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QC工程表の作り方|7項目と工種別サンプル・管理値の書き方

QC工程表の作り方|7項目と工種別サンプル・管理値の書き方

QC工程表(施工品質管理表)とは、原材料の入荷から成果物の引き渡しまでの各工程で「誰が・何を・どのように・いつ管理するか」を1枚に集約した品質管理表で、公共工事共通仕様書に基づく品質計画書の中核書類として位置づけられます。監督員の承諾を受けて運用され、書き方が甘いと施工体制の信頼性そのものが問われます。

とはいえ現場では、テンプレートを流用して工程名だけ差し替えたQC工程表が形骸化し、実際の検査記録と噛み合わないケースが少なくありません。管理項目・管理値・測定頻度・記録方法・異常時処置の書き方に悩む若手監督や、初めて品質担当を任された施工管理職の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、QC工程表の記載7項目と工程記号(JIS Z 8206)の使い方、鉄筋・コンクリート・仕上げ・設備の工種別サンプル、作成7ステップ、そして現場で起こりやすい失敗5パターンまで整理します。品質計画書・作業標準書・施工要領書との関係も含めて、監督員承諾を通しやすく、かつ現場で本当に機能する1枚に仕上げるための実務ガイドです。

  1. 先に結論
  2. この記事で分かること
  3. QC工程表とは|施工品質管理表の定義と法的位置づけ
    1. 呼称のバリエーション
    2. 公共工事共通仕様書での位置づけ
  4. 品質計画書・作業標準書・施工要領書との違い|3書類の役割分担
    1. 3書類の役割比較
    2. 3書類の連携イメージ
    3. QC工程表と作業標準書の切り分け方
  5. QC工程表の記載7項目|工程・管理項目・管理値・方法・頻度・記録・異常時処置
    1. 記載7項目の一覧
    2. 項目ごとの書き方のコツ
    3. 管理値の記載ルール(許容差と有効数字)
  6. 工程記号JIS Z 8206|作業・検査・運搬・停滞・貯蔵の使い分け
    1. 基本記号の一覧
    2. 記号運用のコツ
  7. 【工種別サンプル①】鉄筋工事のQC工程表
    1. 鉄筋工事QC工程表(サンプル)
    2. 鉄筋工事の管理値の根拠
  8. 【工種別サンプル②】コンクリート工事のQC工程表
    1. コンクリート工事QC工程表(サンプル)
    2. 管理値の根拠
  9. 【工種別サンプル③】仕上げ・内装工事のQC工程表
    1. 内装(塗装・防水・ボード)工事QC工程表(サンプル)
    2. 仕上げ工事の管理値の考え方
  10. 【工種別サンプル④】設備・電気工事のQC工程表
    1. 設備・電気工事QC工程表(サンプル)
    2. 設備工事の管理値の根拠
  11. QC工程表の作り方7ステップ|フォーマット決定から監督員承諾まで
    1. 作成7ステップ
    2. 作成時に避けたい5つのアンチパターン
  12. QC工程表運用の失敗5パターン|現場で起こりやすい落とし穴
    1. 失敗1|網羅しすぎて誰も見ない
    2. 失敗2|更新されず陳腐化する
    3. 失敗3|管理値の根拠が不明
    4. 失敗4|責任者が「品質担当」等の曖昧記述
    5. 失敗5|写真台帳と紐付いていない
  13. 品質記録の電子化・アプリ・BIM/CIM連携
    1. 電子化のメリット
    2. BIM/CIMとの連携動向
    3. 電子化を進める際の注意点
  14. ケース別|QC工程表の再設計4パターン
    1. ケース1|新築RC造の建築工事
    2. ケース2|大規模改修・リニューアル工事
    3. ケース3|土木構造物(トンネル・橋梁・道路)
    4. ケース4|設備更新・改修
  15. よくある質問(FAQ)
    1. Q1. QC工程表は誰が作るのですか?
    2. Q2. 民間工事でもQC工程表は必要ですか?
    3. Q3. QC工程表と工程表(スケジュール)は何が違いますか?
    4. Q4. 工程記号は必須ですか?
    5. Q5. 管理値の根拠にはどの規格を使えばいいですか?
    6. Q6. 全項目を全数検査すべきですか?
    7. Q7. 異常時処置には何を書けばいいですか?
    8. Q8. QC工程表と施工要領書、どちらが上位ですか?
    9. Q9. QC工程表の改訂はどのくらいの頻度で行うべきですか?
    10. Q10. QC工程表の作成能力は転職市場でどう評価されますか?
    11. Q11. デジタル化のツールは何を選べばいいですか?
    12. Q12. QC工程表と2024年問題の関係はありますか?
  16. まとめ|QC工程表を「機能する1枚」に仕上げる3原則
    1. 年収・転職でお悩みの方へ

先に結論

  • QC工程表は「工程名・管理項目・管理値・管理方法・測定頻度・記録方法・異常時処置」の7項目を1枚に集約した施工品質管理表
  • 公共工事共通仕様書に基づき 品質計画書の一部 として提出し、監督員の承諾を受けて運用する
  • 工程記号は JIS Z 8206「工程図記号」 を参考にすると社内外で通じやすい
  • 管理値は数値と単位・許容差(例:スランプ 18±2.5cm)で書き、根拠となる仕様・基準を併記する
  • 現場で機能させるには「簡潔さ・工種別展開・年1回改訂」の3原則を守る

この記事で分かること

  • QC工程表の定義と、公共工事共通仕様書上の位置づけ
  • 記載7項目の具体的な書き方と管理値の表現ルール
  • 鉄筋・コンクリート・仕上げ・設備工事のQC工程表サンプル
  • 作成7ステップ(フォーマット決定〜監督員承諾〜改訂)
  • 品質計画書・作業標準書・施工要領書との違い
  • 現場で起こりやすい失敗5パターンと更新運用のコツ
  • 電子化・アプリ・BIM/CIMとの連携動向

QC工程表とは|施工品質管理表の定義と法的位置づけ

QC工程表とは、原材料の入荷から成果物の引き渡しまでの各工程について、管理項目・管理値・測定方法・頻度・記録方法・責任者・異常時処置 を一覧化した品質管理表です。「Quality Control 工程表」の略で、建設業では「施工品質管理表」「QC工程図」と呼ばれることもあります。製造業で発展した手法を建設・建築工事に応用したもので、公共工事では品質計画書と一体で提出する運用が定着しています。

呼称のバリエーション

現場での呼び方は会社・発注者によって微妙に異なります。以下いずれの名称でも、内容は本質的に同じものを指します。

呼称 主な使用場面
QC工程表 元請ゼネコン・製造業寄りの呼称
QC工程図 記号中心で表現するときに用いられる呼称
施工品質管理表 公共工事共通仕様書での呼称に近い
品質管理工程表 官庁工事の提出書式で見られる

公共工事共通仕様書での位置づけ

国土交通省「公共建築工事共通仕様書」および「土木工事共通仕様書」では、受注者は工事目的物の品質を確保するために 品質計画書(品質管理計画書)を作成し、監督員の承諾を受ける ことが定められています。QC工程表はその品質計画書の中核をなす書類で、以下の役割を担います。

  • 管理項目の明示:どの工程で何を管理するか
  • 管理基準の明示:管理値・許容差・判定方法
  • 管理体制の明示:責任者・確認者・記録者
  • 是正フローの明示:異常検出時の処置

民間工事でも、監理者や発注者から品質計画書一式の提出を求められるケースが増えており、QC工程表の作成能力は施工管理職の基礎スキルとして位置づけられます。

なお、品質管理全体像(4大管理におけるQの位置づけ、共通チェック項目、記録の保存方法など)は 品質管理チェック項目|現場で使える22項目 で扱っています。本記事はそのうち QC工程表そのもの に焦点を絞って深掘りします。

品質計画書・作業標準書・施工要領書との違い|3書類の役割分担

QC工程表は単独で成立する書類ではありません。品質計画書・作業標準書・施工要領書と役割を分担し、体系全体で品質を保証します。混同しやすい3書類の違いを整理します。

3書類の役割比較

書類 目的 記載内容 使用者
品質計画書 工事全体の品質方針と体制を示す 品質方針・組織体制・重点管理事項・提出書類一覧 監督員・監理者(承諾用)
QC工程表 どこで何をどう管理するかを一覧化 工程・管理項目・管理値・測定方法・頻度・記録・異常時処置 現場担当者・検査担当者
作業標準書/施工要領書 具体的な作業手順を示す 使用材料・機器・手順・安全上の留意点 作業員・職長

QC工程表は品質計画書の下位に位置づき、作業標準書は QC工程表で決めた「管理値」を担保するための実行手順書という関係になります。

3書類の連携イメージ

品質計画書(上位方針)
  ├─ 重点管理事項の宣言
  └─ 提出書類一覧・体制図
        ↓
QC工程表(何をどう管理するかの一覧)
  ├─ 工程ごとの管理項目・管理値
  └─ 測定方法・頻度・記録
        ↓
作業標準書/施工要領書(実行手順)
  ├─ 材料・機器・作業手順
  └─ 品質を担保する具体アクション

QC工程表と作業標準書の切り分け方

現場でよくある混乱が「QC工程表と作業標準書、どちらに何を書くか」です。基本の切り分けは以下です。

  • QC工程表:測定対象・管理値・許容差・測定機器・測定タイミング・記録方法・責任者・異常時処置
  • 作業標準書:材料の選定・工具の使用法・作業姿勢・作業手順・段取り・安全確認

つまり、QC工程表は「監視」を、作業標準書は「実行」を 担う書類です。両者を混ぜず、片方の情報を片方に集約すると更新性が悪化するため、書類間の相互参照は「◯◯編作業標準書 2.3項参照」のように明記します。

QC工程表の記載7項目|工程・管理項目・管理値・方法・頻度・記録・異常時処置

QC工程表の記載項目は各社・各発注者で細部が異なりますが、実務標準は以下の7項目です。過不足なく揃えると、監督員承諾時の指摘が減り、現場でも運用しやすくなります。

記載7項目の一覧

番号 項目名 記載内容 記載例
1 工程名 作業単位の名称。JIS Z 8206の工程記号を併記 「配筋(◯作業)」「スランプ試験(◇検査)」
2 管理項目 品質を左右する具体的な特性 かぶり厚さ/スランプ/圧縮強度/膜厚
3 管理値 数値基準・許容差 30mm以上/18±2.5cm/設計基準強度以上
4 管理方法(測定方法) 検査手段・機器 かぶり測定器/スランプコーン/供試体試験
5 測定頻度 いつ・何回測定するか 打設前 全数/打設ロットごと1回/28日養生後
6 記録方法 記録用紙・電子化・写真台帳 配筋検査記録(写真台帳含む)/試験報告書
7 異常時処置 判定基準逸脱時の対応 監督員報告・是正指示・再検査/打設中止

項目ごとの書き方のコツ

① 工程名:作業を細かく分けすぎず、1シートで一望できる粒度(1工種10〜20行程度)にまとめます。詳細な作業手順は作業標準書に逃がします。

② 管理項目:「品質を左右する特性」に絞ります。例えばコンクリート打設なら、スランプ・空気量・塩化物量・温度・圧縮強度が主要な管理項目で、それ以外の「打設速度」等は施工要領書側に書きます。

③ 管理値必ず数値と単位・許容差 で表現します。「良好」「適正」等の主観語は禁物です。管理値の根拠となる仕様(例:JIS A 5308、公共建築工事標準仕様書 6章)を欄外またはコメント欄に明記します。

④ 管理方法:使用する測定機器を具体的に書きます(例:かぶり測定器はケーブルインダクター型、電磁誘導型など)。機器の校正周期にも触れられると精度評価がしやすくなります。

⑤ 測定頻度:全数検査か抜取検査かを明示し、抜取なら ロット定義と抜取基準 を書きます。例:「打設150m³ごとに1回、または1日1回のうち少ない方」。

⑥ 記録方法:記録用紙の書式番号または電子帳票のID、写真台帳の位置づけを書きます。写真は「工事写真管理基準」(国交省)に沿う ことを明記します。

⑦ 異常時処置:管理値を逸脱した場合の 判定基準・処置・再検査・報告先 を書きます。異常時処置が空欄のQC工程表は監督員承諾で高確率に指摘されます。

管理値の記載ルール(許容差と有効数字)

管理値は以下のルールで表現します。

  • 数値+単位+許容差:例「スランプ 18±2.5cm」
  • 基準値の呼び方:規格値・目標値・許容値の使い分けを社内基準で統一
  • 有効数字:測定機器の分解能に合わせる(例:スランプ計は0.5cm刻み、かぶり測定器は1mm刻み)
  • 上下限の明示:片側基準の場合は「以上」「以下」を必ず記載

工程記号JIS Z 8206|作業・検査・運搬・停滞・貯蔵の使い分け

QC工程表に工程記号を入れると、社内外の関係者が 一目で工程の性質を判別 できます。工程記号は日本産業規格 JIS Z 8206「工程図記号」 に定められており、製造業だけでなく建設現場でも共通言語として使えます。

基本記号の一覧

記号 意味 建設現場での使用例
加工(作業) 配筋・打設・墨出し・組立
検査(品質) スランプ試験・かぶり検査・出来形計測
検査(数量) 材料受入数量確認・数量計上
▷(矢印) 運搬 資材搬入・場内小運搬
D 停滞 養生・待機
貯蔵 資材ヤード保管・工具庫格納

記号運用のコツ

  • 検査記号(◇)と作業記号(○)を 色分け すると、検査ポイントが視覚的に浮き上がる
  • 施工計画書に工程記号の凡例を1ページ入れると、監督員が読み解きやすい
  • 記号を細かく使い分けすぎると読みにくくなるため、主要記号5種類程度に絞る のが実用的

なお、記号の名称・書式は改訂される可能性があるため、社内標準を作る前に必ず日本産業標準調査会(JISC) で最新のJIS Z 8206本文を確認してください。

【工種別サンプル①】鉄筋工事のQC工程表

鉄筋コンクリート造の品質は、鉄筋の加工精度・組立精度・配筋精度で大きく左右されます。以下は現場でよく使われる鉄筋工事のQC工程表サンプルです。

鉄筋工事QC工程表(サンプル)

工程名 管理項目 管理値 管理方法 測定頻度 記録方法 異常時処置
材料受入(○) ミルシート照合 材質・寸法一致 ミルシート・製品タグ照合 搬入ロットごと全数 受入検査記録+写真 返品・監督員報告
加工(○) 曲げ形状・寸法 ±5mm以内(径により変動) メジャー・角度計 ロットごと抜取10% 加工検査記録 再加工・是正
組立(○) 継手位置・定着長 建築基準法施行令+JASS 5に準拠 メジャー・目視 部位ごと全数 配筋検査記録+写真 再組立
配筋検査(◇) かぶり厚さ 設計かぶり厚以上(構造・部位により変動) かぶり測定器 打設前全数 配筋検査記録+写真 スペーサー追加・再組立
配筋検査(◇) 鉄筋径・本数・ピッチ 設計図書と一致 メジャー・目視 打設前全数 配筋検査記録+写真 是正・監督員報告

鉄筋工事の管理値の根拠

配筋検査は元請主任(または監理者)による立会検査が原則で、監督員の指示に応じて 打設前配筋検査記録(写真台帳含む) を提出します。より詳しい配筋検査を含む施工検査の種類 は関連記事で解説しています。

【工種別サンプル②】コンクリート工事のQC工程表

コンクリートは打設後の是正が困難な材料であるため、受入検査でのシャットアウト が品質確保の要になります。JIS A 5308「レディーミクストコンクリート」に沿った管理項目が中心です。

コンクリート工事QC工程表(サンプル)

工程名 管理項目 管理値 管理方法 測定頻度 記録方法 異常時処置
発注(○) 配合計画書 設計基準強度・スランプ・骨材最大寸法 配合計画書照合 発注時 配合計画書 再計画・監督員承諾
受入検査(◇) スランプ 18±2.5cm(呼び強度18〜36の一般例) スランプコーン 打設ロットごと1回以上 受入検査記録 返送・打設中止
受入検査(◇) 空気量 4.5±1.5%(普通コンクリートの一般例) 空気量測定器 打設ロットごと1回以上 受入検査記録 返送・打設中止
受入検査(◇) 塩化物量 0.30kg/m³以下(原則) 塩分測定器 打設ロットごと1回以上 受入検査記録 返送
受入検査(◇) コンクリート温度 打設時35℃以下(暑中期は要監視) 温度計 打設ロットごと1回以上 受入検査記録 冷却・打設時間帯調整
打設(○) 打設速度・打重ね時間 打重ね時間 外気温25℃未満120分・25℃以上90分(JASS 5準拠の目安) 時計・目視 打設中連続 打設記録 打継処理・監督員報告
供試体作製(◇) 圧縮強度供試体 呼び強度・種類ごとに規定数(150m³ごと1組等) 標準養生/現場水中養生 打設ロットごと 圧縮強度試験報告 追加試験・監督員報告
圧縮強度試験(◇) 材齢28日圧縮強度 設計基準強度以上 JIS A 1108 材齢28日 圧縮強度試験報告 コア抜き試験・監督員報告
養生(○) 湿潤養生日数 普通ポルトランドセメント5日以上等(JASS 5準拠) 目視・散水記録 養生期間中 養生記録 養生延長

管理値の根拠

  • スランプ・空気量・塩化物量JIS A 5308「レディーミクストコンクリート」
  • 打重ね時間・養生日数:JASS 5および公共建築工事標準仕様書 6章
  • 暑中コンクリート・寒中コンクリート:JASS 5に個別章あり、外気温に応じた特別管理が必要

コンクリートの受入検査全般は 材料検査・受入検査のポイント でも扱っています。QC工程表ではこの記事の内容を 管理値と頻度に落とし込む イメージです。

【工種別サンプル③】仕上げ・内装工事のQC工程表

仕上げ工事は目視検査と数値管理が混在するため、「合否判定の基準」を明確にする ことが重要です。塗装・防水・タイル・左官・内装ボードで管理項目が異なります。

内装(塗装・防水・ボード)工事QC工程表(サンプル)

工程名 管理項目 管理値 管理方法 測定頻度 記録方法 異常時処置
下地確認(◇) 含水率・平滑度 塗料メーカー指定値以下(下地・塗料種別により変動) 含水計・レーザー水準器 塗装前全数 下地検査記録 補修・監督員報告
塗装(○) 塗布量・膜厚 塗料仕様書の指定値 ウェットゲージ・電磁膜厚計 塗装ロットごと抜取 塗装記録+写真 再塗装
塗装検査(◇) 塗膜外観・付着性 剥離・むら・ふくれなし 目視・付着力試験(一部) 完成時全面 塗装検査記録+写真 是正塗装
防水工事(○) 施工温度・湿度 材料メーカー指定範囲 温湿度計 施工時1回/日以上 施工記録 施工中止・延期
防水検査(◇) 水張り試験 24時間漏水なし(防水種別により変動) 水張り・散水 完成時 水張り試験記録+写真 是正・再試験
タイル工事(○) 圧着材塗布量・オープンタイム 材料メーカー指定範囲 目視・時計 ロットごと 施工記録 剥がし直し
タイル検査(◇) 接着力・打診 引張接着力0.4N/mm²以上(一般例) 引張試験機・打診棒 ロットごと抜取/完成時全面 検査記録+写真 是正・張り替え

仕上げ工事の管理値の考え方

  • 数値管理と目視管理の併用:塗膜厚さ・接着力は数値管理、外観品質は目視管理
  • 合否基準の写真化:目視管理は「合格例・不合格例の写真」を巻末に添付すると再現性が上がる
  • 材料メーカー技術資料の位置づけ:仕上げ材はメーカーの施工要領書・技術資料が事実上の基準になる場面が多く、管理値の根拠として明示する

塗装工事の施工管理内装工事の施工管理 では、工種ごとの詳細管理項目を扱っています。QC工程表はそこから 管理値と頻度に絞り込んだ一覧 として作成します。

【工種別サンプル④】設備・電気工事のQC工程表

設備・電気工事は隠蔽部が多く、通線前・断熱前・埋設前の中間検査 が品質確保のカギです。定量試験(絶縁抵抗・接地抵抗・水圧・気密)が多く、数値管理の比重が高い工種です。

設備・電気工事QC工程表(サンプル)

工程名 管理項目 管理値 管理方法 測定頻度 記録方法 異常時処置
配管敷設(○) 支持間隔・勾配 設計図書・公共建築工事標準仕様書に準拠 メジャー・水準器 部位ごと全数 施工記録+写真 再施工
気密試験(◇) 空調ダクトの気密性能 ダクト種別・級区分ごとの規定値 気密試験機 系統ごと1回 気密試験報告 是正・再試験
水圧試験(◇) 給水管の水圧 1.75MPa/30分保持(一般給水系の例) 水圧試験機 系統ごと1回 水圧試験報告 漏水補修・再試験
絶縁抵抗試験(◇) 電路絶縁抵抗 電気設備技術基準に定める規定値以上 絶縁抵抗計 系統ごと1回 電気試験報告 絶縁補修・再試験
接地抵抗試験(◇) 接地極抵抗値 接地種別(A/B/C/D種)ごとの規定値以下 接地抵抗計 接地極ごと1回 電気試験報告 接地極追加・再試験
試運転調整(○) 運転電流・温度・水量 設計仕様値の±10%程度(機種により変動) 電流計・温度計・流量計 機器ごと1回 試運転調整記録 調整・部品交換
保温断熱(○) 保温厚さ・断熱材種別 設計仕様値 メジャー・目視 部位ごと抜取 施工記録+写真 再施工

設備工事の管理値の根拠

QC工程表の作り方7ステップ|フォーマット決定から監督員承諾まで

QC工程表を1から作成する場合の標準手順を7ステップにまとめます。1〜4ステップで骨格を固め、5〜7ステップで運用に耐える書類に仕上げる のがコツです。

作成7ステップ

Step 1|フォーマットを決定する
社内標準がない場合は、以下のいずれかを起点にします。
– 発注者指定書式(公共工事の場合はほぼ指定あり)
– 元請の社内標準テンプレート
建設マネジメント関連の書式集 から流用

Step 2|工程を洗い出す
施工計画書・全体工程表を並べ、品質確保に関わる工程を 10〜20項目程度 に整理します。細かすぎると使われず、粗すぎると管理漏れが起きます。

Step 3|管理項目を選定する
各工程について、成果物の品質を左右する特性を洗い出します。「見えなくなる工程」「後で直せない工程」「発注者が重視する工程」 を優先的に管理項目として拾います。

Step 4|管理値・許容差を設定する
仕様書・JIS・JASS 5などの一次情報を確認し、数値と許容差を確定します。根拠(規格番号・条項)を欄外またはコメントに明記 すると承諾を得やすくなります。

Step 5|管理方法・頻度・記録方法を決める
測定機器・測定タイミング・記録用紙を1項目ずつ埋めます。全数検査か抜取検査かを明示し、抜取ならロット定義と抜取基準を書きます。

Step 6|異常時処置と責任者を割り付ける
管理値逸脱時の判定基準・是正処置・報告先を書きます。責任者・確認者・記録者を氏名または役職で明示します。「品質担当」等の曖昧な記述は避ける のが実務上のコツです。

Step 7|監督員承諾と改訂運用を仕組み化する
初版を監督員に提出し、指摘事項を反映して確定版を発行します。版番号と発行日を明記 し、変更時は改訂履歴を残します。年1回以上の定期見直しと、重大変更時の臨時改訂を運用ルール化します。

作成時に避けたい5つのアンチパターン

  • テンプレート流用で工程名だけ差し替え(管理値の根拠が旧仕様のまま)
  • 管理値に「良好」「適切」等の主観語を使う(判定基準にならない)
  • 測定頻度が「随時」「必要に応じて」(実行されない)
  • 異常時処置欄が空欄(監督員承諾で必ず指摘される)
  • 改訂履歴なし(版管理が破綻し、現場と書類がずれる)

QC工程表運用の失敗5パターン|現場で起こりやすい落とし穴

作成後の運用でも失敗が起こります。10年以上の現場運用で頻出する5パターンを整理します。

失敗1|網羅しすぎて誰も見ない

工程を50〜100行に細分化した結果、「1枚で概観できる」というQC工程表の本来の機能が失われます。詳細な作業手順は作業標準書に逃がし、QC工程表は「監視ポイントの一覧」に絞る ことが重要です。

失敗2|更新されず陳腐化する

工事開始時に作った初版のまま3ヶ月〜半年放置され、実際の管理値と乖離するケースです。月1回の見直しMTG を工程会議に組み込むと形骸化を防げます。

失敗3|管理値の根拠が不明

「なぜこの管理値なのか」を書いていないと、後任者・監督員・監理者から質問された際に答えられません。規格番号・条項・仕様書ページ番号 を欄外に必ず明記します。

失敗4|責任者が「品質担当」等の曖昧記述

異常発生時に誰が判断するかが決まっておらず、意思決定が遅れます。氏名または役職名(例:工事主任・現場代理人) で明示します。

失敗5|写真台帳と紐付いていない

「配筋検査記録」等の記録が別書類化されているのに、QC工程表側からリンクが張られていないケースです。記録方法欄に「◯◯記録(写真台帳含む)」と明記 し、書式番号もつけると監査時にたどれます。

品質記録の電子化・アプリ・BIM/CIM連携

紙のQC工程表・検査記録は現場運用が煩雑で、写真整理と記録転記の二度手間が発生します。近年は施工管理アプリ・BIM/CIMとの連携で、QC工程表と記録を電子化する動き が広がっています。

電子化のメリット

  • 写真の自動タグ付け:撮影時に工程・部位を自動記録
  • 管理値との自動突合:試験値入力時に管理値との判定を自動化
  • 記録の一元化:QC工程表・検査記録・写真台帳を1つのシステムで管理
  • 監督員との共有:クラウドで進捗をリアルタイム共有

BIM/CIMとの連携動向

国土交通省はBIM/CIM原則適用 を進めており、3次元モデルに属性情報として品質記録を紐付ける運用が試行されています。将来的には QC工程表の管理項目と3Dモデル上の部位を連動 させ、部位クリックで管理値・記録・写真を呼び出す運用が普及していく可能性があります。

電子化を進める際の注意点

  • 発注者指定の電子納品要領(CALS/EC電子納品要領)に準拠する
  • 写真の改ざん検知(工事写真管理基準に沿ったハッシュ管理等)
  • 紙提出書式との併用ルールを社内で整備

ケース別|QC工程表の再設計4パターン

現場の性質によってQC工程表の作り方は変わります。代表的な4パターンを整理します。

ケース1|新築RC造の建築工事

  • 重点工程:配筋・コンクリート打設・型枠・仕上げ
  • 管理値の中心:JASS 5・公共建築工事標準仕様書 6章
  • 書き分けのコツ:構造工程と仕上げ工程で工程表を分冊化しても可

ケース2|大規模改修・リニューアル工事

  • 重点工程:既存部の劣化診断・撤去・下地補修・仕上げ
  • 管理値の中心:改修対象部位ごとの元設計基準
  • 書き分けのコツ既存部との取り合い部分に管理項目を集中

ケース3|土木構造物(トンネル・橋梁・道路)

  • 重点工程:出来形計測・材料試験・施工計測
  • 管理値の中心:土木工事共通仕様書・道路橋示方書・トンネル標準示方書
  • 書き分けのコツ出来形検査と品質検査を分けて記載

ケース4|設備更新・改修

  • 重点工程:既設との接続・耐圧試験・絶縁試験
  • 管理値の中心:電気設備技術基準・給水装置工事施工基準
  • 書き分けのコツ通線前・埋設前の中間検査タイミングを明示

よくある質問(FAQ)

Q1. QC工程表は誰が作るのですか?

元請の 現場代理人または工事主任(品質管理担当) が主導して作成し、監督員の承諾を受けます。1〜2次下請の専門工事業者が担当工種のQC工程表を作成し、元請が全体をまとめる運用も一般的です。

Q2. 民間工事でもQC工程表は必要ですか?

公共工事のように仕様書で明示されていない場合でも、監理者や発注者から品質計画書とセットで求められるケースが増えています。元請の品質マネジメントシステム(ISO 9001等) で作成が要求される場合もあります。

Q3. QC工程表と工程表(スケジュール)は何が違いますか?

工程表(線表・ネットワーク工程表・週間工程表)は 「いつ何をやるか」の時間軸 を示す書類で、QC工程表は 「どこで何をどう管理するか」の品質軸 を示す書類です。両者は目的が異なります。工程表の作り方は ネットワーク工程表の作り方週間工程表の作り方エクセルでの工程表作成 で解説しています。

Q4. 工程記号は必須ですか?

必須ではありませんが、記号があると 工程の性質(作業/検査/運搬/停滞/貯蔵)が一目で分かる ため、監督員・監理者・下請業者との共通言語として有効です。JIS Z 8206に沿うのが無難です。

Q5. 管理値の根拠にはどの規格を使えばいいですか?

公共建築工事なら公共建築工事標準仕様書+JIS、土木工事なら土木工事共通仕様書+JIS+NEXCO仕様書等、鉄筋コンクリートならJASS 5が基本です。民間工事でも設計図書・特記仕様書に規格指定がある場合は、それを優先します。

Q6. 全項目を全数検査すべきですか?

全数検査と抜取検査を工程の重要度で使い分ける のが実務標準です。かぶり厚さ・配筋位置は全数、コンクリート受入は打設ロットごと1回、仕上げの塗膜厚さは抜取など、リスクベースで判断します。

Q7. 異常時処置には何を書けばいいですか?

発見者→報告先→判定者→是正措置→記録→再検査」の流れを1〜2行で書きます。例:「監督員報告→是正指示→再検査→合格時に記録」。判定者・是正責任者を氏名または役職で明示すると監督員承諾が通りやすくなります。

Q8. QC工程表と施工要領書、どちらが上位ですか?

QC工程表は 監視の設計図、施工要領書は 実行の設計図 で、上下関係ではなく役割分担の関係です。品質計画書が両者の上位にあり、方針を示します。

Q9. QC工程表の改訂はどのくらいの頻度で行うべきですか?

大規模工事では月1回の見直し、通常工事では四半期に1回程度が目安です。ただし 設計変更・仕様変更・重大な不具合発生 があった場合は、その都度臨時改訂します。改訂時は版番号と発行日を必ず更新します。

Q10. QC工程表の作成能力は転職市場でどう評価されますか?

現場代理人・工事主任・品質管理担当のポジションでは、QC工程表を含む品質計画書一式を作成・運用した経験 は基本要件として問われます。1級施工管理技士の取得と組み合わせると、大手ゼネコンや公共工事受注企業への転職で評価されやすい傾向があります。品質管理を軸にしたキャリアパスは 施工管理から品質管理職への転職 で扱っています。

Q11. デジタル化のツールは何を選べばいいですか?

発注者指定の電子納品要領との適合性社内のBIM/CIM運用との連携性現場での使いやすさ(オフライン対応・写真管理) の3点を軸に選定します。中小規模の現場では汎用の写真管理アプリ+エクセル運用、大規模現場ではBIM/CIM対応の統合プラットフォームという二極化が進んでいます。

Q12. QC工程表と2024年問題の関係はありますか?

直接の関係はありませんが、建設業の時間外労働上限規制(2024年4月から適用、原則 月45時間/年360時間、特別条項 年720時間、複数月平均80時間以下/単月100時間未満、月45時間超は年6回まで、違反は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金、災害復旧・復興工事は特例あり)の適用により、書類作成の効率化=QC工程表の電子化・テンプレ標準化 が進む方向で影響を受けます。出典は厚生労働省「時間外労働の上限規制」

まとめ|QC工程表を「機能する1枚」に仕上げる3原則

QC工程表は、公共工事共通仕様書に基づく品質計画書の中核をなす施工品質管理表で、記載7項目(工程名・管理項目・管理値・管理方法・測定頻度・記録方法・異常時処置)を工種別に整理して作成します。第三次・担い手3法(2025年12月12日全面施行)で品質確保・処遇改善の要請が強まる中、書類の形式性より運用の実効性が評価される 時代に入りました。

現場で機能するQC工程表に仕上げるための3原則は以下です。

  • 簡潔さを守る:1工種10〜20行で一望できる粒度
  • 工種別に展開する:鉄筋・コンクリート・仕上げ・設備を分けて詳細化
  • 年1回改訂を運用ルールにする:形骸化を防ぐ

品質管理全体像は 品質管理チェック項目|現場で使える22項目 で、検査体系は 施工管理における検査の種類 で、材料受入検査は 材料検査・受入検査のポイント で扱っています。工程表全般(線表・ネットワーク・週間)については ネットワーク工程表の作り方エクセルでの工程表作成週間工程表の作り方竣工検査・引き渡し書類 を合わせて確認してください。

品質管理・施工管理職としてキャリアを整理したい方は、タテルートの無料キャリア相談(LINE)という情報整理の場を活用する選択肢もあります。QC工程表の作成経験は、公共工事受注企業や大手ゼネコンへの転職で評価されやすい実務スキルの1つです。


運営:株式会社ヘルスベイシス・コンストラクション/タテルート編集部

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