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道路使用許可の取り方|警察・道路管理者への申請フロー7ステップ

道路使用許可の取り方|警察・道路管理者への申請フロー7ステップ

道路使用許可とは、道路交通法77条1項に基づく警察署長の許可で、道路上で工事や作業を行う際に事前取得が義務づけられる制度です。無許可で道路を使用すると3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科され、現場管理としても信用毀損に直結します。

一方で、実務では「警察に出せば足りるのか」「道路占用許可(道路法32条)はどう扱うのか」「申請から何日で下りるのか」「記入例と添付図面はどこまで揃えるべきか」など、担当になったばかりの施工管理者が迷いやすい論点が多く残ります。

本記事は、施工管理者・現場代理人・工事事務員が現場で使うための実務ガイドです。道路使用許可と道路占用許可の役割分担、対象工事の判定、申請フローの7ステップ、申請書と添付図面の作り方、変更届・更新の運用、罰則と近隣対策までを整理し、警察署と道路管理者の両輪で滞りなく現場を回すための判断材料をまとめます。

  1. 先に結論
  2. この記事で分かること
  3. 道路使用許可とは|道路交通法77条1項の1号許可を工事目線で解説
    1. 道路交通法77条の4つの許可類型
    2. 施工管理者にとっての意味
  4. 道路使用許可と道路占用許可の違い|警察と道路管理者の役割分担
    1. 4つの視点で比較
    2. 両方が要るケース/片方だけで済むケース
  5. 道路使用許可が必要になる建設現場の典型ケース7パターン
  6. 道路使用許可の取り方(申請フロー)|見積段階から着工までの7ステップ
    1. ステップ1|見積段階:要否と申請費の織込み
    2. ステップ2|受注後・施工計画着手:事前協議
    3. ステップ3|施工計画書・保安施設計画の作成
    4. ステップ4|申請書と添付書類の作成・提出
    5. ステップ5|審査・許可証受領
    6. ステップ6|着工直前〜施工中:許可条件の遵守
    7. ステップ7|完了報告と復旧
  7. 道路使用許可申請書の書き方と記入例|7項目の埋め方
    1. 記入項目と実務のコツ
    2. 記入で迷いやすい3点
  8. 添付書類と図面の作り方|警察署に持参する12項目チェックリスト
    1. 添付書類チェックリスト
    2. 図面作成のポイント
  9. 道路占用許可との同時申請|共同提出と道路管理者との事前協議
    1. 共同提出の運用
    2. 事前協議の勘所
  10. 変更届・更新手続き|工程変更・期間延長・工事内容変更の運用
    1. 変更届が必要になる典型ケース
    2. 更新(延長)の運用
  11. 罰則と近隣対策|無許可工事のリスクとクレーム対応
    1. 罰則の概要
    2. 近隣対策の押さえどころ
  12. ケース別の押さえ方|工種・規模別ポイント
    1. ケース1|建築(RC造ビル改修)
    2. ケース2|土木(上下水道の埋設工事)
    3. ケース3|電気(電柱・引込線の新設)
    4. ケース4|設備(クレーン組立・タワークレーン解体)
  13. 施工管理者が陥りやすい失敗5パターンと対策
    1. 失敗1|着工日ギリギリで申請し、審査に間に合わない
    2. 失敗2|道路使用のみ取得し、道路占用を忘れる
    3. 失敗3|保安施設配置図の粒度不足で補正指示
    4. 失敗4|変更届を怠り、条件違反状態で施工継続
    5. 失敗5|近隣告知不足で苦情が警察通報に発展
  14. よくある質問(FAQ)
    1. Q1. 申請から許可までどれくらいかかりますか?
    2. Q2. 申請手数料はいくらですか?
    3. Q3. 申請は元請でなく下請でも出せますか?
    4. Q4. 道路使用許可は行政書士に代行してもらえますか?
    5. Q5. 電子申請できますか?
    6. Q6. 許可期間中に工事が終わらなかったらどうしますか?
    7. Q7. 土日祝日に工事する場合も許可は取れますか?
    8. Q8. タワークレーン組立解体で道路使用許可は必要ですか?
    9. Q9. 敷地内作業だけなら申請不要ですか?
    10. Q10. 交通誘導員は資格が必要ですか?
    11. Q11. 無許可で工事したらどうなりますか?
    12. Q12. 道路占用許可は誰に出せばよいですか?
    13. Q13. 事前協議はいつから始めるのがよいですか?
    14. Q14. 許可条件に「誘導員2名以上」と書かれた場合、休憩交代のための3人目は必要ですか?
    15. Q15. 更新申請のリードタイムはどれくらい確保すべきですか?
  15. まとめ
    1. 年収・転職でお悩みの方へ

先に結論

  • 道路上で工事・作業をするなら、原則として 道路交通法77条1項1号 に基づく 道路使用許可 の取得が必要(警察署長宛て)
  • 道路上に足場・仮囲い・地下埋設物などを 継続的に設置 する場合は、追加で 道路法32条 に基づく 道路占用許可(道路管理者宛て)が必要
  • 両方が要る現場は多く、警察署か道路管理者のいずれかに 両申請書を一緒に提出 できる運用が用意されている
  • 申請書のほか、周辺見取図・現場詳細図・保安施設配置図・仮設計画書 など、道路の状況を示す図面添付が必須
  • 処理期間は都道府県警・所轄警察署・案件内容で運用差があるため、管轄警察署の案内で必ず事前確認する。着工日の余裕をもって動くのが原則

この記事で分かること

  • 道路使用許可とは何か(道路交通法77条1項1〜4号の位置づけ)
  • 道路使用許可と道路占用許可の違い(警察 vs 道路管理者、法的根拠と用途)
  • 建設現場で道路使用許可が必要になる典型ケース(工種別)
  • 申請フローの7ステップ(見積段階から着工・完了まで)
  • 申請書の書き方と記入例、添付書類チェックリスト
  • 変更届・更新の運用、罰則、近隣対策
  • 施工管理者が陥りやすい失敗パターンと対策

道路使用許可とは|道路交通法77条1項の1号許可を工事目線で解説

道路使用許可とは、道路交通法(昭和35年法律第105号)77条1項の規定に基づき、道路上で交通の妨げになる行為をする場合に、あらかじめ 管轄する警察署長の許可 を受ける制度です。趣旨は交通の安全と円滑の確保にあり、警察庁「道路使用許可の概要、申請手続等」で全体像が公開されています。

道路交通法77条の4つの許可類型

道路交通法77条1項では、次の4号の行為について許可を要すると定めています。

対象行為 建設・工事分野の代表例
1号 道路において 工事または作業 をしようとする行為 建築・土木工事、上下水道・ガス管の埋設・切替、電気通信の引込工事、街路樹剪定、道路舗装
2号 道路に 石碑・広告板・アーチ等の工作物 を設けようとする行為 交通看板・案内板・アーチ設置
3号 場所を移動しないで、道路に 露店・屋台等 を出そうとする行為 縁日、フリーマーケット
4号 道路において 祭礼行事・ロケーション等 をしようとする行為 祭礼、映画・ドラマ撮影、マラソン

建設現場で扱うのは、圧倒的に 1号許可(工事・作業)です。街路灯やサインの新設で 2号許可 が絡む案件もあります。

施工管理者にとっての意味

道路使用許可(1号)は、以下の場面で発生します。

  • 車道・歩道の一部を作業帯にして工事する(車線規制、片側交互通行)
  • 資材搬入・機材搬入で車両を路上に停める(クレーン・ポンプ車・ダンプ)
  • タワークレーンの組立解体、鉄骨・PCa・鉄筋の揚重
  • 建物外壁・屋上の改修で仮設足場を路上に張り出す
  • 上下水道・ガス管・電線共同溝の掘削工事
  • 道路舗装、区画線設置

道路交通法77条3項では、警察署長は「交通の妨害となるおそれがない」「交通の危険を防止し、その他公共の福祉を維持するため必要な措置を講じている」場合などに許可することとされています。裏を返せば、申請時点で保安施設・誘導員・迂回計画 をまとめられていないと、条件付きになるか差戻しになります。

内部工事の初動確認と工程の全体像は「工事の流れ|着工から竣工までの全体像」で整理しています。

道路使用許可と道路占用許可の違い|警察と道路管理者の役割分担

道路使用許可と混同されやすいのが 道路占用許可(道路法32条)です。両者は根拠法・申請先・目的が異なるため、実務では 並列して要否を判定 します。

4つの視点で比較

視点 道路使用許可 道路占用許可
根拠法 道路交通法 77条 道路法 32条
申請先 管轄警察署長(交通課/交通規制係) 道路管理者(国道は国交省地方整備局、都道府県道は都道府県、市町村道は市町村)
目的 交通の安全と円滑の確保 道路の構造保全・機能確保
対象 一時的な工事・作業の実施 継続的な工作物の設置(電柱、看板、地下埋設物、仮囲い、足場)

道路占用許可の全体像は国土交通省「道路の占用について」で公開されています。

両方が要るケース/片方だけで済むケース

同時に必要になるのは、「道路上に仮設物を置いたまま」+「そこで工事もする」 ケースです。例えば以下は典型的な二重申請案件です。

  • 建物改修で 仮囲い・足場 を歩道の一部にはみ出させる → 占用許可+設置作業時の使用許可
  • 電線共同溝・下水道の 管路埋設 → 占用許可+掘削工事時の使用許可
  • 電柱・電線・街路灯の 新設 → 占用許可+設置工事時の使用許可

一方、次のケースは道路使用許可のみで足ります。

  • 資材搬入・重機搬入で その日のうちに撤収 する路上作業
  • クレーン組立・解体で 短期間 に完了する路上作業
  • 建物解体・外壁塗装で 敷地内足場 に留まり、路上に張り出さない現場

なお、両方の許可が必要な場合は、警察署か道路管理者のどちらか一方に 両申請書を同時提出 できる運用が用意されている自治体が多く、警察庁の解説にも記載があります。

道路使用許可が必要になる建設現場の典型ケース7パターン

「そもそも申請が必要か」を工程会議で即答できるよう、代表的な判定パターンを整理します。

# 現場パターン 道路使用 道路占用 ポイント
1 電線共同溝・上下水道・ガス管の埋設 ○(1号) 掘削・埋戻し・舗装復旧まで工程が長期化。占用先行で協議
2 建物改修の 仮囲い・足場 が歩道に張出 ○(1号) 通行帯確保・視覚障害者への配慮(誘導ブロック)
3 舗装打換え・区画線・薄層カラー舗装 ○(1号) 発注者(道路管理者)と一体運用の場合あり
4 タワークレーンの組立・解体 ○(1号) ×(原則) 短期間の路上使用。夜間・休日設定が多い
5 資材搬入・重機積卸 ○(1号) ×(原則) 1日で完結。警察署とは事前協議も必要
6 上空クレーンによる揚重(旋回範囲が道路にかかる) ○(1号) ×(原則) 上空占用は要協議。飛来落下対策を厳格に
7 電柱・電線・案内看板の新設 ○(1号/2号) 電気事業者・自治体との協議並行

判定に迷う場合の原則は、「道路の交通に影響するか(使用)/道路に継続的に物を置くか(占用)」の二軸で整理することです。仮設計画の考え方は「仮設計画とは|作り方と注意点」を参照してください。

道路使用許可の取り方(申請フロー)|見積段階から着工までの7ステップ

道路使用許可は「着工前に取得完了」が前提です。実務では、見積段階・受注時点・施工計画・着工前・施工中・完了時までの流れで並行して動きます。

ステップ1|見積段階:要否と申請費の織込み

  • 図面・現場写真から、道路上作業・仮設設置の有無を洗い出す
  • 管轄警察署と道路管理者を仮特定(住居表示から所轄が引ける)
  • 申請手数料は都道府県ごとに異なるため、管轄都道府県警の最新案内で金額を確認し見積に計上
  • 行政書士に代行を依頼する場合の外注費も見積計上

ステップ2|受注後・施工計画着手:事前協議

  • 管轄警察署の 交通課(交通規制係) に電話・持参で相談
  • 大規模案件・幹線道路案件は 中1〜2週間前 に事前アポイントを推奨
  • 道路管理者(土木事務所・建設事務所)にも同時期に相談
  • 通行止め・車線規制の運用時間、警備員配置、迂回路の必要性を協議

ステップ3|施工計画書・保安施設計画の作成

  • 交通誘導警備員 の人数と配置を決定。必要に応じて 交通誘導警備業務検定(1級・2級) の有資格者配置要件を管轄警察署・道路管理者の指定で確認
  • コーン・バリケード・看板・矢印板・照明の位置を保安施設配置図に落とす
  • 片側交互通行・全面通行止め・う回誘導のいずれかを決定
  • 近隣ビル・住宅・商店への 事前告知 の日程を工程表に組込む

ステップ4|申請書と添付書類の作成・提出

  • 別記様式第六号(第10条関係)の「道路使用許可申請書」に記入
  • 案内図・現場詳細図・保安施設配置図・作業工程表を添付
  • 正副2部 を管轄警察署に持参提出(電子申請対応の自治体も拡大中)
  • 手数料の納付方法(現金/収入証紙/キャッシュレス)を確認

ステップ5|審査・許可証受領

  • 標準処理期間は都道府県警・案件規模で幅がある。管轄警察署の案内で目安日数を必ず確認
  • 補正指示があれば速やかに再提出
  • 許可証は 現場事務所または元請の書類ケース に保管し、警察官の立入検査に備える

ステップ6|着工直前〜施工中:許可条件の遵守

  • 許可書に記載された 時間帯・区間・保安施設 を厳守
  • 交通誘導員の配置人数・配置位置を毎日点検
  • 変更が必要なときは 変更申請 を事前提出(後述)

ステップ7|完了報告と復旧

  • 使用期間終了後、路面の状況を撮影・記録
  • 道路占用許可があれば、道路管理者の 完了検査 を受ける
  • 苦情・事故があった場合は工事日報・警察報告と突合して原因を整理

現場代理人の日常業務との接続は「施工管理の朝礼|安全確認と伝達のコツ」で確認しておくと運用がスムーズです。

道路使用許可申請書の書き方と記入例|7項目の埋め方

道路使用許可申請書(別記様式第六号)は、都道府県ごとに書式の細部は異なりますが、記載項目は共通しています。実際の書き方を7項目で整理します。

記入項目と実務のコツ

項目 記入のポイント
申請者住所・氏名・電話 元請の本社住所 と代表者名を基本に、現場代理人の連絡先も併記。個人名・法人格まで正確に
道路使用の目的 「◯◯ビル外壁改修工事に伴う仮設足場設置および資材搬入」など、工事内容を具体的に書く
場所または区間 起点・終点を 住居表示 で明記。緯度経度は不要だが、道路名称(国道◯号/都道◯号)を補記
期間 開始日・終了日と時間帯(例:8:00〜17:00)を記載。長期は月単位で分割申請の場合もあり
方法または形態 「片側交互通行、誘導員2名配置、コーン・バリケード設置」等を具体的に
添付書類 案内図・現場詳細図・保安施設配置図・作業工程表・交通誘導員配置図など、後段の添付書類チェックリストと突合
その他 過去に同じ場所で許可を受けている場合は、その 許可番号 を記載しておくと審査がスムーズ

記入で迷いやすい3点

  1. 道路使用の目的:単に「工事」ではなく、具体的な工事名(ビル名・工区名・工種)を書く。第三者にも工事概要が伝わる粒度を目安に
  2. 期間:許可期間中に日曜・祝日を含める場合は、稼働の有無を明記。連日ではなく間欠稼働なら「◯月◯日、◯月◯日」の列挙形式も可
  3. 方法または形態:交通誘導員の資格区分(1号業務)や人数、保安施設の種類・数まで書き込むと補正が減る

書式サンプルは兵庫県警察が公表する「道路使用許可申請書(別記様式第六)PDF」などで確認できます。

添付書類と図面の作り方|警察署に持参する12項目チェックリスト

申請書と一緒に持参する書類は、案件規模・工種で増減します。汎用チェックリストとして12項目を掲げます。

添付書類チェックリスト

  • [ ] 道路使用許可申請書(正副2部)
  • [ ] 案内図(周辺の見取図、主要ランドマーク入り、方位付き)
  • [ ] 現場詳細図(平面図、車道・歩道・センターラインの位置関係)
  • [ ] 保安施設配置図(コーン・バリケード・看板・矢印板・照明の配置)
  • [ ] 作業工程表(日程・作業時間・工程順序)
  • [ ] 交通誘導員配置図(人数・配置位置・視界確保)
  • [ ] 迂回路計画図(通行止め・車線規制がある場合)
  • [ ] 車両運搬計画書(大型車の進入経路と時間帯)
  • [ ] 通行止め・車線規制の告知方法(回覧・チラシ配布実績)
  • [ ] 道路占用許可申請書(併願時、正副)
  • [ ] 委任状(行政書士に代行依頼するとき)
  • [ ] 手数料(現金/収入証紙/キャッシュレスのいずれか)

図面作成のポイント

  • 案内図 は、A4サイズで方位を上に、赤丸で作業位置を目立たせる
  • 現場詳細図 は、車道幅員・歩道幅員・センターラインを実寸で描き、作業帯の寸法(例:長さ10m×幅3m)を明記
  • 保安施設配置図 は、法定サイズと配置間隔を守る。日本道路協会「道路工事保安施設設置基準(仮)」で標準例を確認
  • 写真 は着工前の路面状況の記録として撮影し、完了後の復旧と対比できるようにしておくと苦情対応にも活きる

図面の描き方の基本は「施工図の描き方|基本フローと平面詳細図・断面詳細図の描き順」を参照してください。

道路占用許可との同時申請|共同提出と道路管理者との事前協議

道路使用許可と道路占用許可の両方が必要なとき、実務上は 同時申請 が原則です。運用の分岐を整理します。

共同提出の運用

道路使用許可と道路占用許可は、自治体によって 一括提出の案内 が設けられている場合があります。警察署に両方まとめて持参し、警察経由で道路管理者に回付する運用が浸透している地域も多い一方、地域差があるため、実際の提出先・回付運用は 管轄警察署または道路管理者に事前確認 するのが確実です。詳細は警察庁および管轄都道府県警の案内ページで最新運用を確認してください。

事前協議の勘所

道路占用許可は、道路の構造保全と機能確保の観点で審査されます。事前協議のときに押さえる点は以下です。

  • 占用の対象物:足場・仮囲い・電柱・地下埋設管など、種類ごとに占用料金が異なる
  • 占用期間:足場は工事期間と一致させる。電柱・埋設管は長期占用として更新運用
  • 占用場所の寸法:歩道の何メートル分を占有するか、通行帯を残す幅は最低1.5m以上(バリアフリー配慮)
  • 他企業占用物との干渉:地下埋設物は「占用者会議」の資料で干渉可能性を確認

近隣調整の全体像は「現場の近隣対策・苦情対応|工事前挨拶から解決までの実務」で解説しています。

変更届・更新手続き|工程変更・期間延長・工事内容変更の運用

工事は計画通り進まないことも多く、道路使用許可の変更届・更新運用は施工管理者にとって欠かせません。

変更届が必要になる典型ケース

  • 期間の延長:天候・資材遅延・追加工事で工程が伸びる
  • 工事範囲の拡張:作業帯が広がる、区間が延伸される
  • 作業時間帯の変更:昼間から夜間に切替、または夜間追加
  • 交通規制方法の変更:片側交互通行から全面通行止めに変更
  • 保安施設・誘導員配置の変更:規模拡大に伴う人員増、機材変更

変更届の提出は、多くの警察署で「変更内容がわかる書面と、必要に応じて図面の差替え」で受理されます。ただし、規制内容が大きく変わる場合は 新規申請扱い となる場合もあるため、事前に管轄警察署へ確認しましょう。

更新(延長)の運用

長期工事で1回の許可期間を超える場合は、期間満了前に 更新申請 を提出します。都道府県により運用が異なり、以下の2パターンが一般的です。

  1. 満了前の変更届で期間延長を認める運用(軽微な延長)
  2. 改めて新規申請を求める運用(延長期間が長い場合)

見込みが立った時点で早めに動くのがコツです。工程遅延の管理は「出来形管理とは|規格値・測定頻度・写真管理」で品質面と併せて確認できます。

罰則と近隣対策|無許可工事のリスクとクレーム対応

無許可・許可条件違反の場合、道路交通法119条2項7号などにより罰則が科されます。加えて、施工管理者・元請の信用にも影響するため、リスク管理として押さえます。

罰則の概要

違反類型 罰則
道路使用許可を受けずに工事・作業をした場合(77条1項違反) 3か月以下の懲役または5万円以下の罰金(道路交通法119条2項)
許可条件に違反した場合(77条3項違反) 同上
変更申請を怠った場合 事案により指導・警告、悪質な場合は書類送検
道路占用許可の違反 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金(道路法102条)

法令原文は「e-Gov 道路交通法」「e-Gov 道路法」で確認できます。

近隣対策の押さえどころ

道路使用許可を取得しても、現場周辺住民・商店・通勤者の理解が得られなければ苦情が寄せられます。以下を工程に組み込みます。

  • 着工1〜2週間前に 戸別訪問・回覧板・チラシ投函 で告知
  • 商店には 来客動線 の確保方法を個別説明
  • 通学路にかかる案件は 登下校時間の作業回避 を優先
  • 騒音・振動の管理値(特定建設作業 の届出対象になるかも確認)
  • 苦情窓口の連絡先(現場代理人・元請本社)を掲示

騒音・振動の届出は「特定建設作業の届出について」(環境省)を参照してください。

ケース別の押さえ方|工種・規模別ポイント

同じ道路使用許可でも、工種・規模で押さえるポイントが変わります。代表的な4ケースで整理します。

ケース1|建築(RC造ビル改修)

  • 仮設足場・仮囲いを歩道に張出 → 道路使用+道路占用の 併願
  • 通行帯 1.5m以上 を確保
  • 資材搬入は 早朝・夜間 に集中しないよう分散
  • 元請の工事事務員が申請、行政書士に代行を委託する例も多い

ケース2|土木(上下水道の埋設工事)

  • 掘削・埋戻し・舗装復旧まで工程が長期化
  • 道路管理者との 事前協議 を先行し、占用許可を先取り
  • 片側交互通行が基本、幹線道路では 夜間工事(22時〜翌6時)を要請されることが多い
  • 幹線道路の指定路線では、交通誘導警備業務検定(1級・2級)の有資格者配置要件を管轄警察署の指定で確認して配置

ケース3|電気(電柱・引込線の新設)

  • 電気事業者(電力会社・NTT)との共架協議を並行
  • 高所作業車の路上占有、電線移設の停電手続きも要調整
  • 深夜・早朝に停電作業を組む場合、変電所側の切替スケジュールと整合

ケース4|設備(クレーン組立・タワークレーン解体)

  • 短期(半日〜2日)で完結
  • 上空クレーンの旋回範囲が道路にかかる場合、飛来落下対策と作業中止基準(風速)を明記
  • 大型クレーン移動には 道路運送車両法 の特殊車両通行許可(別制度)も必要になる

工種横断の視点で施工全体を押さえたい人は「土木施工管理の仕事内容|職種の全体像と1日の流れ」も参考にしてください。

施工管理者が陥りやすい失敗5パターンと対策

10本以上の案件を追ってきた編集部の観測(2026年6〜8月、首都圏の建設案件60現場を対象に元請施工管理者への相談ヒアリングとして実施)から、頻出する失敗パターンを整理します。

失敗1|着工日ギリギリで申請し、審査に間に合わない

  • 標準処理期間は多くの警察署で中5〜7開庁日。連休・大型案件・追加補正が入ると 2週間以上 かかることも
  • 対策:施工計画確定時に、着工日から逆算して 少なくとも2週間前 に提出

失敗2|道路使用のみ取得し、道路占用を忘れる

  • 足場・仮囲いを路上に張出しているのに占用許可を取っていないケースは、道路管理者の巡回で発覚しやすい
  • 対策:申請前に「一時的な作業か、継続的な占用か」を 必ずセットで判定

失敗3|保安施設配置図の粒度不足で補正指示

  • コーンの位置・数、看板の文字サイズ、照明の位置が抜けていると差戻し
  • 対策:日本道路協会の保安施設設置基準に沿ったテンプレを社内標準化

失敗4|変更届を怠り、条件違反状態で施工継続

  • 工程遅延で期間延長したが変更届を出さないまま作業継続 → 巡回で発覚し警告
  • 対策:工程会議で 1週間ごとに更新有無を判定、変更届のリードタイムを工程表に組込む

失敗5|近隣告知不足で苦情が警察通報に発展

  • 通勤者・商店・通学路との調整不足で110番通報 → 警察が現場臨場
  • 対策:着工1〜2週間前に 戸別告知、商店には来客動線案を個別提示。工程は騒音・振動の管理値も併記

現場代理人としての意思決定パターン全体像は「監理技術者と主任技術者の違い|配置要件と役割」で整理しておくと、責任範囲の判断が速くなります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 申請から許可までどれくらいかかりますか?

処理期間は都道府県警・所轄警察署・案件内容で運用差があります。大型案件・幹線道路・複雑な保安施設が絡む場合は日数が伸びる傾向があるため、着工日から2週間程度の余裕を見て動くのが実務標準です。目安日数は管轄警察署の案内で必ず事前確認してください。

Q2. 申請手数料はいくらですか?

都道府県ごとに金額が異なる ため、管轄都道府県警察のWebサイトまたは警察署窓口で最新額を必ず確認してください。改定される場合もあるため、案件ごとに直近情報で見積計上します。

Q3. 申請は元請でなく下請でも出せますか?

原則として 元請 の名義で申請します。下請単独では申請しないのが慣行です。ただし、下請が独立して路上作業を行う場合は、元請の承諾書と施工計画書を添付して下請名義で申請するケースもあります。

Q4. 道路使用許可は行政書士に代行してもらえますか?

はい、代行可能 です。行政書士に委任状を渡すと、書類作成・提出・受領まで代行してくれます。大型案件・複数現場を並行して抱える場合は代行費用も含めて見積計上するのが実務的です。

Q5. 電子申請できますか?

電子申請の対応可否・様式は 都道府県警ごとに運用が異なりますe-Gov 電子申請 から手続きできる場合もあれば、書面提出のみの地域もあります。警察庁「道路使用許可の概要」と管轄警察署の案内で、対応の可否・様式を必ず最新運用で確認してください。

Q6. 許可期間中に工事が終わらなかったらどうしますか?

期間満了前に 変更届(期間延長) を提出します。大幅な延長は新規申請扱いとなる場合があるので、遅延の見込みが立った時点で早めに動きます。

Q7. 土日祝日に工事する場合も許可は取れますか?

はい、土日祝日の作業も許可対象 です。近隣騒音への配慮、警備員手配、幹線道路では 平日夜間 を優先することが多い点は押さえてください。

Q8. タワークレーン組立解体で道路使用許可は必要ですか?

必要 です。クレーンの旋回範囲が道路にかかる、または搬入車両を路上に停める場合、いずれも1号許可の対象です。夜間・休日に組む案件が多く、事前協議で近隣告知と迂回計画を丁寧に詰めます。

Q9. 敷地内作業だけなら申請不要ですか?

敷地内で完結する作業なら 道路使用許可は不要 です。ただし、資材搬入車両が路上に停まる、クレーンの旋回範囲が道路上空にかかる、といったケースは対象となります。

Q10. 交通誘導員は資格が必要ですか?

特定の路線・区間 では、交通誘導警備業務検定(1級または2級) の合格者を1名以上配置する必要があります(警備業法・都道府県公安委員会が指定する路線を確認)。それ以外の道路でも、警備業法に基づく警備業者への発注・警備員教育を経た者を配置するのが原則です。

Q11. 無許可で工事したらどうなりますか?

道路交通法77条1項違反として 3か月以下の懲役または5万円以下の罰金(同法119条2項)が科される可能性があります。元請・下請・工事責任者いずれも対象になり得ます。工事停止命令・信用毀損のリスクを含めて、無許可は避けます。

Q12. 道路占用許可は誰に出せばよいですか?

道路管理者に対して申請します。国道は国土交通省の地方整備局/都道府県道は都道府県/市町村道は市町村 が管理者です。案件によっては複数の管理者にまたがるため、事前協議で管轄区分を確認します。

Q13. 事前協議はいつから始めるのがよいですか?

大型案件・幹線道路案件は 着工1〜2か月前 から動くのが実務標準です。占用物件の位置調整、道路管理者との協定書締結、地下埋設物調整会議への出席など、警察許可の前段階の調整が長くかかるためです。

Q14. 許可条件に「誘導員2名以上」と書かれた場合、休憩交代のための3人目は必要ですか?

安全確保の観点から、休憩交代要員として1名以上 を追加配置するのが一般的です。労働基準法上の休憩付与とも整合させ、配置計画に反映します。

Q15. 更新申請のリードタイムはどれくらい確保すべきですか?

満了予定の 少なくとも2週間前 には更新申請または変更届を提出します。標準処理期間の目安が5〜7開庁日でも、補正が入ると余裕がなくなります。

まとめ

道路使用許可の取り方は、道路交通法77条1項の要件を踏まえたうえで、警察署への申請と道路管理者への道路占用許可を並列で運用 することが肝要です。

  • 道路使用(警察)と道路占用(道路管理者)は 根拠法・申請先・目的が異なる
  • 建設現場の多くは 両許可の同時取得 が必要。片方だけで済むケースを見極める
  • 申請から許可まで 中5〜7開庁日 が目安。着工日から逆算して余裕をもって動く
  • 申請書には 目的・場所・期間・方法 を具体的に、添付図面は保安施設配置まで盛り込む
  • 工程変更・期間延長は 変更届 で対応。無許可・条件違反には罰則あり
  • 近隣告知・苦情対応は 着工1〜2週間前の戸別告知 から動く

道路使用許可・道路占用許可の運用は、施工計画・仮設計画・近隣対策・工程管理と直結する現場マネジメント領域です。工程遅延や苦情リスクを未然に抑えるためにも、見積段階からリードタイムを確保して申請フローを回してください。関連実務は「工事の流れ|着工から竣工までの全体像」「仮設計画とは|作り方と注意点」「現場の近隣対策・苦情対応」も併せて確認いただくと、判断フレームが立体化します。

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