建設業の離職率とは、ある期間に在籍していた労働者のうち、その期間中に離職した人の割合を指す指標で、厚生労働省「雇用動向調査」では年間離職者数を前年末の常用労働者数で除して算出します。建設業の全体離職率は近年10%前後で推移しており、宿泊・飲食サービス業や生活関連サービス業より低い水準ですが、新卒入社3年以内に絞ると高卒で4割超と、若年層に偏った離職構造を抱えています。
「建設業は離職率が高いから危ない」と聞いて転職に二の足を踏んでいる方も、逆に「データで見ると低いから安全」と単純に信じている方も、いったん公的データに立ち返って実態を見るところから始めるのが安全です。本記事は、施工管理職・技能労働者・新卒〜中堅まで含めて、企業選びの判断材料として離職率データを使いこなしたい方に向けた整理です。
読了後には、最新の建設業離職率データの読み方、企業規模別・新卒別の傾向、離職理由TOP4の構造、そして「離職率が低い会社」を求人票・面接・第三者認証で見分けるチェックリストまで持ち帰っていただけます。
- 先に結論
- この記事で分かること
- 建設業の離職率データ|厚生労働省の最新統計
- 新卒3年以内離職率は3〜4割|若年層に偏在する離職構造
- 企業規模別の離職率傾向|大手・準大手・中堅・地場の差
- 建設業の主な離職理由TOP4|2024年問題で何が変わったか
- 離職率が低い会社の見分け方|求人票・面接・第三者認証の4軸チェック
- ケース別|年代別の離職率データの読み方
- 離職率データを転職活動でどう使うか|実践フロー5ステップ
- よくある質問(FAQ)
- Q1. 建設業の離職率は本当に低いのですか?
- Q2. 「建設業の離職率は高い」と言われるのはなぜですか?
- Q3. 雇用動向調査と新規学卒就職者の離職状況は、どちらを参考にすべきですか?
- Q4. 施工管理職単独の離職率はどこで確認できますか?
- Q5. 離職率が低い会社は、本当にホワイトと考えてよいですか?
- Q6. 2024年問題で離職率は下がりますか?
- Q7. 離職率を採用ページで公開していない会社は避けるべきですか?
- Q8. 入職率と離職率はセットで見るべきですか?
- Q9. 建設業の中で最も離職率が低い職種は何ですか?
- Q10. 離職率データはいつ・どこで最新版を確認できますか?
- Q11. 離職率以外に、転職判断で重視すべき指標はありますか?
- Q12. 建設業の離職率は今後どう推移すると予想されますか?
- まとめ
先に結論
- 建設業の全体離職率は 9〜11%前後(厚生労働省「雇用動向調査」直近数年の推移)で、宿泊・飲食56.6%などより低く、全16産業中でも下位グループに入ります
- ただし 新規学卒者の3年以内離職率は高卒41.4%/大卒30.5%(厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」令和5年公表)で、若年層偏在の課題を残しています
- 離職理由は 労働時間/責任の重さ/人間関係/給与・評価 の4点が中心で、2024年問題(時間外労働上限規制)の本格適用で改善の方向には向かっています
- 企業規模が大きいほど離職率は低下傾向。中央値で見れば中小・地場では離職率が上振れしやすい構造
- 離職率が低い会社は、有給取得率/4週8閉所達成率/第三者認証(くるみん・えるぼし・健康経営優良法人)/自社開示の離職率データ の4軸でかなりの精度で見分けられます
この記事で分かること
- 厚生労働省「雇用動向調査」「新規学卒就職者の離職状況」の最新数値の読み方
- 建設業の離職率と他産業(宿泊・飲食/教育/製造/情報通信 等)との比較ランキング
- 新卒3年以内離職率の高卒・大卒・短大卒別の数値と、改善トレンド
- 企業規模別(大手・準大手・中堅・地場)の離職率傾向
- 建設業の主な離職理由TOP4と、2024年問題以降の改善動向
- 離職率が低い会社を求人票・面接・第三者認証で見分けるチェックリスト
- 年代別(20代/30代/40代)の離職率データの読み解き方とキャリア判断軸
建設業の離職率データ|厚生労働省の最新統計
ここでは建設業の離職率を、最も信頼性の高い公的統計から押さえます。
全体離職率:直近数年は9〜11%前後で推移
厚生労働省「雇用動向調査」(毎年実施・全国の常用労働者5人以上の事業所を対象)の建設業の離職率は、年度や調査年により多少のブレはあるものの、直近数年は9〜11%前後のレンジ で推移しています。たとえば令和4年(2022年)調査では建設業の離職率は10.5%、令和5年(2023年)調査では10.1%と報告されています。
参考までに、雇用動向調査の離職率の定義は次の通りです。
離職率=(離職者数 ÷ 1月1日現在の常用労働者数)× 100
「常用労働者」は期間を定めずに雇用されている者または1か月以上の期間を定めて雇用されている者を指すため、正社員・契約社員・パート・アルバイト等の常用区分が広く含まれ、施工管理職単独や技術職単独の数値ではない 点に注意が必要です。
全産業平均との比較:建設業は「下位グループ」
雇用動向調査の全産業平均離職率は近年14〜15%前後で、業種別ランキングでは下記のような分布になっています。
| 産業区分 | 離職率(参考値・令和5年雇用動向調査) |
|---|---|
| 宿泊業・飲食サービス業 | 26.6%(最上位) |
| 生活関連サービス業・娯楽業 | 19.4% |
| 教育・学習支援業 | 16.6% |
| サービス業(他に分類されないもの) | 18.5% |
| 全産業平均 | 15.4% |
| 製造業 | 10.2% |
| 建設業 | 10.1% |
| 鉱業・採石業・砂利採取業 | 7.2% |
| 金融業・保険業 | 8.3% |
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 6.5% |
※数値は厚生労働省「令和5年雇用動向調査」の報道発表・概況資料を参考。年度により多少変動するため、最新版は厚生労働省「雇用動向調査」結果一覧で確認してください。
建設業は16産業中で見れば離職率が低い水準帯(低位グループ)に入る業種 です。なお年次や調査年によって細かい順位は変動するため、特定年の「○位」という固定的な表現ではなく、長期的に低水準帯で安定していると押さえるのが正確です。一般的な「建設業=離職率が高い」というイメージとは、公的統計上のデータは必ずしも一致しません。
「全社員平均」と「施工管理職単独」の違いに注意
ここで強調しておきたいのは、雇用動向調査の数値は 建設業の常用労働者全体(事務職・技能労働者・施工管理職・営業職などを含む)の平均 だということです。
- 雇用動向調査の建設業10.1%は 全職種・全雇用形態の常用労働者をならした数値
- 施工管理職単独・現場監督単独の離職率は公的統計として明示されているわけではなく、民間アンケート・求人媒体の集計値 が参考材料になります
- 「施工管理者の約4割が離職を検討している」といった調査値も流通していますが、これは 離職検討率(意向ベース)であり実際の離職率ではない 点を区別してください
入職率・入職超過率もセットで見る
離職率だけでなく、雇用動向調査では入職率(年間入職者数÷常用労働者数)と、入職率−離職率である 入職超過率 も公表されています。
- 建設業の入職率:直近数年は 6〜8%前後
- 建設業の入職超過率:マイナス圏が続いており、長期的には人員減少傾向
つまり「離職率は低めだが、それ以上に新規入職が少なく、母数自体が縮小している」のが建設業の人員構造です。これは、後述する 若年層偏在の離職構造 とも整合します。
【関連記事】2024年問題の影響を多面的に整理した内容は 建設業の2024年問題と転職市場への影響|売り手市場をどう活用するか で詳述しています。
新卒3年以内離職率は3〜4割|若年層に偏在する離職構造
全体離職率10%前後と聞くと低く感じますが、新規学卒者の3年以内離職率に絞ると様相が変わります。
高卒・大卒・短大卒別の数値(令和5年公表)
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」(令和5年公表、対象は平成32年=2020年3月卒業者の3年以内離職率)の建設業の数値は次の通りです。
| 区分 | 建設業の3年以内離職率 | 全産業平均 |
|---|---|---|
| 高卒 | 41.4% | 38.4% |
| 短大等卒 | 41.5% | 44.6% |
| 大卒 | 30.5% | 34.9% |
※同調査は採用後3年間追跡する性質上、対象は2020年3月卒。最新の傾向は厚生労働省 報道発表ページ等で順次更新されます。母集団は同年に建設業へ就職した新規学卒者全体。
読み解きのポイント:
- 高卒は全産業平均(38.4%)より建設業のほうがやや高い(+3.0ポイント)
- 大卒は全産業平均より建設業のほうが低い(−4.4ポイント)
- 短大卒は全産業平均より建設業のほうが低い(−3.1ポイント)
つまり「建設業は新卒も全部離れていく」というほど単純な構造ではなく、学歴区分によって全産業平均との位置関係が逆転する ことが分かります。
業種別ランキングで見た新卒離職率
参考までに、産業別で 新規大卒就職者の3年以内離職率が最も高かったのは宿泊業・飲食サービス業56.6%、続いて生活関連サービス業・娯楽業53.7%、教育・学習支援業46.6% で、建設業(30.5%)はこの上位グループより明確に低い位置にあります。一方で 製造業(22.8%)や金融業(25.9%)よりは高め で、第二次産業・第三次産業の中ではミドルレンジに位置します。
なぜ若年層で離職率が跳ね上がるのか
新卒3年以内の離職要因は、後述の「離職理由TOP4」と概ね一致しますが、若手特有の要素として以下が指摘されています。
- 入社前のイメージとのギャップ(休日数・残業時間・現場の空気)
- OJT中心の育成構造への適応負荷(座学が少なく現場で覚える比率が高い)
- 指導役の世代差・コミュニケーションスタイルの違い
- 20代前半は転職市場での流動性が高く、辞めることへの心理的ハードルが低い
新卒3年以内離職率は、20年前と比較すると 高卒で13〜14ポイント、大卒で7〜8ポイント改善している という長期改善トレンドも報告されており、業界全体としては徐々に底上げが進んでいます(出典:建設業界専門誌の集計を整理したクラフトバンクオフィスの解説記事等)。
【関連記事】新卒1年目で辞めたい場合の判断軸は 施工管理を新卒1年目で辞めたい人へ|判断基準と次のステップ を参照。
企業規模別の離職率傾向|大手・準大手・中堅・地場の差
公的統計では建設業の離職率を企業規模別に細かく直接比較できるデータは限定的 です。雇用動向調査も基幹統計ではあるものの、産業×事業所規模のクロス集計は公表区分が限定されており、「ゼネコン上位5社」「地場の中小」のような切り口での厳密な比較数値を公的統計だけで構築するのは困難です。
そのため、企業規模別の離職率傾向を判断する際は、推定レンジの数値に頼るのではなく、各社が個別に開示する人的資本データ・統合報告書・有価証券報告書 を直接確認するアプローチが現実的です。
| 確認先 | 確認できる情報 |
|---|---|
| 有価証券報告書(上場企業のみ) | 人的資本KPI(離職率・平均勤続年数・男女別管理職比率など)。EDINET で各社のPDFを閲覧可能 |
| 統合報告書(上場企業中心) | 各社の人事戦略・離職率推移・育成投資額の任意開示 |
| 採用ページの開示情報 | 自社の離職率を開示している企業は、対象部門・集計期間も併せて確認 |
| 日本建設業連合会の各種フォローアップ調査 | 日建連 会員企業(大手・準大手中心)の労働時間・週休2日達成率の集計 |
タテルート編集部が 2026年4月〜6月 に 建設業界専門メディア6媒体(プレックスジョブ/RSG建設転職/施工管理求人.com/ビルドジョブ/キャリコンジョブ/建職バンク)の離職率関連集計記事と、東証プライム上場ゼネコン大手5社(鹿島・大林組・清水建設・大成建設・竹中工務店)の有価証券報告書(2024年度〜2025年度開示) を確認した範囲では、上場ゼネコン大手の自主開示離職率は概ね一桁台、地場・中小では二桁台への分布が観察されました(集計値であり、個別企業の判断材料としてはそのまま使えない参考値)。
規模が大きいほど離職率が低い構造的な理由
- 教育・研修制度の体系化:新卒研修・1〜3年目フォローアップ・資格取得支援が整備されている
- 配属の柔軟性:転勤・現場異動の選択肢が広く、人間関係リセットがしやすい
- 福利厚生・労働条件:住宅手当・家族手当・退職金制度などの定着インセンティブ
- 4週8閉所達成率の高さ:日本建設業連合会「週休二日実現行動計画フォローアップ」では、会員企業(大手中心)の達成率が非会員より高い傾向
- 資格取得後のキャリアパスの可視化:1級施工管理技士(建設業法に基づく国家資格で、元請工事のうち下請契約合計が一定額以上となる現場で配置される 監理技術者 になれる代表的な資格)取得後の昇格モデルが明確
中小・地場企業でも離職率が低い会社はある
ただし、規模が大きい=離職率が低い、と単純化しすぎるのも危険 です。中小・地場ゼネコンでも、家族経営的な定着の良さ・地域密着で転勤がない・歴代社長の方針で休日重視といった条件が揃えば、大手より定着率が高いケースも存在します。
逆に、大手であっても 配属ガチャ(特定の支店・特定の所長の現場に当たると激務) によって個別に離職率が跳ね上がるケースも報告されています。
【関連記事】大手と中小の比較軸は 施工管理の大手と中小の違い|年収・働き方・キャリアの全比較 で詳しく整理しています。
建設業の主な離職理由TOP4|2024年問題で何が変わったか
ここでは複数の建設業界調査・転職メディアの集計を総合した、建設業の主な離職理由を4つに整理します。なお、ランキング順位や数値は調査により多少異なるため、TOP4は「主に挙げられる理由」として読んでください(出典が混在するため、定量的な順位の断定は留保します)。
① 労働時間・長時間労働
- 国土交通省「建設業における働き方改革の取組」等のデータでは、建設業の出勤日数は依然として全産業平均より多い傾向
- 1週間に1日も休めない・4週で休日4日以下、という労働実態が一定数残る
- 2024年4月から 時間外労働の上限規制が建設業にも適用(原則 月45時間/年360時間、特別条項付き36協定でも年720時間以内、複数月平均80時間以下/単月100時間未満、月45時間超は年6回まで、違反企業には6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金。災害復旧・復興工事には一部の制限緩和特例あり。出典:厚生労働省「時間外労働の上限規制」)
② 責任の重さ・業務範囲の広さ
- 工程管理・品質管理・原価管理・安全管理(QCDS)に加え、書類作成・施主対応・職人マネジメントまで担う
- 1人の所長・現場代理人が複数現場を掛け持ちするケースもあり、責任範囲が広がりすぎる
- 若手のうちは「上から押し付けられる仕事の総量」に圧倒されて辞めるケースが報告されている
③ 人間関係・現場の空気
- 職人さん・協力会社・施主・社内上司と、立場の異なる関係者の間に立つストレス
- 古い世代のコミュニケーション文化(怒鳴る・指示が抽象的)への適応負荷
- 配属された現場・所長次第で当たり外れが大きい
④ 給与・評価・将来不安
- 残業代込みで見ると平均年収レンジは高いが、残業時間が減ると年収も下がる構造(みなし残業=月給に一定時間分の残業代が事前に組み込まれており、その時間を超えた分は別途残業代が支払われる設計の企業が多い)
- 評価制度が属人的で、上司や所長との相性で年収カーブが変わる
- 60歳以降のキャリアプラン・退職金制度への不安
2024年問題で何が変わりつつあるか
2024年4月の時間外労働上限規制の適用以降、業界全体で以下の変化が報告されています(あくまで方向性であり、企業差は大きい点に留保)。
- 4週8閉所の達成率向上(日建連会員企業の作業所で着実に上昇傾向)
- ICT施工(情報通信技術を活用した施工管理)・BIM/CIM(建築・土木の3次元モデルに属性情報を持たせる技術)の導入による業務効率化
- 「給与・休暇・希望」の新3Kへの転換訴求
- 国土交通省「建設業を取り巻く現状」等の白書類でも、長時間労働の是正と週休2日制の定着が業界の主要KPIとして掲げられている
ただし、これらは 業界平均としての改善であって、個別企業の状況とは別物 です。転職検討時は「業界全体は改善している」という方向性と、「自分が応募する企業はどの位置にいるか」を切り分けて判断する必要があります。
【関連記事】離職率が高い理由をより構造的に整理したい場合は 施工管理の離職率が高い理由|データで見る実態と対策 も参照。
離職率が低い会社の見分け方|求人票・面接・第三者認証の4軸チェック
離職率データを「転職判断の武器」として使うために、ここでは離職率が低い会社の見分け方を、4軸15項目のチェックリストとして整理します。
軸1:自社開示の離職率データ(最強の指標)
- 自社の離職率を採用ページに開示しているか(業界平均10%台に対して、5%台で開示している企業は強い)
- 新卒3年以内離職率を公開しているか(公開している企業は離職対策に自信がある)
- 男女別・年代別の離職率を公開しているか(透明性が高い)
- 離職率データの「対象範囲」「集計期間」「対象部門」が明示されているか(数値だけ出して定義が不明な開示は要警戒)
軸2:求人票・採用情報での確認項目
- 年間休日数が120日以上か(4週8閉所+祝日カウント込みの目安)
- 完全週休2日制(土日休み)と明記されているか(「週休2日制」だけだと月1回隔週休の場合あり)
- 有給休暇取得率が公開されているか(公開なし、または50%未満は要注意)
- 平均勤続年数が公開されているか(10年以上が1つの目安)
- 残業時間・残業代の扱いが明示されているか(みなし残業時間と、超過分の別途支給ルール)
- 資格取得支援制度・教育研修制度の具体的内容が記載されているか
軸3:面接で確認すべき逆質問
- 「貴社の直近3年間の離職率の推移を教えてください」(数値で答えられるかが重要)
- 「貴社の現場の4週8閉所達成率はどのくらいですか?」(「実態」を聞ける質問)
- 「新卒・中途入社者の1年目フォロー体制はどうなっていますか?」
- 「ICT施工・BIMの導入状況と今後の計画を教えてください」(DXに投資している会社は離職対策にも投資している傾向)
- 「貴社で活躍されている方の共通点はどんな点ですか?」(評価基準の透明性を測る)
軸4:第三者認証・公的データの活用
第三者の認証や公的データが裏付ける指標は、求人票上の自己申告より信頼性が高くなります。
| 認証・データ | 何を示すか | 確認方法 |
|---|---|---|
| くるみん認定(厚労省) | 子育てサポート企業の認定 | 厚労省「両立支援のひろば」 |
| えるぼし認定(厚労省) | 女性活躍推進企業の認定 | 厚労省「女性活躍推進企業データベース」 |
| 健康経営優良法人(経産省) | 従業員の健康管理への取組 | 経済産業省「健康経営優良法人」 |
| ユースエール認定(厚労省) | 若者の採用・育成に積極的な中小企業 | 厚労省サイト |
| 有価証券報告書(人的資本データ) | 上場企業の正式な人事KPI開示 | EDINET |
これらの認証は、労務管理体制・育成投資・両立支援への取組を第三者基準で確認する補助指標 として活用できます。逆に「自己申告は派手だが第三者認証ゼロ」という企業は、開示の信頼性をやや割り引いて判断するのが安全です。
【関連記事】ホワイト企業の見分け方の全体像は 建設業のホワイト企業ランキング|5軸スコアリングで30社比較 と 施工管理のホワイト企業の見分け方|求人票・面接で見抜くチェックリスト に詳しく整理しています。
ケース別|年代別の離職率データの読み方
ここでは年代別に、離職率データを転職・キャリア判断にどう使うかを整理します。
ケース1:20代(新卒〜第二新卒)
- 読み解き軸:新卒3年以内離職率(建設業 高卒41.4%/大卒30.5%)
- 使い方:自分が在籍中の会社が業界平均と比べて高いか低いかを把握。入社1〜2年目の同期離職率が3割を超える場合は要警戒
- 判断軸:辞めて転職するなら、第二新卒市場が温かい3年以内が動きやすい。第二新卒市場での建設業経験者は売り手市場
- 関連:施工管理を新卒1年目で辞めたい人へ / 施工管理を3年目で辞めたい人へ
ケース2:30代(中堅・経験5〜10年)
- 読み解き軸:応募候補各社が個別に開示する離職率(有価証券報告書・統合報告書・採用ページ)と業界平均10%前後
- 使い方:自社の離職率が業界平均10%台より明らかに高い・若手が次々辞めている場合は、構造的にホワイト化していない可能性
- 判断軸:30代は経験と資格(1級施工管理技士など)で市場価値が最も高まりやすい年代。離職率が低い企業=条件改善型の選択肢 として動ける
- 関連:施工管理の30代未経験転職|年収モデルと求人傾向 / 施工管理 転職先おすすめ|15パターン徹底比較
ケース3:40代(管理職層・所長クラス)
- 読み解き軸:勤続年数・退職金・60歳以降の継続雇用制度
- 使い方:40代以降は「離職率の低さ」より「定年まで働ける環境か」「シニア活用制度があるか」のほうが判断材料として重要
- 判断軸:40代の転職は離職率の数値より、経営の安定性・受注の安定性・後継者育成への投資度合い を見る。離職率はあくまで補助指標
- 関連:施工管理の40代未経験転職|現実と受け入れ企業の特徴
離職率データを転職活動でどう使うか|実践フロー5ステップ
最後に、離職率データを実際の転職活動でどう使うかを5ステップで整理します。
ステップ1:業界平均ラインを記憶する
- 建設業全体離職率:10%前後
- 建設業 新卒3年以内離職率:高卒41%/大卒30%台
- これを「ベースライン」として頭に入れる
ステップ2:応募候補企業の数値を集める
- 採用ページ・統合報告書・有価証券報告書から離職率データを探す
- 開示されていなければ、口コミサイト・転職エージェントの社内データを参考材料に
- 開示の 対象範囲(全社員 or 施工管理職単独)/集計期間/除外条件 を必ず確認
ステップ3:第三者認証の有無を確認する
- くるみん・えるぼし・健康経営優良法人・ユースエール認定の取得状況
- 複数取得していれば、離職率データの信頼性も上がる
ステップ4:面接で逆質問する
- 「直近3年の離職率推移」「新卒3年以内離職率」「4週8閉所達成率」を質問
- 数値で即答できる人事担当・現場責任者がいる会社は管理レベルが高い
- 質問を「貴社の現場の4週8閉所達成率はどのくらいですか?」と統一(敬称ルール)
ステップ5:複数社を比較して判断する
- 単独の数値だけで判断せず、3〜5社の数値・回答を並べて比較
- 数値が低くても、定義・対象範囲が不明な企業は信頼度を割り引く
- 最終判断は、離職率+年収+勤務地+キャリアパスの4軸で総合評価
【関連記事】転職エージェントを使った効率的な企業比較は 施工管理 転職エージェントおすすめ|建設特化・総合型の比較 を参照。
よくある質問(FAQ)
Q1. 建設業の離職率は本当に低いのですか?
A. 厚生労働省「雇用動向調査」の全体離職率は 10%前後 で、全産業平均15%台より低く、宿泊・飲食・教育などより明確に低い水準です。一方で 新規大卒就職者3年以内離職率は30%台、新規高卒は40%台 と若年層では高めで、層によって見え方が大きく変わります。
Q2. 「建設業の離職率は高い」と言われるのはなぜですか?
A. 主に 新規学卒者の3年以内離職率(高卒41%台/大卒30%台) や、若手施工管理者の離職検討率(民間調査の意向ベース)が独り歩きしているためです。全体離職率(全産業・全雇用形態の平均)と新卒3年以内離職率は別の指標であり、混同しないことが重要です。
Q3. 雇用動向調査と新規学卒就職者の離職状況は、どちらを参考にすべきですか?
A. 用途によります。自分が中途で転職する場合は全体離職率(雇用動向調査)、新卒就職を検討する場合は新規学卒就職者の離職状況 を参考にしてください。どちらも厚生労働省が一次情報を公開しています。
Q4. 施工管理職単独の離職率はどこで確認できますか?
A. 公的統計として施工管理職単独の離職率を直接公表したデータは限定的です。代替として、建設業界専門の転職メディアの集計値・有価証券報告書の人的資本データ・各社の統合報告書 を組み合わせて推計するのが現実的です。数値の独り歩きには注意してください。
Q5. 離職率が低い会社は、本当にホワイトと考えてよいですか?
A. 強い参考指標ですが、離職率の定義(対象範囲・集計期間)・第三者認証の有無・有給取得率・4週8閉所達成率 とセットで判断するのが安全です。離職率だけが極端に低い場合、母集団が中高年中心で若手が極端に少ない可能性もあるため、年齢構成や勤続年数の分布も併せて確認してください。
Q6. 2024年問題で離職率は下がりますか?
A. 時間外労働上限規制(原則 月45時間/年360時間など、出典:厚労省「時間外労働の上限規制」)の本格適用で、業界全体としては労働時間が短縮される方向にあり、離職率の改善が期待される 状況ですが、実際の変化は企業規模・受注構成・対応の進捗によって差があります。対応が進む大手と未対応の中小では二極化が進む可能性も指摘されており、業界平均だけで自社の動向を判断しないことが重要です。
Q7. 離職率を採用ページで公開していない会社は避けるべきですか?
A. 必ずしも避ける必要はありません。中小企業や非上場企業は人的資本開示の義務が緩く、公開していないケースも多い ためです。代替として、第三者認証(くるみん・えるぼし・健康経営優良法人)の有無・有給取得率・平均勤続年数 など、他の指標で補完的に判断してください。
Q8. 入職率と離職率はセットで見るべきですか?
A. 重要な視点です。離職率が低くても、入職率がさらに低ければ「人員が減り続けている」会社 です。逆に 入職率>離職率(入職超過率がプラス)の会社は、純粋に成長している とみなせます。雇用動向調査の業界平均と比較する際にも、両方をセットで確認してください。
Q9. 建設業の中で最も離職率が低い職種は何ですか?
A. 公的統計として明示的に「職種別」の数値を比較した資料は限定的ですが、業界調査では 発注者側(公務員土木職・デベロッパー)・大手ゼネコンの設計部門・コンサル系 は離職率が低い傾向が報告されています。逆に 個人事業主の職人・地場の中小施工管理職 は離職率が高めとされる傾向です。
Q10. 離職率データはいつ・どこで最新版を確認できますか?
A. 厚生労働省「雇用動向調査」結果一覧は毎年8月頃に前年度分が公表されます。「新規学卒就職者の離職状況」は10〜11月頃に公表される傾向です。e-Stat(政府統計の総合窓口)でも年次別データのダウンロードができます。最新版を確認する習慣をつけてください。
Q11. 離職率以外に、転職判断で重視すべき指標はありますか?
A. 並行して見るべき指標は 有給取得率・年間休日数・平均残業時間・平均勤続年数・男女別の管理職比率・第三者認証 などです。離職率はあくまで「結果」の指標であり、原因系の指標とセットで見ると判断精度が上がります。
Q12. 建設業の離職率は今後どう推移すると予想されますか?
A. 業界全体としては、2024年問題への対応・ICT施工/BIM-CIMの普及・新3K(給与・休暇・希望)への転換 によって、長期的には離職率の改善方向が見込まれます。一方で人手不足は深刻化しており、「人が辞めにくくなる」反面、「採用も難しくなる」二重構造 が当面続く可能性があります。
まとめ
建設業の離職率を整理すると、要点は次の通りです。
- 建設業の全体離職率は 10%前後(厚生労働省「雇用動向調査」)で、全産業平均15%台より低く、16産業中でも下位グループ
- 一方で 新規大卒3年以内離職率30.5%/高卒41.4% と、若年層に偏在した離職構造を抱える
- 離職理由は 労働時間・責任の重さ・人間関係・給与/評価 の4点が中心。2024年問題(時間外労働上限規制)の本格適用で業界全体は改善方向
- 企業規模が大きいほど離職率は低下傾向。ただし「大手=必ず離職率が低い」と単純化せず、配属先・所長との相性も加味する必要あり
- 離職率が低い会社は、自社開示の数値/求人票の年間休日・有給取得率/面接での逆質問/第三者認証 の4軸で見分けられる
- 転職判断では、離職率+年収+勤務地+キャリアパス の4軸で総合評価。離職率データ単独で判断しない
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