② | ③ | 4 | 3 | 7 | 7 | 0 | 0 |
| C:型枠 | ③ | ④ | 5 | 7 | 12 | 12 | 0 | 0 |
| D:鉄筋 | ③ | ④ | 3 | 7 | 12 | 12 | 2 | 2 |
| E:打設 | ④ | ⑤ | 2 | 12 | 14 | 14 | 0 | 0 |
| F:養生 | ⑤ | ⑥ | 4 | 14 | 18 | 18 | 0 | 0 |
| G:仕上げ | ⑥ | ⑦ | 3 | 18 | 21 | 21 | 0 | 0 |
TF=0の作業(A・B・C・E・F・G)がクリティカル、Dには2日の余裕 があります。
クリティカルパスの解釈と現場活用
計算結果を現場でどう使うかが本題です。
- クリティカル作業(TF=0):1日でも遅れると工期全体が遅延する。朝礼や工程会議で最優先で進捗確認する対象
- フロート付き作業(TF>0):ある程度の遅延吸収が可能。ただし FFを超える遅れが出ると後続作業のリソース手配に波及 するため、DFを使う場合は工程会議での合意が必要
- 工期短縮(クラッシング):クリティカルパス上の作業に人員・機材を追加投入することでのみ全体工期が縮む。フロート付き作業に人員を増やしても総工期は変わらない
現場での朝礼設計は施工管理 朝礼 内容、段取り力全般は施工管理 段取り コツの記事でも扱っています。
ネットワーク工程表のメリット・デメリット
万能ではなく、明確な得意・不得意があります。使いどころを見極めることが施工管理者の腕の見せどころです。
建設現場での5つのメリット
- クリティカルパスが可視化される:どの作業を最優先で守るべきかが一目で分かる
- 依存関係が明確:作業Aが遅れたら何日後の作業Bに影響するかが計算できる
- 工期短縮の効果予測:追加投入する人員・機材の効果をクリティカルパスで検証できる
- リソース平準化に使える:フロートを利用して山積みを均す(山崩し)が可能
- 施工管理技士検定で問われる標準的手法:資格取得と実務の両輪で評価される
バーチャートに劣るポイントと使い分け
一方で、以下の点はバーチャートに劣ります。
- 記号ルールに慣れが必要:職人・若手作業員には直感的に読み取りにくい
- 作図に時間がかかる:中工程レベルで20〜30作業を超えると、手書きでは半日〜1日を要するケースもある
- 細かい進捗率の管理には不向き:ガントチャートやバーチャートの方が向く
このため実務では、大枠の工期戦略はネットワーク工程表、日々の進捗共有はバーチャート、出来高管理はガントチャート と役割分担するのが定番です。バーチャート化して協力会社と共有する運用イメージは工程表 エクセル 作り方も併せて参考にしてください。
施工管理技士検定でのネットワーク工程表対策
ネットワーク工程表は、1級建築施工管理技士の第一次・第二次検定、および施工管理技士 難易度 比較で扱う各区分でも工程管理領域の頻出テーマです。
1級・2級で出る問題パターン
試験機関の公表資料や過去問集を確認する限り、次のパターンが典型的です。
| 検定段階 | 出題形式 | 頻出テーマ |
|---|---|---|
| 第一次検定(学科相当) | 4肢択一 | 記号ルール/ダミー作業の意味/クリティカルパスの定義 |
| 第二次検定(実地相当) | 記述・計算 | 工期日数計算/TF・FFの計算/工期短縮案の検討/経験記述との連動 |
出題内容は年度により差があるため、最新の受検案内は建設業振興基金(建築・電気・管・電気通信・造園)・全国建設研修センター(土木・建設機械) で必ず確認してください。2024年度からは施工管理技術検定の受検資格が改正 されており、第一次検定は年齢要件を中心に受検しやすくなっています。工程管理は2024年4月から建設業にも適用された時間外労働の上限規制(原則 月45時間・年360時間、特別条項 年720時間以内、時間外+休日労働の合計で単月100時間未満/複数月平均80時間以内)と直結する領域でもあり、工期計画の段階で残業前提の日数見積を組まないことが求められています。
経験記述と工程管理の関連
第二次検定の経験記述では「工程管理」がテーマとして出題される年があります。ネットワーク工程表を実務で使いこなしている経験者は、記述で 具体的な作業名・所要日数・クリティカルパスの判断根拠・工期短縮策 を書き分けやすくなるため、抽象論に留まりにくいという実務上のメリットがあります(採点結果を保証するものではなく、公式過去問と模範解答は必ず試験機関の公表資料で確認してください)。
作成ツールと現代的な使い方(Excel・専用ソフト)
紙とペンで描く時代は終わっており、現代の現場ではデジタルツールを併用します。
Excelでの作成のコツ
Excelは万能ではありませんが、中規模プロジェクト(作業30個以内)ならセルとオートシェイプで作図可能 です。
- セル幅を狭く設定し、方眼紙状に整える
- オートシェイプで丸と矢印を組み合わせる
- 日数計算はセル関数(MAX・MINなど)で連動させると、日数変更時の再計算が楽
現場での実務上、Excelは「作業洗い出しと日数計算のプラットフォーム」として使い、ネットワーク図の描画はホワイトボードや専用ソフトに任せる分業も一般的です。
施工管理アプリ・BIM/CIMとの連動
大規模工事では、専用の工程管理ソフト(Primavera P6、Microsoft Project、または建設業向けの工程管理サービス等)を使ってネットワーク図とガントチャートを自動連動させる運用も広がっています。国土交通省が推進するICT施工 やBIM/CIM(建築・土木の3次元モデルに属性情報を持たせる技術)と接続すると、部材・工区ごとの工程をモデル連動で管理する4Dシミュレーションが可能になり、公共工事の一部で採用が進んでいます(普及度合いは工事規模・発注者により差があります)。
ただし、アプリはあくまで補助。作業洗い出し・先行関係の見極め・クリティカルパスの解釈は人間の判断が必要であり、ネットワーク工程表の基本を理解していない状態でツールだけ導入しても、正しい工程管理は成立しません。
よくある間違いと現場での使い方のコツ
10年以上前から使われる手法だけに、独学で誤った使い方が定着しているケースも見かけます。
3つの典型的な誤り
- ダミー作業を実線で描く:0日として扱うルールが守られず、工期計算が狂う
- 同一イベント間に複数の実線を描く:ルール③違反。作業識別が曖昧になる
- クリティカルパスを1本と思い込む:並行経路が同日数なら複数本存在する
現場で機能させる4つのコツ
- 月次で更新する:着工時に描いて放置しない。月次または大きな変更時に見直す
- 朝礼で共有する:クリティカル作業を朝礼のトップ議題にする
- 職人・協力会社に依存関係を伝える:矢印そのものを見せなくてもよい。「A完了後にBが動く」という順序が共有されていれば運用は回る
- 工程会議で意思決定に使う:クリティカル作業の遅延が見えた時点で、人員追加・工法変更・仕様調整のどれで対応するかを議論する場として使う
よくある質問(FAQ)
Q1|バーチャートしか使っていない現場でも、ネットワーク工程表は描く必要がありますか?
公共工事や元請工事の施工計画書では、規模によりネットワーク工程表の添付が求められるケースがあります。民間工事でも、工期がタイトな案件や工種が輻輳する案件では、作成した方が意思決定が速くなる傾向があります。
Q2|クリティカルパスは1本ですか?
1本とは限りません。並行する経路の合計日数が等しい場合、クリティカルパスは複数本存在します。TF=0の経路をすべて洗い出すのが正確な作業です。
Q3|トータルフロートとフリーフロートの違いは何ですか?
トータルフロート(TF)は「全体工期に影響を与えない範囲での最大余裕」、フリーフロート(FF)は「後続作業のESTに影響を与えない余裕」です。FFはTFの一部で、TF−FF=従属フロート(DF)。DFを使うと後続作業の余裕を食う関係にあります。
Q4|ダミー作業は何日と数えますか?
0日 です。順序関係だけを示す仮想作業で、時間を消費しません。実線と間違えると工期計算が全て狂うため、必ず点線で描きます。
Q5|ネットワーク工程表は施工管理技士検定でどの程度出題されますか?
工程管理領域では恒常的に出題 されており、第一次検定では記号ルール・クリティカルパスの定義、第二次検定では日数計算・工期短縮の記述問題が典型的です。最新の出題傾向は試験機関(建設業振興基金・全国建設研修センター)の公式案内と過去問で確認してください。
Q6|工期を1日縮めたいときはどこに手を打てばいいですか?
クリティカルパス上の作業(TF=0) に人員・機材・工法変更などを追加投入するしかありません。フロート付き作業(TF>0)を短縮しても、総工期は変わりません。
Q7|山積み・山崩しとは何ですか?
作業に必要な人員・機材を日別に積み上げると「山積み図」ができ、日ごとに凸凹があります。フロートを利用して作業日をずらし、山(ピーク)を均す作業が「山崩し」です。ネットワーク工程表のフロート情報が山崩しの根拠になります。
Q8|Excelで作成する場合の限界はどこですか?
作業数が30を超えると、Excelでの描画・計算メンテナンスが重くなる傾向があります。中規模以上では専用工程管理ソフト(Microsoft Project、Primavera P6、Photoruction、AnyONE 等)の検討が現実的です。
Q9|BIM/CIMとネットワーク工程表は連動できますか?
BIM/CIM(建築・土木の3次元モデルに属性情報を持たせる技術)と工程管理ソフトを接続すると、部材・工区ごとの工程を3Dモデル上で可視化する4Dシミュレーションが可能になります。国土交通省が推進するi-Construction関連施策のなかで、公共工事を中心に採用が広がっています。
Q10|1級と2級で、ネットワーク工程表の出題レベルは違いますか?
1級は工程短縮・工期短縮・複雑な依存関係を含むケースが問われ、2級は基本ルール・単純なクリティカルパス計算が中心とされます。ただし出題は年度により差があるため、施工管理技士 難易度 比較の記事も併せて確認してください。
Q11|手書きで描くのと、ツールで描くのはどちらが良いですか?
学習段階では手書き、実務では併用 が現実的です。手書きで書いて計算する経験がないと、ツールが出した結果を鵜呑みにするだけになり、異常値に気づけません。検定対策としても、過去問を手書きで解く時間は不可欠です。
Q12|クリティカルパスに乗っていない作業は軽視して良いですか?
軽視は禁物 です。FFを超える遅れが出ると後続作業のリソース手配に波及します。「余裕がある=ゼロ管理でよい」ではなく、「余裕がある=当日でも吸収可能な範囲であり、事前にリスク共有すべき対象」と捉える方が実務では機能します。
まとめ
ネットワーク工程表は、記号ルール・作成6ステップ・フロート計算を押さえれば、実務でも施工管理技士検定でも武器になる工程管理手法です。
- ネットワーク工程表は 作業の順序と所要日数を1枚に示し、クリティカルパスを可視化 する
- 記号は イベント(丸)・アクティビティ(矢印)・ダミー(点線矢印) の3種類
- 作成は 6ステップ(作業洗い出し→先行関係整理→図示→EST計算→LFT計算→クリティカルパス特定)
- TF=0の作業がクリティカル。工期短縮はクリティカルパス上の作業にのみ効く
- 施工管理技士検定では 恒常的に出題 される標準テーマ
- 現代は Excel・専用工程管理ソフト・BIM/CIM連動 と手書き・手計算の併用が現実的
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