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地山掘削 作業主任者|職務3項目と技能講習・選任義務の実務

地山掘削 作業主任者|職務3項目と技能講習・選任義務の実務

地山の掘削・土止め支保工作業主任者とは、掘削面の高さが2m以上となる地山の掘削作業と、土止め支保工の切りばり・腹おこしの取付け・取外し作業について、事業者が選任し作業を直接指揮させる義務がある国家資格の技術者です。労働安全衛生法第14条・同法施行令第6条第9号および第10号を根拠に、労働安全衛生規則第359条(地山掘削)・第374条(土止め支保工)で選任義務が定められています。

現場では「作業計画の決定」「材料・器具の点検」「墜落制止用器具と保護帽の使用監視」の3職務を通じて、地山崩壊・土砂流出・切りばり座屈といった重大災害を最前線で抑える役割を担います。施工管理者・現場代理人・職長候補にとっては、土工事や山留め工事を持つ現場を任される前段として最初に問われやすい資格の1つです。

本記事では、選任義務の根拠条文、地山掘削・土止め支保工それぞれの職務3項目、技能講習の科目(学科合計約13時間+修了試験)と免除ルート、費用相場と登録教習機関、受講資格(主な2ルート+例外)、掘削面2m基準の判断、現場運用(作業計画・点検・崩壊防止措置)、労働災害統計、そしてキャリア接続までを実務目線で整理します。

  1. 先に結論
  2. この記事で分かること
  3. 地山の掘削・土止め支保工作業主任者とは|要件早見表
  4. 選任義務の根拠|労安法14条から労安則375条までの条文構造
    1. 根拠条文5項目の全体像
    2. 労安則359条・374条(選任)の要点
    3. 労安則360条・375条(職務)の要点
  5. 職務3項目の実務|地山掘削と土止め支保工の対比
    1. 職務①:作業方法の決定と直接指揮
    2. 職務②:材料・器具・工具の点検と不良品除去
    3. 職務③:要求性能墜落制止用器具と保護帽の使用状況の監視
  6. 技能講習のカリキュラム|4科目と修了試験
    1. 4科目の時間配分(標準コース)
    2. 一部免除コースの構造
  7. 受講資格|主な2ルートと例外
  8. 費用相場と登録教習機関|主要4系統
    1. 費用相場4系統
    2. 登録教習機関の探し方
  9. 選任すべき現場の判断|掘削面2m基準と作業範囲
    1. 対象作業の判定表
    2. 「取付け・取外し」の作業範囲
  10. 現場運用|作業計画・点検・崩壊防止措置(労安則355〜358条)
    1. 労安則355条:事前調査・作業計画
    2. 労安則356条・357条:勾配基準
    3. 労安則358条:点検の頻度
    4. 労安則361条:崩壊防止措置
  11. 労働災害の実態と作業主任者の役割
    1. 地山掘削・土止め支保工に関連する災害類型
  12. 他の作業主任者との対比|資格の使い分け
  13. キャリア接続|施工管理技士・登録基幹技能者・経審加点
    1. 施工管理技士との組合せ
    2. 登録基幹技能者との組合せ
    3. CCUSレベル判定との組合せ
  14. 現場でのケース別対応|4層で整理
    1. ケース①:土木新設工事(開削・地下埋設)
    2. ケース②:建築基礎工事(地下1〜2階規模)
    3. ケース③:大規模開発(造成・盛土)
    4. ケース④:中小地場・改修工事
  15. 求人票・面接での資格価値の見方
    1. 記載パターン別の観測
  16. よくある失敗5パターン
    1. 失敗①:選任辞令の未発行・掲示忘れ
    2. 失敗②:兼務によるカバレッジ空白
    3. 失敗③:「取付け・取外し」の解釈ミス
    4. 失敗④:点検記録の形式化
    5. 失敗⑤:能力向上教育の未実施
  17. 現役施工管理者・職長にとっての位置づけ
  18. 2024年問題と施工管理者の労働時間
  19. 第三次・担い手3法との関係(参考)
  20. ケース別対応|キャリアの4層
    1. ケース①:土木施工管理1〜3年目
    2. ケース②:中堅(3〜10年)
    3. ケース③:所長候補(10年以降)
    4. ケース④:中小地場・独立志向
  21. FAQ|地山の掘削・土止め支保工作業主任者に関するよくある質問
    1. Q1|地山掘削作業主任者と土止め支保工作業主任者は別資格ですか?
    2. Q2|受講に実技試験はありますか?
    3. Q3|合格率はどのくらいですか?
    4. Q4|有効期限はありますか?
    5. Q5|掘削面2m未満なら作業主任者は不要ですか?
    6. Q6|ずい道の掘削も本資格でカバーできますか?
    7. Q7|土止め支保工の使用中期間も作業主任者の直接指揮が必要ですか?
    8. Q8|受講費用の会社負担は認められますか?
    9. Q9|受講申込に必要な書類は何ですか?
    10. Q10|監理技術者や主任技術者と作業主任者はどう違いますか?
    11. Q11|経営事項審査での加点はありますか?
    12. Q12|女性受講者は少ないですか?
    13. Q13|作業主任者が現場を離れる時間帯はどうすべきですか?
    14. Q14|4週8閉所と作業主任者の関係は?
    15. Q15|次に取るべき資格は何ですか?
  22. まとめ|地山の掘削・土止め支保工作業主任者を取得する意味
    1. 年収・転職でお悩みの方へ

先に結論

  • 選任義務:掘削面2m以上の地山掘削(ずい道および坑内除く)と、土止め支保工の切りばり・腹おこしの取付け取外し作業では、地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習の修了者から作業主任者を選任することが義務(労安則359条・374条)
  • 職務3項目:(1)作業方法決定と直接指揮、(2)材料・器具・工具の点検と不良品除去、(3)要求性能墜落制止用器具と保護帽の使用状況監視(労安則360条・375条)
  • 技能講習:学科4科目・合計約13時間+修了試験約1時間(計約14時間)を3日間で運用(免除コースは6.5〜10時間程度に短縮)。修了試験合格で修了証発行
  • 費用相場:全科目コース1.8〜2.6万円レンジ、一部免除コース1.2〜1.7万円レンジ(テキスト代込み・地域と機関で変動)
  • 受講資格:主な2ルート=(1)21歳以上+実務経験3年以上、(2)土木・建築・農業土木系学科卒業+実務経験2年以上。加えて(3)都道府県労働局長が認める例外あり
  • キャリア接続:2級土木施工管理技士・登録基幹技能者・CCUS技能者情報登録と組み合わせて土工事系キャリアを強化できる

この記事で分かること

  • 地山の掘削・土止め支保工作業主任者の要件早見表10項目
  • 選任義務の根拠となる労安法・労安令・労安則の条文構造
  • 地山掘削と土止め支保工の職務3項目の違いと現場運用
  • 学科合計約13時間+修了試験の技能講習カリキュラムと免除ルート
  • 費用相場・登録教習機関・受講資格の主な2ルート+例外
  • 掘削面2m基準の判断と「主任者を選任すべき作業」の切り分け
  • 労働災害統計を踏まえた作業主任者の役割
  • 施工管理技士・登録基幹技能者・経審加点へのキャリア接続

地山の掘削・土止め支保工作業主任者とは|要件早見表

まず全体像を早見表で整理します。以降の章で条文・実務・現場運用を掘り下げます。

項目 内容
資格区分 労働安全衛生法に基づく作業主任者(国家資格・技能講習修了者)
根拠条文 労安法14条/労安令6条9号・10号/労安則359〜360条・374〜375条
対象作業① 掘削面の高さが2m以上となる地山の掘削作業(ずい道および坑内の作業を除く)
対象作業② 土止め支保工の切りばり・腹おこしの取付け・取外しの作業
選任義務 上記の作業を行う事業者は、技能講習修了者から作業主任者を選任し直接指揮させる義務
職務 (1)作業方法決定と直接指揮/(2)材料・器具・工具の点検と不良品除去/(3)要求性能墜落制止用器具と保護帽の使用状況監視
講習時間 学科合計約13時間+修了試験約1時間(計約14時間)を3日間で運用。免除コースは6.5〜10時間程度に短縮
費用相場 全科目1.8〜2.6万円/一部免除1.2〜1.7万円(テキスト代込み・地域と機関で変動)※編集部が2026年8月中旬時点で5機関の公表案内を確認した参考値
受講資格 主な2ルート=(1)21歳以上+実務経験3年以上、(2)指定学科卒業+実務経験2年以上。加えて労働局長認定の例外あり
有効期限 更新制ではないが、5年ごとを目安に安全衛生教育(能力向上教育)が推奨

要件早見表は求人票や社内資格棚卸しの照合にそのまま使えます。用語の初出時説明として、以下を押さえておくと本文の理解が進みます。

  • 地山(じやま):掘削前の自然状態にある土砂・岩の斜面や地盤
  • 土止め支保工(どどめしほこう):地山の崩壊を防ぐために土留め壁を切りばりや腹おこしで支える仮設構造
  • 要求性能墜落制止用器具:厚労省告示で定められた性能を満たすフルハーネス型墜落制止用器具(旧・安全帯)
  • 明り掘削(あかりくっさく):地下ではなく地表から行う開削掘削

選任義務の根拠|労安法14条から労安則375条までの条文構造

作業主任者制度の根拠は労働安全衛生法第14条にあり、同法施行令と労働安全衛生規則で具体的な作業と選任基準が定められています。地山の掘削・土止め支保工作業主任者は「地山掘削作業主任者」と「土止め支保工作業主任者」の2つの資格を1つの技能講習で取得する構造になっており、条文も2系統で対になっています。

根拠条文5項目の全体像

階層 条文 主な内容
法律 労働安全衛生法14条 事業者は、政令で定める危険・有害な作業について技能講習修了者から作業主任者を選任し労働者を指揮させる義務
政令 労働安全衛生法施行令6条9号 掘削面の高さが2m以上となる地山の掘削作業(ずい道および坑内の作業を除く)は作業主任者を選任すべき作業
政令 労働安全衛生法施行令6条10号 土止め支保工の切りばり・腹おこしの取付け・取外しの作業は作業主任者を選任すべき作業
規則 労働安全衛生規則359条・360条 地山掘削作業主任者の選任・職務(3項目)
規則 労働安全衛生規則374条・375条 土止め支保工作業主任者の選任・職務(3項目)

一次情報はe-Gov 法令検索 労働安全衛生規則および厚生労働省 労働安全衛生法・関係法令で最新版を確認してください。改正が続くため、社内教材や外部研修資料の年度は必ず突き合わせが必要です。

労安則359条・374条(選任)の要点

359条は「事業者は、令第6条第9号の作業については、地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習を修了した者のうちから、地山の掘削作業主任者を選任しなければならない」と定めます。374条は10号の作業について同じ講習修了者から土止め支保工作業主任者を選任することを求めています。

つまり技能講習は1本ですが、現場に配置するときは「地山掘削の作業では地山掘削作業主任者として」「土止め支保工の作業では土止め支保工作業主任者として」それぞれ選任辞令が必要になります。両方の作業を行う土工事では、同一人物を両方の職名で兼務させる運用が一般的です。

労安則360条・375条(職務)の要点

360条・375条はいずれも3項目の職務を定めており、大枠は共通していますが、材料点検の表現に違いがあります。

職務 地山掘削(労安則360条) 土止め支保工(労安則375条)
職務① 作業の方法を決定し、作業を直接指揮すること 作業の方法を決定し、作業を直接指揮すること
職務② 器具および工具を点検し、不良品を取り除くこと 材料の欠点の有無ならびに器具および工具を点検し、不良品を取り除くこと
職務③ 要求性能墜落制止用器具等および保護帽の使用状況を監視すること 要求性能墜落制止用器具等および保護帽の使用状況を監視すること

土止め支保工には「材料の欠点の有無」が明記されているのが特徴です。切りばり・腹おこしに使う鋼材・木材の欠陥、断面欠損、変形などの事前確認が業務に組み込まれている点を、現場運用ではとくに意識する必要があります。

条文構造の詳細は労働新聞社 労働安全衛生規則第355〜367条労働新聞社 労働安全衛生規則第368〜375条でも確認できます。土工事全般の実務は既存記事土工事の施工管理|掘削の実務ガイドに整理しているので、選任義務の判断で迷ったときはあわせて参照してください。

職務3項目の実務|地山掘削と土止め支保工の対比

条文で定められた3職務は抽象的な表現ですが、現場では以下の粒度で運用します。日次PDCAの雛型として整理しました。

職務①:作業方法の決定と直接指揮

作業主任者の中核業務は、施工計画書や作業手順書の内容を現場条件に合わせて具体化し、作業員に直接指揮することです。

  • 前日:作業手順書と土質条件を突合し、勾配・のり肩の立入禁止範囲・重機の作業半径・搬出動線を再確認
  • 当日朝礼:KY活動で当日の掘削深さ・湧水の有無・切りばり位置を共有し、危険予知の要点を復唱
  • 作業中:掘削の進捗と土質変化に応じて手順を微修正し、変更内容を作業員へ直接指示
  • 作業後:翌日以降の追加リスクを施工管理者・元請と共有

「直接指揮」とは、書類上の指示や無線越しの伝達だけでは不十分と解される場面が多く、作業帯からの目視距離内で状況判断できる位置に立つことが原則です。他の兼務業務との調整は事前に施工管理者と作業主任者で決めておくのが安全です。

職務②:材料・器具・工具の点検と不良品除去

地山掘削では、掘削機・のみ・切込みを補助する仮設材の点検が中心になります。土止め支保工では「材料の欠点の有無」の確認が条文上明記されており、以下の観点で点検します。

  • 切りばり用H形鋼の断面欠損・座屈跡・溶接部の亀裂
  • 腹おこしの材料寸法・接合ボルトの状態・添接板の平行度
  • 火打ちの取合いと角度
  • 仮設材の再使用回数・保管中の腐食
  • 掘削機のバケット歯・油圧配管の漏れ

点検で不良品を除去することは「排除」と「使用禁止札の貼付」の両方を含みます。使用禁止札の管理は施工管理者や職長と役割分担しておくと重複や漏れが減ります。

職務③:要求性能墜落制止用器具と保護帽の使用状況の監視

明り掘削の作業でも、のり肩から2m以上の高低差がある場所での作業ではフルハーネス型の墜落制止用器具が求められる場面があります。土止め支保工の組立て・取外しでは、切りばり上での姿勢作業や、腹おこしを持ち上げる際のバランス崩れが墜落の起点になりやすいため、以下を監視します。

  • フルハーネスの装着状態(ランヤードのフック位置・ベルトの緩み)
  • 保護帽のあごひも締結・耐用年数超過の有無
  • 足場・タラップからの昇降時の3点支持
  • 掘削面付近での立入禁止措置の遵守

要求性能墜落制止用器具の詳細は厚生労働省 墜落制止用器具の使用を参照してください。フルハーネス使用時の関連実務は既存記事足場のフルハーネス使用ガイドにまとめています。

技能講習のカリキュラム|4科目と修了試験

技能講習は「地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習」の1講習で、地山掘削と土止め支保工の両方の資格を取得します。学科のみで実技はなく、修了試験に合格すると修了証が発行されます。

4科目の時間配分(標準コース)

科目 時間 主な内容
作業の方法に関する知識 7時間 地山掘削・土止め支保工の作業方法/作業計画/掘削深さと土質の関係/勾配基準/崩壊防止措置
工事用設備・機械・器具・作業環境に関する知識 3時間 バックホウ・クラムシェル等の掘削機械/切りばり・腹おこし・親杭横矢板/作業環境(湧水・振動・大気)
作業者に対する教育に関する知識 1.5時間 労働者への安全衛生教育の要点/作業手順書/KY活動/墜落制止用器具の使用指導
関係法令 1.5時間 労働安全衛生法・施行令・規則の該当条文/作業主任者制度の位置づけ
修了試験 1時間 4科目の到達確認(記述式・択一式)

学科の合計は約13時間で、これに修了試験約1時間を加えた計約14時間の中身を、休憩と諸連絡を挟んで実質3日間の日程で運用する構成が標準です。時間割は登録教習機関ごとに若干の差があり、たとえば建災防大阪支部の標準コースは1日目・2日目とも9:00〜17:15、3日目9:00〜13:15(修了試験12:15〜13:15)で運用されています。科目時間の告示上の位置づけは厚生労働省 地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習規程(昭和47年労働省告示第103号)の最新版で確認してください。

一部免除コースの構造

以下の要件に該当すると科目免除が受けられ、講習時間が大幅に短縮されます。

  • 労働安全衛生法別表第18に定める学科と実務経験の組合せに該当する者
  • 過去に別の作業主任者技能講習を修了している者(該当科目のみ免除)

免除範囲は登録教習機関の案内で異なるため、申込前に受講資格と免除ルートを問い合わせる運用が確実です。免除コースは費用も1〜1.5万円レンジまで下がる場合があり、コスト削減にもつながります。

技能講習規程の一次情報は厚生労働省 地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習規程(昭和47年労働省告示第103号)で確認できます。

受講資格|主な2ルートと例外

受講資格は主に2ルートあり、そのほかに個別認定の例外があります。実務経験の年数と学歴で分岐する構造です。

ルート 学歴要件 実務経験 その他条件
ルートA(主要) 学歴問わず 3年以上の該当作業経験 満21歳以上
ルートB(学歴短縮) 大学・高専・高校で土木・建築・農業土木系学科卒業 2年以上の該当作業経験 卒業証明書の提出
例外(労働局長認定) 上記に該当しない者 個別に労働局長が認めた実務経験 教習機関で相談のうえ書類審査

「該当作業経験」とは、地山の掘削作業または土止め支保工作業に従事した経験を指します。設計・積算のみの経験は原則含まれず、施工現場での実務経験を証する書類(在職証明・工事経歴書・給与明細等)を求められることがあります。証明書式は教習機関ごとに定められているので、事前に確認してから申込に進むのが確実です。

なお、年齢下限の扱いは、労働省告示第103号の技能講習規程および労働安全衛生法上は「満21歳以上」がルートAの主要要件として示されている一方、各教習機関の受付運用では申込書式や証明書類の受理条件に若干の差があります。法令・講習規程上の要件各教習機関の受付運用は別物として扱い、いずれも申込前に一次情報で確認する運用が確実です。詳細は厚生労働省 技能講習規程および所属予定教習機関の公表案内で最新版を突き合わせてください。

費用相場と登録教習機関|主要4系統

費用相場は編集部が2026年8月中旬時点で主要4系統の教習機関公開ページを確認した参考値です。抽出条件は下記の通りで、実施地域や会員/非会員区分で3,000〜5,000円レンジの差が生じるため、個別案件は申込前に必ず一次情報で確認してください。

  • 調査時期:2026年8月中旬(8月8日〜8月14日)
  • 調査件数:5機関7コース(全科目コース中心、免除コース併記可の場合は併記)
  • 対象範囲:建災防都道府県支部(東京・大阪・岡山ほか)/キャタピラー教習所(九州)/民間技術技能講習センター(東京)/労基協系ほか
  • 抽出条件:「地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習」の名称で公表されている全科目コースを対象。テキスト代を含む総額で集計。会員/非会員価格は両方を集計。海外実施コースおよび出張講習は対象外

費用相場4系統

系統 全科目コース 免除コース 特徴
建設業労働災害防止協会(建災防)都道府県支部 1.8〜2.6万円 1.2〜1.7万円 全国最大の受講網。会員企業割引あり
建機メーカー系教習所(キャタピラー教習所ほか) 2.2〜2.8万円 1.4〜1.8万円 建機講習と併願しやすい。地方拠点も多い
民間登録教習機関 2.3〜3.0万円 1.5〜1.9万円 少人数制・日程柔軟。オンライン一部併用も
労働基準協会連合会系 1.9〜2.6万円 1.3〜1.7万円 労基協会員企業の受講が中心

編集部確認:2026年8月14日時点、建設業労働災害防止協会 東京都支部建災防大阪支部建災防岡山県支部キャタピラー教習所九州技術技能講習センター(東京)ほかの5機関7コースの公開案内を参照。会員/非会員価格を含み、テキスト代を含めた総額ベースで集計しました。海外実施コースや出張講習は対象外です。

会員価格と非会員価格で3,000〜5,000円の差が出る機関もあります。所属企業が建災防会員になっているか、事前に総務や労務担当に確認しておくと費用を圧縮できる可能性があります。

登録教習機関の探し方

自社の所在地から通える教習機関は厚生労働省 技能講習実施機関の一覧で確認できます。定員は50〜80名程度の設定が多く、繁忙期(4〜6月・9〜11月)は数週間先まで満席になることも珍しくないため、社内で年度計画を組む際は早めの申込が推奨されます。

選任すべき現場の判断|掘削面2m基準と作業範囲

条文が指定する「掘削面の高さが2m以上」の判断は、施工計画時の設計図・断面図で確認するのが基本ですが、実際の現場では日次で変化するため、施工管理者と作業主任者が併走で確認する運用が必要です。

対象作業の判定表

作業内容 作業主任者選任義務 判定の要点
掘削面2m以上の地山掘削(明り) 必要(労安令6条9号・労安則359条) 最も深い部分の高さで判定。段掘りの各段でも該当することがある
掘削面2m未満の地山掘削 選任義務なし ただし労安則355条の作業計画・357条の勾配基準は適用
ずい道・坑内の掘削 別資格「ずい道の掘削等作業主任者」が必要 本記事の対象外。ずい道等技能講習で対応
土止め支保工の切りばり・腹おこしの取付け 必要(労安令6条10号・労安則374条) 高さや深さに関わらず取付け・取外し作業自体が対象
土止め支保工の切りばり・腹おこしの取外し 必要(労安令6条10号・労安則374条) 撤去段階でも作業主任者の直接指揮が必須
山留め壁自体の打込み・引抜き 別途、車両系建設機械や振動工具等の技能講習が関係 作業主任者選任義務は個別に整理が必要

「地山」と一口に言っても、地質が土砂・岩・軟弱地盤・崩壊性で異なると勾配基準(労安則356条)や崩壊防止措置(労安則361条)の要件が変わります。同じ2m以上でも、砂質地盤で湧水があるケースと、岩盤で安定しているケースでは実務対応が大きく変わるため、施工計画時に土質調査結果と作業主任者の判断を組み合わせるのが原則です。

「取付け・取外し」の作業範囲

労安則374条の対象は「切りばり・腹おこしの取付け・取外し」の作業です。恒常的な使用(撤去前の使用中期間)は対象外ですが、切りばりの盛替え(一時撤去して別位置へ再設置)や腹おこしの一部差替えは「取付け・取外し」に該当する場面が多く、作業主任者の直接指揮が必要になります。判断が難しいケースは所轄労働基準監督署に事前確認する運用が確実です。

現場運用|作業計画・点検・崩壊防止措置(労安則355〜358条)

作業主任者の選任だけで安全が担保されるわけではなく、労安則355〜358条の関連規定と組み合わせて運用します。

労安則355条:事前調査・作業計画

明り掘削の作業を行う場合、事業者は事前に地山の形状・地質・地層の状況、亀裂・湧水の有無、埋設物の有無、ガスの発生などを調査し、その結果に基づいて作業計画を定める義務があります。作業主任者は計画段階から関与するのが望ましく、以下の項目を作業計画書に落とし込みます。

  • 掘削の方法・順序・深さ・掘削面の勾配
  • 土止め支保工の設置範囲・工法・部材寸法
  • 掘削機械・仮設材の選定
  • 労働者の配置・出入り経路・退避場所
  • 湧水・大気の観測方法と対応手順

労安則356条・357条:勾配基準

労安則356条は掘削面の勾配基準を定めています。ただし数値は土質区分(岩盤・堅い粘土・その他)と掘削面の高さで細かく分岐し、労安則別表に一覧化されています。現場条件によっては別表基準より安全側で施工計画書に定める運用が一般的で、直断定を避け「別表に沿った土質区分・掘削深さの組合せで施工計画書に個別記載」する形が実務では標準です。詳細な数値はe-Gov 労働安全衛生規則 別表で最新の別表を確認してください。

労安則358条:点検の頻度

以下のタイミングで作業箇所と周辺の点検が求められます。作業主任者はこの点検の実施・記録の管理を担当します。

  • 作業前の日次点検
  • 大雨・大雪の後の点検
  • 中震(震度4)以上の地震後の点検
  • 発破後の点検(発破を行った場合)

点検結果は書面で保存し、亀裂の進行・湧水の増加・地下水位の変化などの兆候を時系列で追えるようにしておくと、崩壊の予兆を早期に検知できます。日建連の切土法面の土砂崩壊防止に関する規則の解説(PDF)も現場資料として有用です。

労安則361条:崩壊防止措置

崩壊または土石落下の恐れがあるときは、あらかじめ土止め支保工を設ける・防護網を張る・立入禁止措置を講ずる、といった複合的な措置を求めています。作業主任者は「どの措置を、どの範囲で、いつまで」を作業員に周知する役割を担います。

労働災害の実態と作業主任者の役割

厚生労働省令和6年の労働災害発生状況によると、2024年(令和6年)の建設業の死亡者数は218人で、前年比19人増となりました。死亡災害の主な事故の型別では墜落・転落が最多ですが、崩壊・倒壊、飛来・落下も上位に位置しており、地山掘削や土止め支保工の作業が関与しうる災害類型が一定の割合を占めています。

地山掘削・土止め支保工に関連する災害類型

災害類型 主な原因 作業主任者の関与ポイント
地山崩壊 勾配基準の未遵守/湧水対応の遅れ/中震以上の地震後点検の未実施 労安則356条・358条の運用管理と作業員への周知
切りばり・腹おこしの座屈 材料欠陥/設計荷重超過/盛替え時の一時的な支保喪失 労安則375条の材料点検と作業手順の直接指揮
掘削機械との接触 立入禁止範囲の徹底不足/合図者の未配置/死角での旋回 立入禁止範囲の設定と労働者への周知
墜落・転落 フルハーネス未着装/のり肩からの転落/タラップ昇降時の姿勢崩れ 労安則360条・375条の墜落制止用器具使用監視

こうした類型ごとの傾向は建設業労働災害防止協会 労働災害統計で工事の種類別・災害の種類別に整理されています。作業主任者が現場で直接指揮に立つことは、これらの災害の初期予兆を職長・作業員より早く捉えるための現実的な仕組みでもあります。

他の作業主任者との対比|資格の使い分け

土工事の現場では地山掘削・土止め支保工作業主任者以外にも複数の作業主任者が関与します。役割の切り分けを整理しておくと、選任辞令の発令ミスや職務範囲の重複を防げます。

作業主任者 選任すべき作業 根拠条文
地山の掘削作業主任者 掘削面2m以上の地山掘削(ずい道等除く) 労安令6条9号・労安則359条
土止め支保工作業主任者 土止め支保工の切りばり・腹おこしの取付け・取外し 労安令6条10号・労安則374条
ずい道等の掘削等作業主任者 ずい道および坑内の掘削・覆工等 労安令6条10号の2・関係規則
型枠支保工の組立て等作業主任者 型枠支保工の組立て・解体 労安令6条14号・関係規則
足場の組立て等作業主任者 5m以上のつり足場・張出足場・その他一定の足場の組立て・解体 労安令6条15号・関係規則
建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者 高さ5m以上の建築物等の鉄骨組立て 労安令6条15号の2・関係規則

型枠支保工作業主任者は型枠支保工の組立て等作業主任者|職務・14時間講習と選任義務の実務、技能講習・特別教育の全体像は建設現場の技能講習・特別教育 一覧にまとめています。作業主任者・技能講習・特別教育のどれが必要かを最初に整理してから資格計画を立てるとムラが減ります。

キャリア接続|施工管理技士・登録基幹技能者・経審加点

地山の掘削・土止め支保工作業主任者は、それ単体で年収が跳ね上がる資格ではありませんが、施工管理技士・登録基幹技能者・CCUS技能者情報登録と組み合わせることで、土工事系のキャリアを安定的に伸ばしやすくなります。

施工管理技士との組合せ

土工事の主任技術者・監理技術者への配置を目指すなら、2級土木施工管理技士(種別:土木)を軸に、地山掘削・土止め支保工作業主任者・車両系建設機械(整地・運搬・積込み用および掘削用)技能講習・玉掛け技能講習をセットで揃えるのが定石です。1級施工管理技士の受検資格は2024年度に改正されており、第一次検定は年齢要件を中心に受検しやすくなっています。第二次検定には実務経験要件が引き続きあり、詳細は一般財団法人全国建設研修センター(土木・建設機械)と一般財団法人建設業振興基金(建築・電気・管・電気通信・造園)の最新案内で確認してください。

配置基準に関する制度説明は既存記事監理技術者と主任技術者の違いで整理しています。

登録基幹技能者との組合せ

土工事系では登録土工基幹技能者制度(登録基幹技能者制度推進協議会)が用意されており、地山掘削・土止め支保工作業主任者は登録土工基幹技能者の受講要件の一部を構成します。登録基幹技能者は経審のW1加点対象で、企業評価にも直結します。登録基幹技能者の総論は既存記事登録基幹技能者のメリットと経審加点で整理しています。

CCUSレベル判定との組合せ

建設キャリアアップシステム(CCUS)の職種別能力評価基準では、作業主任者資格が加点対象になる職種があります。土工・とび土工・型枠大工などが該当し、資格の組合せでレベル判定を積み上げていく設計になっています。

現場でのケース別対応|4層で整理

現場条件によって作業主任者の運用は変わります。代表的な4層で整理しました。

ケース①:土木新設工事(開削・地下埋設)

大深度の開削で切りばり多段配置、湧水対応が必要な現場では、地山掘削作業主任者と土止め支保工作業主任者を同一人物が兼務する場合も、別人物で分ける場合もあります。工程が長期化しやすいため、代替要員の育成計画を並行して進めることが多い層です。

ケース②:建築基礎工事(地下1〜2階規模)

山留め壁(親杭横矢板・鋼矢板・SMW)を採用し、切りばりを段階施工するケースです。上部躯体との取合いが工程を左右するため、作業主任者は工事監理者・元請施工管理者との連携頻度が高くなります。

ケース③:大規模開発(造成・盛土)

大規模造成で切土・盛土を並行する現場では、地山掘削作業主任者を複数配置し、エリアごとに直接指揮体制を敷くことが多い層です。土止め支保工は限定的な範囲でのみ使用されるケースもあります。

ケース④:中小地場・改修工事

既存構造物近傍での土工事や、狭小敷地での基礎補修などでは、作業主任者1名が複数の職務を兼務する運用になりがちです。人手が薄くなるほど職務分担の書面化と職長との役割整理が重要になります。

求人票・面接での資格価値の見方

土工事系職種の求人票を見るとき、以下の記載パターンで資格価値の見え方が変わります。編集部が2026年7〜8月に建設特化3媒体+総合2媒体で「地山掘削 作業主任者」「土止め支保工 作業主任者」を含む正社員募集約50件を確認した範囲での探索的観測です(派遣・請負・海外案件は除外)。

記載パターン別の観測

パターン 記載例 観測される傾向
必須資格 「地山掘削作業主任者必須」「土止め支保工作業主任者必須」 現場代理人・職長候補として即戦力を想定。想定年収レンジは中央帯
歓迎資格 「地山掘削作業主任者歓迎」等 未取得でも入社後取得支援があるケース。年収レンジは幅広い
資格取得支援 「入社後、地山掘削・土止め支保工作業主任者技能講習の費用を全額補助」 育成前提の中途採用。20代〜30代前半層が中心
記載なし 資格要件に作業主任者の明記なし 土工事以外の工種主体か、有資格者が社内に十分いる想定

年収レンジの具体値は工種・地域・元請/下請・雇用形態で大きく変動するため、資格の有無だけで判断せず、求人票の職務範囲・工事規模・想定現場と併せて評価するのが実務では基本になります。

面接では「作業主任者として直接指揮した現場の代表例」「切りばり盛替え時の判断」「中震以上の地震後点検の実施経験」といった実務経験を掘り下げる質問が出やすい傾向です。作業計画書の一部(個人情報・企業秘密を除いた匿名化版)を持参できると、経験の粒度を具体的に伝えられます。

よくある失敗5パターン

作業主任者の運用でよく起きる失敗を、事故には至らなかったヒヤリハット段階を含めて5パターンに整理します。

失敗①:選任辞令の未発行・掲示忘れ

技能講習修了者を「選任」する行為には辞令の発行・現場での氏名掲示が必要です。修了証があるだけで自動的に作業主任者になるわけではなく、事業者による選任行為が別途必要です。掲示忘れは労働基準監督署の臨検で頻繁に指摘される項目です。

失敗②:兼務によるカバレッジ空白

作業主任者を1名で兼務させると、休暇・出張・体調不良で不在になる時間帯が生まれます。1つの現場に有資格者を2名以上配置し、選任辞令も複数名で発行しておくと、カバレッジ空白を回避できます。

失敗③:「取付け・取外し」の解釈ミス

切りばりの盛替え作業を「使用中の一時操作」と解釈して作業主任者の直接指揮なしで進めるケースが散見されます。盛替えは労安則374条の「取付け・取外し」に該当する場面が多く、判断が難しいときは所轄労働基準監督署に事前確認する運用が確実です。

失敗④:点検記録の形式化

労安則358条の点検(作業前・大雨後・中震以上地震後)が「点検実施済み」のチェックだけで終わり、実質的な観察と兆候の追跡ができていないケースです。写真・湧水量・亀裂幅などの定量記録を残し、変化を時系列で追える帳票にするのが望ましい運用です。

失敗⑤:能力向上教育の未実施

作業主任者資格自体は更新制ではありませんが、厚生労働省の指針では概ね5年ごとの安全衛生能力向上教育が推奨されています。改正条文や新しい災害事例の学び直しを怠ると、実務判断が古いままになるリスクがあります。

現役施工管理者・職長にとっての位置づけ

施工管理者や職長にとって、地山掘削・土止め支保工作業主任者は「土工事の現場を任される前提資格」の1つです。1級・2級土木施工管理技士のような包括資格とは異なり、対象作業が限定的である反面、選任義務の根拠が明確で、施工計画書・作業手順書・KY活動の各書類で必ず参照される資格でもあります。

  • 20代前半(施工管理1〜3年目):まずは車両系建設機械・玉掛け・小型移動式クレーンの技能講習で現場スキルを固めつつ、実務経験3年目のタイミングで地山掘削・土止め支保工作業主任者を狙う
  • 20代後半〜30代前半(中堅):2級土木施工管理技士と組み合わせて主任技術者候補として現場を任される層へ
  • 30代後半〜40代(所長候補):1級土木施工管理技士+登録土工基幹技能者と組み合わせて、複数現場の統括やCCUSレベル判定の底上げを狙う
  • 40代後半以降(ベテラン):能力向上教育の受講と後進育成、社内での作業主任者育成計画への関与

働き方改革・2024年問題との関係でも、作業主任者の直接指揮体制が安全・品質を担保しつつ工期を守るための土台になります。時間外労働の上限規制については後述します。

2024年問題と施工管理者の労働時間

2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用されています。原則は月45時間/年360時間、特別条項付き36協定がある場合でも年720時間以内、時間外労働と休日労働の合計で単月100時間未満/複数月平均80時間以内が上限です。月45時間を超えられるのは年6回までで、違反企業には6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます(出典:厚生労働省 時間外労働の上限規制)。なお、災害復旧・復興工事には一部の制限緩和特例があります。

作業主任者を兼務する現場代理人・職長は、直接指揮の時間帯と管理業務の時間帯が重なりやすい層です。1つの現場に有資格者を複数名配置し、直接指揮の担当時間を分けるだけでも、労働時間の平準化と災害リスクの低減に効きます。

第三次・担い手3法との関係(参考)

建設業法・入契法・品確法の一体改正である第三次・担い手3法は、2024年6月に公布され、段階的施行を経て2025年12月12日に全面施行された制度です(詳細は国土交通省 第三次・担い手3法で最新版を確認)。労務費の基準・処遇改善、資材高騰時の労務費しわ寄せ防止、働き方改革・生産性向上の3本柱が示されています。作業主任者制度の条文自体を直接変更するものではありませんが、労務費の適正化・技能者処遇改善の潮流のなかで、資格保有者としてのポジションは周辺環境として参考に押さえておくと有用です。

ケース別対応|キャリアの4層

ケース①:土木施工管理1〜3年目

まずは車両系建設機械(整地・運搬・積込み用および掘削用)技能講習・玉掛け技能講習・小型移動式クレーン技能講習を先行して取得し、実務経験を積みながら3年目のタイミングで地山掘削・土止め支保工作業主任者を狙う流れです。2級土木施工管理技士(第一次)も同時期に受検すると、キャリアの伸びしろが早く見え始めます。

ケース②:中堅(3〜10年)

主任技術者として現場を任される層です。地山掘削・土止め支保工作業主任者を取得済みで、次は1級土木施工管理技士・登録土工基幹技能者・車両系建設機械の作業指揮者としての実績を積む段階になります。

ケース③:所長候補(10年以降)

複数現場の統括、後進育成、CCUSレベル4判定を意識する層です。作業主任者としての現場運用ノウハウを社内標準化する役割も求められます。

ケース④:中小地場・独立志向

中小地場では有資格者が少なくなりがちで、作業主任者を兼務する層が幅広い年代にわたります。独立志向のある層は、地山掘削・土止め支保工作業主任者に加えて建設業許可の経管要件・専技要件を並行して整えるのが定石です。独立の判断軸は既存記事施工管理から独立するときの判断軸で整理しています。

FAQ|地山の掘削・土止め支保工作業主任者に関するよくある質問

Q1|地山掘削作業主任者と土止め支保工作業主任者は別資格ですか?

法令上は2つの作業主任者ですが、技能講習は「地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習」として1本にまとめられており、修了すると両方の作業主任者になれる資格を得られます。現場での選任辞令は作業内容ごとに別に発行するのが通例です。

Q2|受講に実技試験はありますか?

学科と修了試験のみで、実技試験はありません。修了試験は4科目の学科到達確認として実施されます。

Q3|合格率はどのくらいですか?

登録教習機関ごとに公表状況は異なりますが、真面目に受講すれば概ね取得できる位置づけの講習という運用実態があります。ただし修了考査で不合格となるケースもあり、事前学習と当日集中は必須です。合格率の一次公表資料が限られているため、機関別の運用は申込前に確認する必要があります。

Q4|有効期限はありますか?

技能講習修了証自体には有効期限はありません。ただし、能力向上教育(概ね5年ごと)が厚生労働省の指針で推奨されており、条文改正や災害事例の学び直しの機会として活用するのが望ましい運用です。

Q5|掘削面2m未満なら作業主任者は不要ですか?

作業主任者の選任義務はありませんが、労安則355条の作業計画・357条の勾配基準・358条の点検等は掘削作業全般に適用されます。2m未満でも危険な状況は起こり得るため、作業主任者に準じた管理体制を敷くのが望ましい層です。

Q6|ずい道の掘削も本資格でカバーできますか?

労安令6条9号は「ずい道および坑内の作業を除く」と明記しています。ずい道等の掘削は別資格「ずい道等の掘削等作業主任者」の対象です。

Q7|土止め支保工の使用中期間も作業主任者の直接指揮が必要ですか?

労安則374条の対象は「取付け・取外し」の作業です。恒常的な使用期間は対象外ですが、盛替え・部分差替え・追加設置は「取付け・取外し」に該当する場面が多いため、判断が難しいケースは所轄労働基準監督署に事前確認するのが確実です。

Q8|受講費用の会社負担は認められますか?

多くの企業で、業務に必要な資格取得費用として全額または一部負担が一般的な運用です。求人票の「資格取得支援」欄で費用負担の記載を確認できるほか、面接時に人事担当への確認も有効です。

Q9|受講申込に必要な書類は何ですか?

登録教習機関ごとに異なりますが、受講申込書・実務経験証明書・本人確認書類・受講料入金証明が基本セットです。実務経験証明書は現在または過去の在職企業に依頼して発行してもらう形が多く、書類受領までのリードタイムを見込んで早めに動くのが安全です。

Q10|監理技術者や主任技術者と作業主任者はどう違いますか?

監理技術者・主任技術者は建設業法上の技術者制度で、現場全体の技術管理を担う立場です。作業主任者は労働安全衛生法上の資格で、特定の危険作業について直接指揮を担う立場です。両者の役割分担については監理技術者と主任技術者の違いで整理しています。

Q11|経営事項審査での加点はありますか?

作業主任者資格そのものが直接的な経審加点項目になるわけではありませんが、登録土工基幹技能者や1級・2級土木施工管理技士とセットで保有することで、企業全体のW1・Z2の技術力評点に反映される構造です。1級施工管理技士は監理技術者として、2級施工管理技士は主任技術者として加点対象になります(国土交通省 経営事項審査で最新の審査要領を確認)。

Q12|女性受講者は少ないですか?

土工事系の作業主任者資格は男性受講者が中心の傾向がありますが、女性技術者の受講も増えつつあります。日本建設業連合会 けんせつ小町の取り組みなどで、女性が現場で活躍する事例が広がっています。

Q13|作業主任者が現場を離れる時間帯はどうすべきですか?

作業主任者は選任された作業について「直接指揮」する義務があるため、離席する場合は他の有資格者に一時的に交代してもらうか、その間は該当作業を中断するのが原則です。事前に代替要員を配置し、選任辞令も複数名で発行しておく運用が推奨されます。

Q14|4週8閉所と作業主任者の関係は?

日本建設業連合会が推進する4週8閉所は、4週間で8日間の現場閉所を指す業界指標で、労働者個人の休日である完全週休2日制とは概念が異なります。閉所日にも点検義務(大雨後・地震後)は残るため、作業主任者の連絡体制と代替要員の設計が重要になります。

Q15|次に取るべき資格は何ですか?

土工事系のキャリアを伸ばすなら、2級土木施工管理技士・車両系建設機械技能講習・玉掛け技能講習・小型移動式クレーン技能講習の順で、地山掘削・土止め支保工作業主任者と並行して揃えるのが定石です。中長期では1級土木施工管理技士・登録土工基幹技能者を目指す層が多く、施工管理技士の勉強時間建設現場の技能講習・特別教育一覧も参考になります。

まとめ|地山の掘削・土止め支保工作業主任者を取得する意味

要点を再掲します。

  • 選任義務は労安法14条・労安令6条9号10号・労安則359条・374条を根拠に、掘削面2m以上の地山掘削と土止め支保工の切りばり・腹おこしの取付け取外しに適用される
  • 職務は労安則360条・375条の3項目(作業方法決定と直接指揮/材料・器具の点検/墜落制止用器具と保護帽の使用監視)
  • 技能講習は学科合計約13時間+修了試験1時間の計約14時間を3日間で運用。免除コースは6.5〜10時間程度に短縮
  • 費用相場は全科目1.8〜2.6万円、一部免除1.2〜1.7万円レンジ。会員価格の有無で3,000〜5,000円の差
  • 受講資格の主要ルートは、21歳以上+実務経験3年以上、または指定学科卒業+実務経験2年以上の2ルート。加えて労働局長認定の例外あり
  • 施工管理技士・登録土工基幹技能者・CCUSレベル判定と組み合わせることでキャリア価値が上がる

土工事の現場を長く経験するライターや職長にとって、地山の掘削・土止め支保工作業主任者は「取得しておかないと現場を任されにくい層」から「取得済みで次に何を積むかを問われる層」への通過点になる資格です。取得済みの方は能力向上教育と実務経験の棚卸しを、未取得の方は年度計画に組み込んで早めに受講日を確保するのが望ましい動きです。

キャリアの棚卸しや土工事系職種の求人選定で迷った際は、タテルートのLINEキャリア相談を情報整理の場として活用できます。土工事の全体像は土工事の施工管理|掘削の実務ガイド、周辺資格の全体像は建設現場の技能講習・特別教育一覧、作業主任者の兄弟資格として型枠支保工の組立て等作業主任者を、あわせて参照してください。


運営:株式会社ヘルスベイシス・コンストラクション/タテルート編集部

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