作業員名簿の書き方|全建統一様式第5号の記入例と改訂6版

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作業員名簿の書き方|全建統一様式第5号の記入例と改訂6版

作業員名簿とは、建設現場に入場する作業員ごとの氏名・生年月日・職種・資格・社会保険の加入状況・緊急連絡先などを記録する全建統一様式第5号の書類で、下請事業者が元請(または上位下請)へ提出し、現場で保管する扱いが一般的です。元請の施工体制台帳の添付書類としても扱われ、現場の入退場管理・安全管理・社会保険加入徹底の土台になります。

全建統一様式は2024年10月に改訂第6版へ更新され、押印欄が廃止されたり、外国人建設就労者の欄が削除されたり、社会保険の記入が略称から正式名称に揃えられたりといった変更が入りました。この記事では、はじめて作業員名簿を書く施工管理者・事務担当者を想定して、記入項目ごとの書き方と、改訂第6版での変更点、更新タイミング、保存の実務までを1本で整理します。

安全書類の全体像や、施工体制台帳との関係は別記事で詳しく扱っています。本記事は「作業員名簿そのものの書き方」に絞って読み進められる構成にしてあります。

  1. 先に結論
  2. この記事で分かること
  3. 作業員名簿とは|全建統一様式第5号と位置づけ
    1. 作業員名簿の定義と使われ方
    2. 法的な位置づけ
    3. グリーンファイル全体の中での位置
  4. 作業員名簿の記入項目一覧|欄外・欄内で何を書くか
    1. 欄外(ヘッダ)に書く項目
    2. 欄内(作業員1人1行)に書く項目
  5. 作業員名簿の書き方|項目別の記入例と注意点
    1. 事業所の名称・工事名称・所長名
    2. 自社名・住所・代表者職氏名
    3. ふりがな・氏名・生年月日
    4. 職種・経験年数
    5. 資格・免許
    6. 健康診断
    7. 緊急連絡先
  6. 全建統一様式 改訂6版(2024年10月)での変更点
    1. 1. 押印欄の廃止
    2. 2. 外国人建設就労者欄の削除
    3. 3. 社会保険の正式名称記入の徹底
    4. 4. CCUS関連欄の継続と現場ID・事業者IDの運用
  7. 社会保険・保険番号の記入ルール
    1. 健康保険
    2. 厚生年金保険
    3. 雇用保険
  8. CCUS技能者ID・事業者IDの記入方法
    1. CCUSの基本
    2. 作業員名簿への記入ルール
    3. 現場での読み取りと作業員名簿の二重管理を避ける
  9. 作業員名簿の更新タイミング|差し替え・修正の実務
    1. 更新が必要になる代表的な場面
    2. 差し替え時の実務フロー
    3. 変更時の記録を残す
  10. 保存期間と提出先|法的根拠と実務慣行
    1. 保存期間の目安
    2. 提出先と提出フロー
  11. 作業員名簿のよくあるミスと差し戻し事例
    1. 差し戻しが起きやすい5パターン
    2. 新規入場者教育との整合
    3. ヒヤリハット・事故時の照合資料
  12. 一人親方・外国人作業員の記入ポイント
    1. 一人親方(労災特別加入)
    2. 外国人作業員
  13. よくある質問(FAQ)
    1. Q1. 作業員名簿は必ず全建統一様式第5号で作らないといけませんか?
    2. Q2. 改訂第5版の様式で提出してもいいですか?
    3. Q3. 作業員名簿に押印は必要ですか?
    4. Q4. 社会保険の被保険者番号はすべて書く必要がありますか?
    5. Q5. CCUS未登録の作業員はどう書けばいいですか?
    6. Q6. 一人親方の社会保険欄は「なし」でいいですか?
    7. Q7. 一次下請がまだ現場に入っていない時期から、二次下請の作業員名簿を提出することはできますか?
    8. Q8. 作業員名簿の保存期間は何年ですか?
    9. Q9. 作業員名簿と労働者名簿(労基法)は同じものですか?
    10. Q10. 新規入場者教育の日付は、入場初日より前に書いてもいいですか?
    11. Q11. 作業員名簿を電子データで提出できますか?
    12. Q12. 誤記を発見した場合、どう訂正しますか?
  14. まとめ

先に結論

  • 作業員名簿は全建統一様式第5号で、下請会社が作成し、元請(または上位下請)へ提出する書類
  • 2024年10月の改訂第6版で、押印欄が廃止され、外国人建設就労者の欄が削除され、社会保険の正式名称記入が徹底された
  • 記入は欄外(事業所名・工事名・所長名・下請次数・作成年月日)と欄内(作業員ごとの項目)に分かれる
  • 社会保険は略称を避け、健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入状況を保険者名称と番号で正確に書く
  • 更新タイミングは「新規入場」「作業員の入れ替え」「資格・健康診断・保険の変更」。差し替え時は再提出が原則
  • 保存は現場で入場中は常備、工事完成後は元請の施工体制台帳関連書類として5年(建設業法施行規則)を目安に扱う

この記事で分かること

  • 作業員名簿が位置づけられる法令・業界ルールと提出の流れ
  • 欄外・欄内の全記入項目と項目別の記入例
  • 全建統一様式 改訂第6版(2024年10月)での変更点のまとめ
  • 社会保険とCCUS技能者ID・事業者IDの正確な記入方法
  • 作業員名簿の更新タイミング・差し替えルールと保存期間
  • よくあるミス・差し戻し事例と、一人親方・外国人作業員の扱い

作業員名簿とは|全建統一様式第5号と位置づけ

作業員名簿の定義と使われ方

作業員名簿とは、現場に入る作業員ごとに「氏名・生年月日・住所・職種・経験年数・資格・特別教育・健康診断・社会保険・緊急連絡先」などの情報をまとめた書類です。安全書類(通称グリーンファイル)の中核をなす一枚で、元請の施工体制台帳の添付書類としても扱われます。

項目 内容
正式名称 作業員名簿(全建統一様式 第5号)
作成者 下請事業者(1次下請・2次下請など、作業員を直接雇用する会社)
提出先 元請、または直近上位の下請(二次以下は一次下請経由)
提出タイミング 新規入場前・新規作業員追加前・内容変更時
保管場所 現場事務所(入場中は常備)/完了後は元請事務所・下請事務所

全建統一様式は、一般社団法人全国建設業協会が建設業の施工体制台帳・労務安全書類の様式として整備してきたフォーマットで、2024年10月に改訂第6版が公表されました(全建統一様式 様式集(改訂6版))。

法的な位置づけ

作業員名簿そのものを「必ずこの様式で」と義務づけた法律はありません。ただし、以下のように複数の法令・運用の交点に位置づけられており、実務上は全建統一様式第5号で提出するのが一般的な扱いとなっています。

  • 建設業法:民間工事では、特定建設業者が発注者から直接請け負った工事で下請契約の総額が一定額以上となる場合に、施工体制台帳の作成が必要です。公共工事では、下請契約を締結する場合に施工体制台帳の作成が求められます。作業員名簿は、施工体制台帳の関連書類として扱われる運用が広がっており、現場に備える・保存するという扱いが実務上の目安です。具体的な金額基準・条件は国土交通省『建設業法令遵守ガイドライン』の最新版で確認します
  • 労働安全衛生法:元方事業者には、建設現場の労働者について安全管理・教育実施状況の把握が求められます(元方事業者の講ずべき措置:労働安全衛生法第29条・第30条)
  • 社会保険の加入徹底対策:国土交通省の社会保険加入対策により、作業員名簿で健康保険・厚生年金・雇用保険の加入状況を明示することが運用上求められています

このため、作業員名簿は「安全書類の一枚」というより、元請が入場者の属性・資格・保険加入を一元管理するための台帳として扱われます。なお、作業員名簿そのものを施工体制台帳の添付書類と法令で定めた条文はありません。実務上は関連書類として一括で扱われる運用が広がっているに過ぎず、法定書類と現場の運用書類の区別は押さえておきます。

グリーンファイル全体の中での位置

安全書類(グリーンファイル)は、再下請負通知書・施工体制台帳・下請事業者届・工事安全衛生計画書など複数枚で構成され、作業員名簿はその一枚にあたります。全体像とフォルダ構成はグリーンファイル(安全書類)の作り方・一覧で整理しているので、はじめて揃える方はそちらと併読してください。

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作業員名簿の記入項目一覧|欄外・欄内で何を書くか

作業員名簿は、様式の上部にある「欄外(ヘッダ)」と、作業員1人1行で埋めていく「欄内(本体)」の2層構造になっています。改訂第6版での代表的な項目は次のとおりです。

欄外(ヘッダ)に書く項目

項目 書き方の要点
事業所の名称 元請が決めた現場の正式作業所名を記入(例:「◯◯新築工事作業所」)
工事名称 契約書・注文書・施工体制台帳と同じ表記にそろえる
所長名 元請の作業所長名。担当者名と混同しない
二次以下会社名 自社が二次下請以下の場合、一次下請会社名も併記
自社名・住所 自社の商号・所在地(登記上の表記)
代表者職氏名 代表取締役氏名(旧版の押印欄は改訂6版で廃止)
現場ID・事業者ID CCUSを運用している場合に記入
作成年月日 提出・差し替えのたびに更新

欄内(作業員1人1行)に書く項目

欄内の列は、改訂第6版で整理されました。代表的な列を12項目に整理すると次のとおりです。

列 項目 書き方の要点
1 ふりがな・氏名 戸籍・住民票の表記にそろえる
2 技能者ID CCUSに登録している場合に14桁の技能者IDを記入
3 職種 施工体制台帳・再下請負通知書の職種と整合
4 経験年数 その職種に従事した通算年数(1年未満は端数処理のルールを元請に確認)
5 生年月日・年齢 西暦または元号で統一。年齢は作成日時点
6 住所・雇入年月日 住民票の住所・自社との雇用契約開始日
7 健康保険 保険者名称・被保険者番号。協会けんぽ・組合健保を正式名称で
8 厚生年金保険 保険者名称・基礎年金番号は書かない(番号法上の扱い)
9 雇用保険 被保険者番号は下4桁のみを書くか、元請の指示に従う
10 資格・免許 施工管理技士・技能講習・特別教育・運転免許など
11 入場年月日・受入教育 入場日と新規入場者教育の実施日
12 緊急連絡先 本人の緊急時連絡先(家族等)。社員寮の電話番号は本人に確認

血液型・既往症・最新健康診断日などは任意項目として扱われ、個人情報保護の観点から元請が必要とする最小限の範囲で記入するのが運用上の目安です。

編集部では、2026年9〜10月に、公開されている建設業向け下請会社向け説明資料・運用資料7件を確認しました(対象:全建統一様式第5号または改訂第6版準拠の作業員名簿に言及している、検索可能な公開資料。元請会社・業界団体・事務代行事業者の公開資料に限定)。この範囲では、血液型欄は「本人同意のもと記入」とする運用に触れた資料が多く見られました。網羅調査ではなく、編集部が確認できた範囲での傾向です。

作業員名簿の書き方|項目別の記入例と注意点

ここからは、実務で間違いやすい項目を中心に、記入例と注意点を整理します。架空の作業員「山田太郎(鉄筋工・経験8年)」を例に書き進めます。

事業所の名称・工事名称・所長名

  • 事業所の名称:「◯◯マンション新築工事作業所」のように、元請が指定する作業所名をそのまま書きます
  • 工事名称:契約書・注文書・施工体制台帳の工事名称に完全一致させます。省略形・略称は使いません
  • 所長名:元請の作業所長(現場代理人)の氏名を書きます。担当者・工事主任と混同しない点に注意

自社名・住所・代表者職氏名

  • 自社名は商業登記簿上の商号で書きます。「株式会社」「有限会社」を略さないのがルールです
  • 住所は登記簿上の本店所在地、または施工体制台帳と同じ表記にそろえます
  • 代表者職氏名は「代表取締役 山田一郎」のように職名+氏名で書きます。改訂第6版で押印欄は廃止されたため、印鑑は原則不要です

ふりがな・氏名・生年月日

  • ふりがなは全角カタカナまたはひらがなで、元請のテンプレートに合わせます
  • 氏名は戸籍・住民票の表記にそろえます。旧字体・簡易字体の違いは、原則戸籍の表記を優先します
  • 生年月日は、現場内の書類で西暦・元号が混在すると照合に手間がかかるため、現場で統一した表記にそろえます

職種・経験年数

  • 職種は、施工体制台帳・再下請負通知書と同じ表現を使います(例:鉄筋工、型枠大工、鳶工、電工、配管工)
  • 経験年数は、その職種に従事した通算年数を書きます。1年未満の端数処理は元請ごとに運用が分かれるため、着工前に確認します

資格・免許

資格・免許欄には、建設業法・労働安全衛生法に基づく資格と、業務上必要な免許を書きます。代表的な分類は次のとおりです。

分類 代表例
国家資格 1級/2級施工管理技士(建築・土木・電気・管・造園・建設機械・電気通信)、建築士、電気工事士
技能講習 玉掛け、ガス溶接、小型移動式クレーン、足場組立て等作業主任者、鉄骨の組立て等作業主任者
特別教育 自由研削砥石、研削砥石、高所作業車(10m未満)、低圧電気取扱、墜落制止用器具
運転免許 普通自動車運転免許、大型特殊自動車運転免許

資格と講習の違いを混同しないことが大切です。たとえば「作業主任者=技能講習修了」「特別教育=事業者が実施する教育」なので、記入時に「資格」と「受講歴」を分けて書きます(出典:厚生労働省『安全衛生教育等推進要綱』)。

健康診断

一般健康診断(労働安全衛生規則第44条)に基づく最新の実施日と、必要に応じて特殊健康診断(有機溶剤・鉛・電離放射線・じん肺など)の情報を書きます。年に1回以上の実施が義務づけられている健診の有無は、現場受入時の判断材料になります。

緊急連絡先

本人の家族や同居人の氏名・続柄・電話番号を書きます。社員寮に単身で住む場合は、本人・会社と相談のうえ、会社の総務部門を緊急連絡先として代用するケースもあります。

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全建統一様式 改訂6版(2024年10月)での変更点

改訂第6版は2024年10月に公表され、作業員名簿を含む労務安全書類の様式が整理されました。作業員名簿に関係する代表的な変更点を4つに整理します。

1. 押印欄の廃止

旧版まで残っていた代表者印・担当者印の押印欄が廃止されました。電子提出・デジタル化の普及に合わせた変更で、紙で提出する場合も原則押印なしで扱われます。ただし、元請ごとに「代表者欄に職名+氏名を書く」運用は残っているため、空欄のまま提出しない点には注意します。

2. 外国人建設就労者欄の削除

外国人建設就労者受入事業(旧制度)の在留資格欄が削除されました。現在、建設業で外国人材を受け入れる場合、技能実習・特定技能・育成就労(2027年4月1日施行予定)など別の在留資格区分で管理されるため、作業員名簿そのものには在留資格の記入欄が残っていないのが基本です。詳細は特定技能・育成就労などの制度解説に整理しています。

3. 社会保険の正式名称記入の徹底

保険者名称を「協会」「組合」などの略称でなく、正式名称で書くルールが明文化されました。たとえば「協会けんぽ」ではなく「全国健康保険協会」、建設国保の場合は加入している国民健康保険組合の名称を記入します。

4. CCUS関連欄の継続と現場ID・事業者IDの運用

建設キャリアアップシステム(CCUS)の技能者ID・事業者IDの記入欄は改訂6版でも継続され、CCUSを運用している現場では記入が広がっています。現場IDは元請が発行し、事業者ID・技能者IDは下請会社・作業員本人がCCUSに登録している場合に記入します。

旧版(第5版以前) 改訂6版(2024年10月〜)
代表者印・担当者印の押印欄あり 押印欄なし(原則)
外国人建設就労者の在留資格欄あり 削除
社会保険は略称でも可の運用も見られた 正式名称での記入が明文化
CCUS技能者ID・事業者IDは任意欄 継続。登録済みは記入が広がっている

社会保険・保険番号の記入ルール

社会保険の記入は、改訂第6版で最も厳格化された部分です。「加入している・いない」の区別が後工程(施工体制台帳・社会保険未加入対策)に直結するため、略称と正式名称の違いを押さえておきます。

健康保険

加入先 書き方の例
全国健康保険協会(協会けんぽ) 「全国健康保険協会」+被保険者番号
健康保険組合 「◯◯健康保険組合」+被保険者番号
建設国民健康保険組合 「全国建設工事業国民健康保険組合」など正式名称+組合員番号
国民健康保険 市町村名+「国民健康保険」+被保険者番号

厚生年金保険

厚生年金の保険者名称は「日本年金機構」で統一されます。被保険者整理記号・番号を書きますが、基礎年金番号そのものを書かないのが実務の目安です(番号利用法の観点)。元請の様式で欄が指定されている場合は、その欄の指示に従います。

雇用保険

  • 加入している:「加入」の旨+被保険者番号の下4桁を書く運用が広がっています。番号の全桁は個人情報の観点から記入を避け、元請の様式指定がある場合はその指示に従います
  • 加入義務がない:週所定労働時間が短い、または雇用関係がないなど、適用除外に該当する場合は「適用除外」と書き、根拠(雇用保険法上の除外事由)を社内で控えます。65歳以上の労働者は2017年1月以降、原則として雇用保険の適用対象(高年齢被保険者)となっているため、年齢だけを根拠に適用除外と書かないよう注意します
  • 加入していない(本来加入義務あり):空欄のまま提出せず、元請・自社の労務担当者と加入手続きを進めてから提出するのが原則です

国民健康保険だけに加入している・年金が国民年金のみという状態は、建設業で広く見られる一方、元請の社会保険加入徹底方針に反する扱いになる現場もあります。元請の方針を事前に確認し、必要であれば加入後に名簿を更新します(出典:国土交通省『社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン』)。

CCUS技能者ID・事業者IDの記入方法

CCUSの基本

建設キャリアアップシステム(CCUS)は、技能者の資格・現場就業履歴を蓄積する業界共通システムです。登録済みの技能者には14桁の技能者ID、事業者には事業者IDが発行されます。

作業員名簿への記入ルール

  • 技能者IDは、本人がカードを所持している場合、カード券面またはマイページで確認した14桁を記入します
  • 事業者IDは、自社の登録証または管理者マイページで確認し、全桁または元請の指定桁数で記入します
  • 現場IDは、元請の作業所から発行された現場コードを転記します

CCUSに未登録の作業員の場合、該当欄は空欄のまま提出し、別途「登録を進めている」旨を元請の受入担当に伝えておくと、入場後の差し替え手続きがスムーズになります。

現場での読み取りと作業員名簿の二重管理を避ける

CCUSの現場登録機能・入退場読み取りで取得される情報と、作業員名簿の情報は重複する部分があります。元請が「CCUS読み取りを運用しているので作業員名簿は簡易版でよい」と指定するケースも増えてきました。現場ごとの運用を着工前に書面で確認し、二重入力を減らすのが実務の目安です。

作業員名簿の更新タイミング|差し替え・修正の実務

作業員名簿は、現場の実態と乖離しないよう、随時更新します。更新が必要になる代表的なタイミングは次のとおりです。

更新が必要になる代表的な場面

  • 新規作業員の入場(入場日前日までに差し替え)
  • 既存作業員の離脱・交替(翌営業日までに差し替え)
  • 資格・特別教育の新規取得・更新(取得後の次回入場時までに反映)
  • 健康診断の実施(1年に1回以上の実施結果を反映)
  • 社会保険の変更(転職・雇用形態変更・加入手続き完了時)
  • 緊急連絡先の変更(本人申告次第、速やかに反映)
  • 住所変更・氏名変更(住民票・戸籍の変更次第、速やかに反映)

差し替え時の実務フロー

  1. 変更内容を自社の労務担当者が本人と確認
  2. 新しい作業員名簿を全建統一様式第5号で作成
  3. 旧版と差分(追加・削除・変更)を分かるようにして元請へ提出
  4. 元請の受領確認を得て、現場備付の最新版を差し替え
  5. 旧版は廃棄せず、更新前の履歴として保管

差し替え前に新しい作業員を入場させないのが原則です。入場後に「名簿にない作業員が入っていた」と指摘を受けると、差し戻し・入場停止につながるため、特に着工直後の繁忙期は注意が必要です。

変更時の記録を残す

元請・下請とも、差し替え前後の作業員名簿を履歴として保管しておくと、後日の労災・社会保険調査の際にスムーズです。工事書類の履歴管理方法は施工管理 書類の一覧と流れに整理しているので、ファイル命名・バージョン管理の参考になります。

保存期間と提出先|法的根拠と実務慣行

保存期間の目安

作業員名簿は、他の施工体制台帳関連書類と同じ扱いで、以下のような保存期間が実務上の目安になります。

書類 保存期間の目安 根拠・備考
施工体制台帳(添付書類含む) 工事完成後5年 建設業法施行規則第28条の運用(元請側)
作業員名簿(元請・下請共通) 工事完成後5年 施工体制台帳の関連書類として5年保管の運用
労働者名簿(労基法上) 死亡・退職・解雇の日から5年(当分の間3年) 労働基準法第107条・第109条
健康診断個人票 一般健康診断は5年、じん肺等は7年など 労働安全衛生規則・じん肺法ほか

作業員名簿そのものを「◯年保存」と明記した条文はありませんが、施工体制台帳の添付書類として扱われるため、元請側では工事完成後5年を目安に保管する運用が広がっています。下請側も同じ年限で保管しておくと、労災・社会保険・税務の調査時に照合しやすくなります。詳細は工事書類の保存期間でも整理しています。

提出先と提出フロー

  • 下請(1次下請)→ 元請の作業所長・事務担当者へ提出
  • 下請(2次以下)→ 直近上位の下請へ提出し、1次下請がまとめて元請へ提出
  • 元請は、受領した作業員名簿を施工体制台帳の添付書類として現場に備え、工事期間中は常備
  • 工事完成後は、施工体制台帳と同じフォルダに綴じて、本社・事業所で5年を目安に保管

作業員名簿のよくあるミスと差し戻し事例

元請の受入担当・現場代理人が作業員名簿を確認する際、差し戻しが発生しやすい代表的なパターンを整理します。公開求人・業界誌の運用事例と、編集部が確認した下請会社向け研修資料をもとに整理したものです(網羅調査ではなく、傾向把握を目的とした整理)。

差し戻しが起きやすい5パターン

パターン 内容 回避のポイント
社会保険の略称記入 「協会」「組合」のみで正式名称が無い 全国健康保険協会・◯◯健康保険組合などで統一
施工体制台帳と職種が不一致 名簿「鉄筋工」/台帳「とび・鉄筋工」 台帳の職種呼称に合わせる
資格と講習の混同 「玉掛け資格」と書くが実際は技能講習修了 技能講習・特別教育の区別を明示
緊急連絡先の抜け 緊急連絡先欄が空欄 本人への聞き取りを徹底
更新遅れ(交替未反映) 入場後に名簿更新が追いつかない 入場前日までに差し替えを徹底

新規入場者教育との整合

作業員名簿に書く「新規入場時の受入教育実施日」は、現場で実施される新規入場者教育の日付です。労働安全衛生法上の雇入れ時教育と混同しないよう、別記録に分けて管理するのが実務の目安です(雇入れ時教育は自社側の責任、新規入場時教育は現場側で実施)。

ヒヤリハット・事故時の照合資料

労災・事故が発生した際、作業員名簿は被災者の属性・資格・保険加入状況を照合する一次資料として扱われます。ヒヤリハット報告との連携方法はヒヤリハットの書き方と事例に整理しているので、安全書類とヒヤリハットの関係を押さえておくと役立ちます。

一人親方・外国人作業員の記入ポイント

一人親方(労災特別加入)

一人親方として現場に入場する場合、通常の作業員とは記載が異なる部分があります。

  • 社会保険:国民健康保険・国民年金が中心となるため、保険者名を正しく記入
  • 労災保険:元請の労災適用ではなく、労災特別加入(第二種特別加入)の加入状況を記入。特別加入団体名と整理番号を書く
  • 雇用保険:原則「適用除外」。雇用関係がないため雇用保険の被保険者ではない
  • 一人親方特有欄:元請の様式で「一人親方」の区別欄がある場合はチェック

一人親方の労災特別加入は、建設業の個人事業主にとって重要な保険です。制度の全体像は一人親方の労災特別加入の仕組みでも触れています(施工体制台帳の記入例と併せて確認してください)。

外国人作業員

改訂第6版で作業員名簿本体から「外国人建設就労者」の在留資格欄は削除されましたが、技能実習・特定技能・育成就労(2027年4月1日施行予定)など、別の在留資格区分で受け入れる場合は、以下を自社の管理台帳として整えておく必要があります。

  • 在留カード番号・在留資格・在留期間(本人同意のうえで管理台帳に記録)
  • 技能実習計画認定番号(技能実習生の場合)
  • 特定技能雇用契約・支援計画の管理番号(特定技能の場合)
  • 日本語能力・現場コミュニケーション手段

外国人の受入れでは、CCUS技能者IDの発行が別フローになることがあります。制度の全体像は育成就労制度(建設)の概要で解説しているので、2027年施行予定の変更も含めて事前に確認しておきます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 作業員名簿は必ず全建統一様式第5号で作らないといけませんか?

法律で「この様式でなければならない」とは定められていません。ただし、全建統一様式は多くの元請が標準として採用しており、改訂のたびに国交省・業界団体の運用に合わせて更新されるため、元請から別様式を指定されない限りは全建統一様式第5号を使うのが実務上の目安です。元請独自の様式がある場合は、着工前に書面で指定を受けてから準備します。

Q2. 改訂第5版の様式で提出してもいいですか?

改訂時期をまたぐと、受領側の確認に時間がかかります。可能な限り最新の改訂第6版(2024年10月)で提出するのが望ましく、改訂前の様式で提出済みのものは、次回更新時に第6版へ切り替えます。改訂のたびに全建ネットが新様式を公開しているので、着工前に最新版を確認します。

Q3. 作業員名簿に押印は必要ですか?

改訂第6版で押印欄は廃止されたため、原則として押印は不要です。ただし、元請の指定で「代表者欄に職名+氏名を記入」と求められる場合はあります。手書きまたはパソコン入力で、職名+氏名の記入をもって提出します。

Q4. 社会保険の被保険者番号はすべて書く必要がありますか?

基礎年金番号は番号利用法の関係から、原則として作業員名簿には書きません。健康保険の被保険者番号・雇用保険の被保険者番号(下4桁)は、元請の様式指定がある場合はその指示に従い、指定がない場合は本人同意のうえで最小限の範囲にとどめるのが実務の目安です。全桁を書く様式が指定されている場合でも、保管・提出・破棄のルールを社内で整えてから対応します。

Q5. CCUS未登録の作業員はどう書けばいいですか?

技能者ID欄は空欄のまま提出し、別途「登録手続中」であることを元請へ共有します。CCUS登録は原則として本人申請ですが、自社として登録を推進している場合は、入場前の登録を目安にします。

Q6. 一人親方の社会保険欄は「なし」でいいですか?

厚生年金・健康保険の加入義務が無い(国民健康保険・国民年金に加入)ことを示すため、「国民健康保険」「国民年金」など実際の加入内容を書くのが運用の目安です。雇用保険は適用除外、労災は特別加入の有無を書きます。「なし」とだけ書くと、未加入か適用除外かが区別できず、差し戻しの原因になります。

Q7. 一次下請がまだ現場に入っていない時期から、二次下請の作業員名簿を提出することはできますか?

原則として、作業員名簿は上位下請を経由して提出します。一次下請の体制が未確定の時期は、一次下請会社を仮の提出窓口として扱い、確定後に正式に経由ルートを整理する運用が一般的です。元請・一次下請・二次下請の間で、提出フローを着工前に確認しておきます。

Q8. 作業員名簿の保存期間は何年ですか?

作業員名簿そのものを「◯年保存」と明示した条文はありませんが、施工体制台帳関連書類として、工事完成後5年を目安に保存する運用が広がっています。労働基準法上の労働者名簿(事業場備付)は、死亡・退職・解雇の日から5年(当分の間3年)です。詳細は工事書類の保存期間で整理しています。

Q9. 作業員名簿と労働者名簿(労基法)は同じものですか?

別物です。労働者名簿は労働基準法第107条に基づく事業場備付の書類で、記入項目も法定されています。作業員名簿は現場ごとの管理台帳で、全建統一様式第5号が標準です。それぞれの保存場所・保存期間が異なるため、同一視せず別書類として扱うのが原則です。

Q10. 新規入場者教育の日付は、入場初日より前に書いてもいいですか?

新規入場者教育は、原則として現場に初めて入場する当日に実施する運用です。入場初日より前に先行して書くと、実施記録と乖離するため、入場当日に受けた教育実施日を記入します。前日にリモートで事前説明を受ける現場もあり、その場合はリモート実施日と当日の現場教育日を分けて書く扱いが広がっています。

Q11. 作業員名簿を電子データで提出できますか?

元請の運用次第です。CCUSの現場登録機能や各種安全書類クラウドサービス(例:グリーンサイト、Buildee)を使って電子提出する現場が増えていますが、紙提出のみの元請も残っています。電子提出の場合は、データ形式(Excel/PDF)・ファイル命名・保管場所を元請の指示に合わせます。

Q12. 誤記を発見した場合、どう訂正しますか?

訂正印・二重線の使い方は、元請の運用に合わせます。改訂第6版で押印が廃止されたことに合わせ、電子データの場合は修正履歴(Excelコメント・PDFの改訂版)で管理する運用が広がっています。紙運用の場合は二重線+訂正者イニシャルで修正し、作成年月日を更新します。

まとめ

作業員名簿は、現場の入場者を一元管理するための「安全書類の中核」であり、記入ミスが差し戻し・入場停止につながりやすい一枚です。改訂第6版(2024年10月)の変更点を押さえ、以下のポイントを現場で徹底していくことが、スムーズな現場運営につながります。

  • 作業員名簿は全建統一様式第5号で、改訂第6版(2024年10月)での変更点(押印廃止・外国人欄削除・保険者正式名称・CCUS継続)を押さえる
  • 欄外(事業所名・工事名・所長名・下請次数)と欄内(作業員ごとの12項目)を分けて記入し、施工体制台帳と整合させる
  • 社会保険は略称を避け、健康保険・厚生年金・雇用保険の加入状況を正式名称で書く
  • CCUS技能者ID・事業者ID・現場IDは、登録済みの場合に14桁を転記
  • 更新タイミング(入場・交替・資格更新・健診・保険変更)を見逃さず、入場前日までに差し替える
  • 保存は工事完成後5年を目安に、施工体制台帳関連書類として一括管理する

はじめて現場で安全書類を揃える方は、本記事とグリーンファイル(安全書類)の作り方・一覧・施工体制台帳の書き方と記入例を併読すると、全体像から記入ルールまでを一度に押さえられます。施工管理・現場事務の求人はタテルートの施工管理・建設業の求人一覧で勤務地・資格・工事対象から絞り込めます。


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