施工管理の工事経歴とは、担当した工事の実績を体系的に整理した記録で、転職時の職務経歴書の実績欄・工事経歴書と、建設業許可・経営事項審査(経審)の様式第二号「工事経歴書」という異なる2つの用途を持ちます。両者は書式も読み手も目的も違いますが、下敷きとなる「現場の棚卸し」は共通しています。
しかし現場では、この2つを混同したまま「工事経歴書 書き方」で検索し、行政書士サイトの記載例と転職メディアの記載例が入り交じった状態で書き始めてしまうケースが多く見られます。結果として、転職書類では細かい税抜金額まで書きすぎる、申請書類ではプロジェクトの成果を作文で盛り込んでしまうといった、目的とズレた工事経歴が出来上がってしまいます。
本記事は、施工管理・現場監督として 転職を検討している方、および 建設業許可の新規申請・毎期の変更届(決算変更届)・経審申請を担当する方 の両方に向けて、工事経歴の書き方を整理します。読了後には、自分がどちらの用途で書くべきかを判断でき、案件棚卸しから7項目テンプレの記入、業種別・年代別の書き分けまで、実務でそのまま使える整理ができるようになります。
- 先に結論
- この記事で分かること
- 「工事経歴」の書き方は用途で2種類に分かれる
- 転職向け 工事経歴を書く前の準備|現場棚卸し6ステップ
- 転職向け 工事経歴の記載項目7点+テンプレ
- 数値化・成果アピールの書き方(STAR法/CAR法)
- 業種別の書き分け(建築/土木/電気/管/設備/解体)
- 年代別・経験別の工事経歴の書き分け
- 建設業許可・経審の工事経歴書(様式第二号)の書き方
- よくある失敗5パターン
- 制度・法令の位置づけ(工事経歴を書くときに知っておく前提)
- 独自求人観測(4点セット)
- 年代・立場別のケーススタディ
- 提出前の最終チェックリスト
- よくある質問(FAQ)
- Q1|工事経歴書と職務経歴書は両方必要ですか?
- Q2|建設業許可申請の「工事経歴書」と、転職の「工事経歴書」は何が違うのですか?
- Q3|発注者名は実名で書くべきですか?
- Q4|請負金額は正確に書く必要がありますか?
- Q5|案件は何件書けばよいですか?
- Q6|監理技術者として関わった案件はどう書けばよいですか?
- Q7|異業種から施工管理へ転職する場合、工事経歴はどう書くのですか?
- Q8|工事経歴に「工期短縮◯か月」と書きたいが、根拠が薄い場合は?
- Q9|複数の会社を経験している場合、工事経歴はどう並べればよいですか?
- Q10|JCIP(建設業許可電子申請システム)で工事経歴書を提出する際の注意点は?
- Q11|経審を受ける場合、決算変更届の工事経歴書はどう書けばよいですか?
- Q12|職務経歴書と工事経歴書で書く内容が重複してもよいですか?
- Q13|自己PR欄では、工事経歴のどこを引き取ればよいですか?
- Q14|面接で工事経歴のどこを深掘りされることが多いですか?
- Q15|工事経歴書を書いた後、どこに相談すればよいですか?
- まとめ
先に結論
- 「工事経歴」の書き方は用途で2種類に分かれる:(1)転職時の職務経歴書・工事経歴書(採用担当が読む)/(2)建設業許可・経審の様式第二号「工事経歴書」(許可行政庁が読む)。両者は書式・目的・読み手が異なる別書類として扱う
- 転職向けは「案件×担当領域×成果」を7項目テンプレで書く:工期・規模(延床面積等)・構造種別・請負金額の丸め値・担当した管理領域(QCDS)・関与人数・成果を、STAR法/CAR法で数値化する
- 建設業許可・経審の様式第二号は「7割ルール」と「税抜表記」が最重要:元請工事の請負代金合計の7割を超えるまで大きい順に記載、次に元請下請問わず総完成工事高の7割まで大きい順、経審申請時は税抜で記載する
- 転職書類の発注者名は「某物流デベロッパー」等の匿名化が許容される:守秘義務や個人情報保護の観点から、施主名・工事金額を丸めることは一般的な実務。ただし申請書類(様式第二号)は原則実名・実額(税抜)で記載する
- 業種別・年代別で書き分ける:建築(RC造/S造/SRC造/木造)/土木(工種と施工数量)/電気(系統・容量)/管(用途・口径)/設備/解体で強調するデータが異なる。20代は担当範囲の広さ、30代は判断事例、40代以降はマネジメント規模
この記事で分かること
- 「工事経歴」という言葉が指す2つの書類(転職書類・申請書類)の違いと使い分け
- 転職向け工事経歴を書く前の現場棚卸し6ステップ(洗い出し→選別→データ再確認→数値裏取り→匿名化→強調整理)
- 転職向け工事経歴の記載7項目テンプレと、STAR法/CAR法での成果アピール書き方
- 建築/土木/電気/管/設備/解体の業種別書き分けと強調ポイント
- 20代/30代/40代/50代の年代別書き分け戦略
- 建設業許可・経審の様式第二号「工事経歴書」の書き方(7割ルール・税抜・電子申請)
- よくある失敗5パターンと採用担当・許可行政庁それぞれから見た通らない工事経歴の特徴
「工事経歴」の書き方は用途で2種類に分かれる
まず、混同を解くところから始めます。転職の場面で「工事経歴書」と言う場合と、建設業許可の場面で「工事経歴書」と言う場合では、指しているものが違います。この整理をしないまま検索して雛形を組み合わせると、目的とズレた書類ができあがります。
転職時の職務経歴書の実績欄・工事経歴書とは
転職・採用選考の場では、応募者が 「これまで担当した工事の実績」 を採用担当者・現場長・技術担当役員に伝えるための書類として、工事経歴が使われます。フォーマットは会社・エージェントごとに違いますが、多くは以下のいずれかです。
- 職務経歴書の「担当プロジェクト」「実績」欄 に、案件ごとに工期・規模・構造・担当領域を書き並べる形
- 職務経歴書とは別に「工事経歴書」 を1枚〜数枚添付し、案件を表形式で並べる形(建設・施工管理特化の求人媒体・エージェントが独自テンプレを配布していることが多い)
書き手(応募者)は、案件を1件1件アピール色を持って選び、成果を数値で示すことが期待されます。読み手は、書類選考を通すか・面接に呼ぶかを判断する採用担当者や現場長です。
建設業許可・経営事項審査(経審)の様式第二号「工事経歴書」とは
一方、建設業許可の場面で「工事経歴書」と言うと、建設業法施行規則が定める様式第二号 を指します。用途は次の3つで、いずれも許可行政庁・審査行政庁に提出する公的書類です。
- 建設業許可の新規申請・業種追加申請(29業種のうち申請する業種ごとに直前3年の主な工事を記載)
- 毎年の「変更届出書」(決算変更届) の提出(事業年度終了ごとに直前1年の工事を記載)
- 経営事項審査(経審) 申請時(経審用のルールで工事完成高を記載)
書き手(建設業者の許可申請担当・行政書士)は、期間内の完成工事を 客観的な事実として 記入します。アピール色は不要で、むしろ 記載順・請負金額の税込/税抜・記載対象範囲 といったルールを正確に守ることが最重要です。読み手は、許可行政庁の審査担当職員や、経審の審査機関です。
出典:国土交通省「工事経歴書の作成の手引き」(PDF)、国土交通省 建設業の許可
3書類(履歴書/職務経歴書/様式第二号)の使い分け早見表
転職の場面で使う3書類と、許可申請で使う1書類を並べて整理します。
| 書類 | 主な用途 | 読み手 | 記載期間 | 記載対象 | 表記ルール |
|---|---|---|---|---|---|
| 履歴書 | 転職・応募の基本書類 | 採用担当 | 学歴・職歴全期間 | 経歴の骨格 | 学歴+職歴+資格 |
| 職務経歴書 | 転職・書類選考 | 採用担当・現場長 | 職務経験全期間(要点抜粋) | 実務内容と成果 | 実績・スキル・自己PR |
| 工事経歴書(転職用) | 転職・書類選考の補足 | 採用担当・現場長 | 直近5〜10年目安 | 案件別の実績 | 案件×工期×規模×担当領域 |
| 様式第二号(申請用) | 建設業許可・経審申請 | 許可行政庁 | 直前1〜3年度 | 期間内の完成工事全体 | 記載順・税抜等のルール準拠 |
「工事経歴書」という同じ名前でも、転職向けと申請向けは全くの別物です。 本記事では、後半で申請向け(様式第二号)にも触れますが、まずは検索需要の多い転職向けの書き方を中心に整理します。
職務経歴書全体の書き方(履歴書・工事経歴書との3書類比較や採用担当5観点)については、姉妹記事の施工管理の職務経歴書の書き方|3書類の使い分けと採用担当5観点でまとめています。本記事はその中でも「工事経歴・実績欄」の書き出し方に特化した内容です。
転職向け 工事経歴を書く前の準備|現場棚卸し6ステップ
いきなり職務経歴書を開いて書き始める人が多い印象ですが、それでは案件を並べ順のまま書いてしまい、抜けと偏りが発生します。まず 6ステップで現場を棚卸し してから書くと、通過率が上がります。
ステップ1|担当した全案件を洗い出す
過去5〜10年分の担当案件を、まずは 全部 リストアップします。この段階では「アピールできるかどうか」で選別しない。以下の項目でスプレッドシートまたはノートに書き出します。
- 工事名(社内呼称でOK)
- 発注者(実名でOK。あとで匿名化する)
- 元請/下請の別
- 工期(着手〜完了年月)
- 現場所在地(都道府県まででOK)
- 自分の役職・立場(現場担当/主任/副所長/所長/監理技術者)
- 担当領域(品質/工程/原価/安全のQCDSのうち何を担当したか)
過去のスケジュール帳・現場日誌・社内報告書・写真管理ソフト・工事写真台帳・元請への月次報告書・自分の給与明細(現場手当がある場合)を頼りに、抜けなく洗い出します。
ステップ2|アピール軸で最大10〜15件に絞り込む
洗い出した案件のうち、職務経歴書に載せるのは 10〜15件が実務上の上限 と考えるのが妥当です。全件を書くと、1件あたりの情報量が薄くなり、逆に印象が弱くなります。絞り込みの判定軸は以下です。
- 金額規模:応募先の主要案件と同レンジ以上の案件を優先
- 担当範囲:所長・副所長・主任として関与した案件を優先
- 成果が明確:工期短縮・原価改善・無災害達成など、数値で語れる案件を優先
- 応募先の得意領域と合う:応募先が住宅リフォーム主体なら、大規模改修や住宅系案件を優先
- 直近性:直近5年程度の案件を厚めに、それ以前は代表案件のみに絞る
「担当領域が浅かった案件」「短期間で外れた案件」「トラブル対応で入っただけの案件」は、無理に載せなくてよいです。
ステップ3|構造種別・規模データを再確認する
案件を絞ったら、各案件の 数値データ を裏取りします。ここが甘いと、面接で細部を聞かれて答えられず失点します。
- 建築:構造種別(RC造/S造/SRC造/木造/混構造)・階数・延床面積・敷地面積・軒高・用途
- 土木:工種(道路/橋梁/トンネル/河川/砂防/上下水道)・延長・施工数量・盛土切土量
- 電気:受変電容量(kVA・MW)・幹線種別・系統数・受電電圧
- 管:用途(給排水/空調/衛生/ガス)・配管口径と延長・熱源容量
- 設備・造園・解体:それぞれの主要な数量データ(機器容量・造園延面積・解体延床面積)
数値は 概数でよい ですが、書類上の丸め値と面接で答える実数の乖離が大きくならないように、原簿(工事契約書・完了届・完成通知・工事写真台帳の表紙)で確認しておきます。
ステップ4|成果の数値の裏取り
「工期を短縮した」「原価を圧縮した」「無災害を達成した」等の成果を書く場合、必ず 元データ を確認します。「工程会議議事録」「実行予算と最終実行予算の差」「無災害記録(安全大会資料)」「品質記録(是正指示書のカウント)」等が根拠になります。
裏取りができない数値は、書かない か、留保表現(「工期短縮の傾向」「原価管理を担当」等)に留めます。面接で追及されたときに答えられないと、書類全体の信頼を損ないます。
ステップ5|発注者名・実名の伏せ方(守秘義務)
転職書類では、発注者名や工事名は守秘義務との兼ね合いで匿名化することが一般的 です。以下のパターンが実務で使われます。
- 「某物流デベロッパー」「某ハウスメーカー」「某総合病院」 など、業種+規模感で置き換える
- 「大手ゼネコン発注/延床◯㎡ RC造」 のように、発注者は業態、案件は数値データで示す
- 「首都圏/◯都◯県所在」 のように、地域は都道府県までにとどめる
自分が退職済みの会社の案件でも、守秘義務は在職中と同様に残ります。応募先が競合他社の場合、書類の匿名度合いは特に高めにするのが実務上の慣行です。公共工事の発注者(国交省◯地方整備局・◯市・◯県)については、公開情報として扱えるケースもありますが、応募先提出書類では社内規程や守秘方針に従い、必要に応じて匿名化を検討 します。
ステップ6|応募先ごとに強調ポイントを整理する
同じ案件でも、応募先ごとに どこを強調するか を変えます。
- 応募先がスーパーゼネコン → 大規模・長工期・多職種調整の案件を厚めに、担当領域は全QCDS
- 応募先がサブコン(設備) → 設備系案件を厚めに、系統容量・機器仕様の数値を優先
- 応募先が地場ゼネコン → 中小規模の案件・地元発注者との関係・多工種の兼務経験を強めに
- 応募先がハウスメーカー → 住宅・小規模建築、顧客対応・工程管理の細やかさを厚めに
- 応募先が発注者側(公務員・鉄道・電力・大手荷主) → 元請調整力・仕様策定・審査経験を厚めに
同じ棚卸しデータを 応募先ごとに書き替える イメージです。
転職向け 工事経歴の記載項目7点+テンプレ
棚卸しが終わったら、実際に工事経歴を書きます。転職書類での 標準的な7項目テンプレ を示します。
記載7項目
| 項目 | 内容 | 記載例 |
|---|---|---|
| 1. 工期 | 着手〜完了年月 | 2023年4月〜2024年8月(16か月) |
| 2. 発注者・元請下請区分 | 匿名化+区分 | 某物流デベロッパー/元請 |
| 3. 工事概要 | 用途・構造・規模 | 物流倉庫新築/S造3階/延床28,000㎡ |
| 4. 請負金額 | 丸め値でOK | 約48億円 |
| 5. 担当役職 | 職務上の立場 | 副所長(監理技術者補佐) |
| 6. 担当領域 | QCDSのうち何を担当 | 品質・工程・原価管理を主担当、安全管理は補助 |
| 7. 主な成果 | 数値または定性的成果 | 工程1か月短縮/無災害達成/実行予算比△2% |
表形式で並べる と、案件ごとの読み比べがしやすくなります。
職務経歴書内での書き出し例(表形式)
【担当プロジェクト】
| 工期 | 発注者/区分 | 工事概要 | 請負金額 | 担当役職/領域 | 主な成果 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年4月〜2024年8月 | 某物流デベロッパー/元請 | 物流倉庫新築 S造3階 延床28,000㎡ | 約48億円 | 副所長/品質・工程・原価 | 工程1か月短縮・実行予算比△2%・無災害 |
| 2021年10月〜2023年3月 | 某ハウスメーカー/下請 | 分譲マンション新築 RC造15階 延床9,500㎡ | 約22億円 | 現場所長/全QCDS | 施主満足度アンケート優良・実行予算比△1.5% |
業務内容欄での書き出し例(案件ごとの深掘り)
表と併せて、代表案件は 案件ごとの箱 で深掘りします。
■ 物流倉庫新築工事(2023年4月〜2024年8月)
・発注者:某物流デベロッパー/元請請負
・規模:S造3階/延床28,000㎡/請負金額 約48億円
・立場:副所長(監理技術者補佐)
・担当領域:品質管理・工程管理・原価管理(協力業者12社/最大稼働120名/自社社員6名を統括)
・主な成果:
- 鉄骨建方の建設機械割り付けを見直し、工程を1か月短縮
- 型枠職の労務単価上昇への対応として工法変更を提案し、実行予算比△2%を達成
- 全16か月間で墜落・重機接触事故ゼロ、KY活動出席率95%以上を維持
テンプレのダウンロード先の考え方
エージェント各社(プレックスジョブ・RSG建設転職・ビルドジョブ・施工管理求人.com・doda・マイナビ転職)が独自の工事経歴テンプレを配布していますが、内容の項目は概ね上記7項目で一致 します。フォーマットはエージェント指定のものを使い、記載内容は本記事の7項目で整理する、という組み合わせが実務的です。エージェント選びについては施工管理の転職エージェントおすすめで整理しています。
数値化・成果アピールの書き方(STAR法/CAR法)
工事経歴で最も差が出るのが 成果の書き方 です。「品質管理・工程管理を担当」だけで終わると、案件の記憶がない読み手には何も伝わりません。以下2つのフレームワークが実務で使われます。
STAR法(Situation → Task → Action → Result)
STAR法は、状況・課題・行動・結果の4要素で1件のエピソードを整理する手法で、外資系人事や大手日系企業でも面接評価軸として使われるフレームです。
- S(Situation):どのような現場だったか(規模・工期・関係者)
- T(Task):自分に課された目標・課題は何だったか
- A(Action):何を実行したか(判断・工夫・調整)
- R(Result):何が達成されたか(数値化)
書き出し例:
S:延床28,000㎡・工期16か月の物流倉庫新築工事で副所長を担当。
T:鉄骨建方が当初計画で3週間遅延しており、全工程での取り戻しが必要だった。
A:クレーン割り付けと建方順序を見直し、大型移動式クレーンから2機併用の
タワークレーン運用に切り替え。加えて、外壁パネル取付作業の先行着手可能な
ゾーンを切り出し、工程を並行化。
R:鉄骨建方の遅延3週間を取り戻し、加えて後工程の内装工事も1週間の短縮を実現。
最終的に全体工程を1か月短縮して竣工した。
このように、SからRまで 数値と行動が明確 に書けると、面接で追加質問が来ても答えられます。
CAR法(Context → Action → Result)
STAR法を3要素に凝縮したCAR法もよく使われます。転職書類では、CAR法の方が 1件あたりの分量が抑えられて表形式に収まりやすい ため、案件数が多い施工管理職では実用的です。
- C(Context):現場の背景・状況
- A(Action):自分が取った行動
- R(Result):数値で示せる結果
STAR法との違いは、TaskとSituationをまとめて「Context」として1文にする点です。
品質/工程/原価/安全のQCDS別書き分け
STAR/CARを使う際、成果は QCDS(Quality/Cost/Delivery/Safety) の観点で数値化します。
| 領域 | 数値化しやすい成果例 |
|---|---|
| 品質管理 | 是正指示件数の削減/JASS 5準拠の湿潤養生達成率/竣工検査での指摘件数/施主満足度アンケート結果/不具合発生率 |
| 工程管理 | 全体工程の短縮日数/週間工程遵守率/出来高進捗率/工程遅延の回復日数 |
| 原価管理 | 実行予算比の差異(△1〜3%)/VE(バリューエンジニアリング)提案件数と採用額/工事原価率 |
| 安全管理 | 無災害達成日数/KY活動出席率/ヒヤリハット報告件数/安全パトロール指摘件数 |
数値化にあたっては、自分の担当範囲内での成果である ことを明確にする必要があります。全社的な取り組みの結果を自分の成果として書くと、面接で見抜かれます。
なお、無災害達成やヒヤリハット報告等の安全管理の指標については、安全衛生管理計画書の作り方やリスクアセスメント建設の進め方で全体像を整理しています。
業種別の書き分け(建築/土木/電気/管/設備/解体)
同じ「施工管理」でも、業種によって書くべきデータが違います。応募先の業種に合わせて、強調するデータを選びます。
建築(RC造/S造/SRC造/木造)
建築の工事経歴では、構造種別・階数・延床面積 を最優先で書きます。それに加えて用途(住宅/事務所/店舗/病院/学校/工場/物流倉庫)と、代表的な担当範囲を書きます。
- 構造:RC造/S造/SRC造/木造/混構造
- 規模:延床◯㎡/地上◯階建て/地下◯階/軒高◯m
- 用途:オフィス・住宅・物流・医療・教育・工場
- 特殊要件:免震・制震・耐震改修・ZEB・BELS等級
土木(工種/延長/数量)
土木の工事経歴では、工種と施工数量 が読み手の判断材料になります。
- 工種:道路(改良・舗装)/橋梁(PC・鋼)/トンネル(NATM・シールド)/河川(護岸・築堤)/砂防(堰堤)/上下水道
- 数量:延長◯m/盛土切土◯㎥/橋長◯m/トンネル延長◯m/舗装面積◯㎡
- 発注者:国交省・地方整備局・都道府県・市町村・NEXCO・JR・電力・ガス
土木施工管理は 公共工事比率が高い ため、発注者(国土交通省◯地方整備局/◯市/◯県)を明記できる案件が多い点も特徴です。ただし公共工事でも工事金額の詳細(税抜表記等)は転職書類では丸め値で構いません。
電気(受変電容量・幹線・系統)
電気工事施工管理では、受変電容量(kVA・MW)・幹線種別・系統数 が数値の中心です。
- 受変電:受電電圧(6.6kV/22kV/66kV)・容量(◯kVA/◯MW)
- 幹線:ケーブル種別(CV/CVT)・断面積(◯sq)・条数
- 特殊:太陽光発電・蓄電池・EV充電設備・BEMS・防災設備
管工事(用途・口径・熱源容量)
管工事施工管理では、用途と設備規模 が判断材料です。
- 用途:給水/排水/衛生/空調/換気/ガス
- 規模:熱源容量(冷凍トン・kW)・配管口径(◯A)・延長
- 特殊:クリーンルーム・医療ガス・実験排気・厨房排気
設備・造園・解体
- 設備:建物設備全般(電気+管+計装+防災)の統合施工管理経験
- 造園:造園延面積・樹木本数・植栽計画・工事場所(公園/庭園/街路樹)
- 解体:解体延床面積・構造種別・分別解体率・アスベスト・産業廃棄物量(マニフェスト管理)
各業種の細かな仕事内容の違いは、施工管理 業種別(建築/土木/電気/管/造園)の仕事内容や施工管理 メーカー転職などで整理しています。
年代別・経験別の工事経歴の書き分け
同じ内容の案件でも、年代によって 何を強調するか を変えます。
20代(未経験〜若手)
20代の工事経歴では、担当範囲の広さ・学ぶ姿勢・成長曲線 を強調します。
- 案件件数を絞りすぎず、5〜8件を並べる(規模より件数)
- 職種横断で担当した経験(電気と建築の両方に触れた等)は積極的に書く
- 「所長補佐として工程管理を担当」等、範囲の広さで幅を示す
- 資格:施工管理技士2級(1級学科合格でも記載可)/CAD等
第二新卒層の書き方は施工管理の第二新卒転職で詳しく整理しています。
30代(中堅)
30代の工事経歴では、判断事例とマネジメント経験 を強調します。
- 案件件数は8〜12件、規模と密度のバランスを取る
- 副所長・主任として担当した案件を厚めに
- QCDSのうち複数領域を主担当した案件を選ぶ
- 資格:施工管理技士1級/監理技術者資格者証/必要に応じて特殊資格(鉄骨造建築物工事管理者等)
40代(管理職層)
40代の工事経歴では、マネジメント規模・工事金額規模・多職種調整 を強調します。
- 案件件数は10〜15件、金額規模の大きい代表案件を厚めに
- 現場所長として担当した案件を優先
- 統括した協力業者数・稼働人数・工事金額
- 資格:施工管理技士1級/監理技術者/技術士(該当する場合)/その他
技術士(建設部門)の位置づけは技術士 建設部門とはで整理しています。
50代(ベテラン)
50代の工事経歴では、マネジメント範囲・特殊工事経験・後進育成 を強調します。
- 案件件数は代表10〜12件に絞り、1件あたりの情報量を厚くする
- 統括所長・工事部長・技術部長など、複数現場・複数所長を統括した経験
- 教育・後進育成の実績(若手所長を◯名輩出等)
- 資格:施工管理技士1級/監理技術者/技術士/その他マネジメント資格
建設業許可・経審の工事経歴書(様式第二号)の書き方
ここから後半は、建設業許可申請・毎期の変更届・経営事項審査申請 で提出する様式第二号「工事経歴書」の書き方に移ります。転職書類と混同しないよう、書式・目的・記載ルールが全く別物であることを再度確認してから進めます。
記載対象期間と用途
用途によって記載対象期間が異なります。
| 用途 | 記載対象期間 | 記載範囲 |
|---|---|---|
| 建設業許可の新規申請 | 直前3年間 | 主な完成工事 |
| 業種追加申請 | 直前3年間 | 追加する業種の完成工事 |
| 決算変更届(毎年) | 直前1年(事業年度) | 期内の完成工事を中心に所定様式へ記載 |
| 経営事項審査(経審) | 直前1年(審査基準日前1年) | 期内の完成工事 |
いずれも 業種ごとに1枚 作成します。許可を受けている各業種について、それぞれ工事経歴書を作成します(業種区分の詳細は最新の国交省資料で確認します)。
7割ルール(元請→総完成工事高)
様式第二号の記載順は、「7割ルール」 で定められています。
第1段階: 元請工事の請負代金合計の 7割 を超えるまで、請負代金の額の大きい順に記載する(上限は1,000億円)。元請工事のうち500万円未満(建築一式は1,500万円未満)の軽微な工事は、10件記載すれば足りる。
第2段階: 第1段階で記載しなかった元請工事と下請工事を合わせて、総完成工事高の7割 を超えるまで、請負代金の額の大きい順に記載する。
この7割ルールは、審査行政庁が「主要な工事の実態を把握する」ために設けられているもので、全件を書くのではなく、大きい順に7割 を書くという点が特徴です。「全部書けばよい」ではなく、「大きい順に7割で止める」のが正解です。
税抜表記/経審/決算変更届の違い
請負金額の記載単位は、用途によって異なります。
| 用途 | 請負代金の記載 |
|---|---|
| 建設業許可の新規申請 | 税込・税抜どちらでも可(都道府県により指定あり) |
| 決算変更届(経審を受けない) | 税込・税抜どちらでも可(都道府県により指定あり) |
| 決算変更届(経審を受ける) | 税抜のみ |
| 経営事項審査申請 | 税抜のみ |
経審を受ける事業年度の決算変更届は、必ず税抜で書く 点が特に間違えやすいポイントです。「経審を受けるつもりでも、決算変更届は税込で出してしまい、経審の際に税抜への差替が必要になる」ケースが実務で頻繁に発生します。事業年度末の段階で経審を受けるかどうか判断し、書式を統一しておくのが実務上の推奨です。
JCIP(建設業許可・経営事項審査電子申請システム)の要点
2023年1月から、建設業許可・経営事項審査は電子申請システム JCIP(Japan Construction Industry Portal) での申請が段階的に導入されており、2026年8月時点で本格運用に至っています。
- 工事経歴書の入力もJCIP上で完結(PDF・エクセルからの一括インポートに対応)
- 入力時は最新の入力要件・操作案内をJCIP公式マニュアルで確認する必要があり、記載ルールの最終確認は国交省資料に基づいて行う
- 添付書類(契約書・注文書・請求書等の証憑)は電子データで提出
出典:国土交通省「建設業許可・経営事項審査電子申請システム」
添付書類(契約書・注文書・請求書)
経審申請時には、記載した工事について 契約書・注文書/請書・請求書/入金通帳 といった証憑での事実確認が求められます。
- 契約書(元請工事)または注文書・請書(下請工事)
- 発注者からの請求書写しまたは入金通帳の写し
- 経審の審査時に、記載した工事について現物確認が入る
つまり、様式第二号の工事経歴書は「アピール」ではなく、「本当にその工事を施工した」ことを客観証拠で裏付ける ことが本質です。転職書類とは真逆の性質と言えます。
よくある失敗5パターン
工事経歴が採用担当・許可行政庁の双方から「通らない」パターンを整理します。
失敗1|案件を全部並べて薄くなる
50件を全部並べると、1件あたり2〜3行になってしまい、案件の中身が見えなくなります。10〜15件に絞り、1件あたり数値と成果を明確に書く方が、書類選考の通過率は高くなります(この点は複数の建設特化転職エージェントの求人媒体・書き方コラムでも一貫して案内されている観測です)。
失敗2|数値が入っていない
「品質管理を担当」「工程管理を実施」だけでは、規模感も成果も伝わりません。延床面積・工事金額・工程短縮日数・実行予算比・無災害達成日数といった 具体的な数値 を必ず入れます。数値が思い出せない案件は載せない、という判断もあります。
失敗3|守秘義務違反・情報開示リスク
発注者名・施主名を実名で書き、しかも競合他社にその書類が渡ってしまうと、守秘義務違反や、個人情報を含む場合の不適切な情報開示リスクがあります。転職書類では 必ず匿名化 を徹底します。逆に、様式第二号(申請書類)では原則実名が求められるので、混同しないよう注意します。
失敗4|構造情報・数量情報が薄い
建築で「RC造の建物」だけ書いて、階数・延床面積・用途を書かない、土木で「道路工事」だけ書いて延長・工種・数量を書かない、といったパターンは、面接での深掘りに耐えられません。構造種別+規模+用途+工種+数量 の5要素を意識して埋めます。
失敗5|管理範囲が曖昧
「現場に配属されていた」だけで、自分がQCDSのどの範囲を担当していたか書かれていないと、経験の実質が判断できません。「品質管理を主担当、工程・安全管理を補助担当」 のように、主・補の別まで書き分けるのが望ましい水準です。
制度・法令の位置づけ(工事経歴を書くときに知っておく前提)
工事経歴を書くときの前提として、施工管理職に関わる主要な制度・法令の位置づけを整理しておきます。この理解があるかどうかで、書類の記述の正確性が変わります。
監理技術者・主任技術者の配置と工事経歴
監理技術者 は、元請工事のうち下請契約金額の合計が一定額以上となる現場に配置される技術者で、1級施工管理技士 は監理技術者になれる代表的な資格の1つです。実際に監理技術者として配置されるためには、監理技術者資格者証の交付・監理技術者講習の修了・専任要件・所属要件など、複数の要件を個別に確認する必要があります。
主任技術者 は、すべての工事現場に配置義務がある技術者です。2級施工管理技士は、資格区分に対応する工事において主任技術者として配置できる国家資格として位置づけられます。
工事経歴に「監理技術者を担当」「主任技術者を担当」と書く場合、その現場で実際に選任されていたかの記録(工事写真台帳の技術者記載欄・元請への技術者届出書等)を確認しておきます。
経営事項審査(経審)と技術者点数
経審では、企業の技術力を評価する項目として 技術職員数(技術力Z点) があり、資格保有者の数と資格レベルに応じて点数が加算されます。
- 1級施工管理技士:監理技術者として加点
- 2級施工管理技士:主任技術者として加点(監理技術者としての加点ではない)
工事経歴書(様式第二号)は経審の対象書類であり、記載した工事の実態と技術者配置が、後述の別紙(技術職員名簿)と整合していることが確認されます。
2024年問題(時間外労働上限規制)と工事経歴
2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用されています。原則は 月45時間/年360時間、特別条項付き36協定がある場合でも 年720時間以内、時間外労働と休日労働の合計で 単月100時間未満/複数月平均80時間以内 が上限です。違反企業には 6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金 が科されます。なお、災害復旧・復興工事には一部の制限緩和特例があります。
転職の面接で「前職での月間残業時間」「休日出勤の頻度」を聞かれることは増えており、工事経歴に工程管理での改善事例(工期短縮・週休二日確保等)を書いておくと、質問への回答材料になります。
第三次・担い手3法(2025年12月12日全面施行)
建設業法・入契法・品確法を一体改正した 第三次・担い手3法 は、2024年6月公布のあと段階的施行を経て、2025年12月12日に全面施行 されました。労務費の基準・処遇改善、資材高騰時の労務費しわ寄せ防止、働き方改革・生産性向上を3本柱としています。
工事経歴の中で、担い手3法施行以降の案件で CCUS(建設キャリアアップシステム) の活用状況、労務費見積の基準活用、下請契約適正化の取り組みなどに触れられると、直近の制度対応力の裏付けになります。
施工管理技士制度(2024年度改正)と工事経歴
2024年度から施工管理技術検定の受検資格が改正 され、第一次検定は年齢要件を中心に受検しやすくなりました。第二次検定には実務経験要件が引き続きあり、経験年数の数え方も整理されています。工事経歴に記載する案件は、第二次検定の実務経験証明書との整合を取っておく必要があります。
出典:一般財団法人建設業振興基金、一般財団法人全国建設研修センター
4週8閉所と個人休日の区別
工事経歴に「4週8閉所を達成」と書く場合、4週8閉所は現場閉所の指標 であり、個人の休日取得日数とは必ずしも一致しない点に注意します。個人の休日取得日数を書きたい場合は、「年間休日◯日を達成」「完全週休2日制を維持」といった別の指標で書きます。
独自求人観測(4点セット)
タテルート編集部が、施工管理職の中途採用求人票における工事経歴・実績欄の書式指定を確認した範囲を整理します。
- 調査時期:2026年7月中旬〜8月上旬
- 調査件数:約60件
- 対象範囲:施工管理職(建築・土木・電気・管・設備)の中途採用求人票/首都圏・関西圏中心/正社員限定/派遣・請負・業務委託・海外案件・雇用形態不明は除外/同一企業複数媒体掲載は1件換算
- 抽出条件:大手・準大手ゼネコン・地場ゼネコン・サブコン・ハウスメーカー・建設コンサル・専門工事会社を横断/建設特化転職媒体2社、大手総合転職媒体2社、地元求人サイト1社の主要5媒体
観測結果(参考値):
- 職務経歴書に加えて工事経歴書の添付を明示的に求めた求人:全体の約4割
- 職務経歴書内の実績欄で、案件情報の記載を求めた求人:全体の約9割
- 案件ごとの延床面積・工事金額の記載を推奨した求人:全体の約6割
- 数値化された成果(工程短縮・原価改善等)の記載を推奨した求人:全体の約3割
工事経歴書という別書類の提出が全体の4割で明示的に求められる一方、職務経歴書内での案件情報記載は9割以上で求められる観測でした(首都圏・関西圏中心の中途採用ベース。地方・地場企業・海外案件ではこの比率が異なる可能性があります)。
年代・立場別のケーススタディ
年代と立場ごとに、工事経歴の書き方の代表パターンを整理します。
ケース1|20代後半・第二新卒・現場担当(3年目)
3年目までの若手が、初めての転職で工事経歴を書くケース。案件件数はまだ多くないので、5〜7件を並べ、1件あたりの担当範囲と学びを厚めに 書きます。所長・副所長ではなく現場担当なので、担当した工程・担当した工種の細かさで幅を示します。第二新卒層の書き方の全体像は施工管理の第二新卒転職を参照ください。
ケース2|30代前半・準大手ゼネコン・現場所長
準大手ゼネコンで初めて所長を任された30代前半のケース。所長として担当した案件を1〜2件、深く書く ことに集中します。副所長時代の案件は補助扱いにし、所長経験を厚めに書きます。年収交渉との組み合わせは施工管理の年収交渉でまとめています。
ケース3|40代・地場ゼネコン→スーパーゼネコンへの挑戦
地場ゼネコンで所長経験を積んだ40代が、大手ゼネコンへ挑戦するケース。大手が扱う規模との比較で見劣りしないよう、複数現場の統括経験や特殊工事経験 を強調します。ここでは金額規模で負ける可能性があるため、金額以外の付加価値(品質・工程・原価管理の技術的深さ)で勝負します。
ケース4|50代・大手ゼネコン→建設コンサル・発注者側への転身
50代の大手ゼネコン管理職が、キャリア後半で建設コンサルタントや発注者側(公務員・鉄道・電力)に転身するケース。マネジメント規模と、発注者側で活かせる技術的判断経験 を厚めに書きます。技術士取得済みの場合は資格も強調材料になります。発注者側転職の詳細は発注者・公務員転職などの関連記事で整理しています。
提出前の最終チェックリスト
工事経歴を書き終えたら、提出前に以下を確認します。
- [ ] 案件件数は10〜15件(20代は5〜8件)に絞れているか
- [ ] 各案件に工期・発注者区分・工事概要(構造/規模/用途)・請負金額・担当役職・担当領域・成果の7項目が入っているか
- [ ] 発注者名・施主名は匿名化されているか
- [ ] 数値は概数でよいが、面接で追加質問された際に答えられる元データを持っているか
- [ ] 業種別に強調ポイントが応募先の得意領域と合っているか
- [ ] 年代別の書き方(20代は幅、30代は判断、40代以降はマネジメント規模)を意識できているか
- [ ] 成果はSTAR法/CAR法でContext・Action・Resultが明確か
- [ ] 建設業許可・経審の様式第二号を書く場合は、7割ルール・税抜表記・記載対象期間を守っているか
- [ ] JCIPで電子申請する場合は、システム側のバリデーションを事前確認しているか
- [ ] 職務経歴書全体の書き方は施工管理の職務経歴書の書き方で整理した5観点(実務経験/担当範囲/数値化/再現性/志向性)と整合しているか
よくある質問(FAQ)
Q1|工事経歴書と職務経歴書は両方必要ですか?
応募先によって異なります。建設業に特化した求人媒体・エージェント経由の応募では、職務経歴書+工事経歴書(案件一覧)の2点を求められることが多く、大手ゼネコン・準大手ゼネコンの直接応募では、職務経歴書に案件一覧を含める形が主流です。当編集部の求人票観測では、工事経歴書の別書式提出を明示的に求めた求人は全体の約4割でした(首都圏・関西圏中心)。
Q2|建設業許可申請の「工事経歴書」と、転職の「工事経歴書」は何が違うのですか?
用途・書式・読み手・記載ルールがすべて異なります。建設業許可申請の工事経歴書は建設業法施行規則が定める様式第二号 で、7割ルール・税抜表記・全件記載の順序ルールがあり、読み手は許可行政庁です。転職の工事経歴書は各エージェント・求人媒体・応募先ごとに独自書式 で、アピール色を持って案件を選び、成果を数値化することが求められ、読み手は採用担当者です。同じ名前ですが別書類として扱います。
Q3|発注者名は実名で書くべきですか?
転職書類では匿名化が実務上の慣行 です。「某物流デベロッパー」「某ハウスメーカー」「某総合病院」のように業種+規模感で置き換えるか、「大手ゼネコン発注」のように発注者の業態で示します。前職の守秘義務や、個人情報を含む場合の情報開示に配慮する観点から、応募先が同業競合の場合は特に匿名化を徹底します。公共工事の発注者(国交省◯地方整備局・◯市・◯県)は公開情報として扱えるケースもありますが、応募先提出書類では社内規程や守秘方針に従い、必要に応じて匿名化を検討します。申請書類(様式第二号)では原則実名記載 で、匿名化はしません。
Q4|請負金額は正確に書く必要がありますか?
転職書類では概数(丸め値)で構いません。「約48億円」「約22億円」「約8,500万円」のように書きます。面接で追加質問された際に、正確な数値を答えられるように元データ(工事契約書・完了届等)は保管しておくのが望ましいですが、書類上の記載は概数で十分です。申請書類(様式第二号)では実額を1,000円単位で 記載します(経審申請時は税抜)。
Q5|案件は何件書けばよいですか?
転職書類では10〜15件が実用的な上限 です。20代は5〜8件、30代は8〜12件、40代以降は10〜15件が目安。全件を書くと1件あたりが薄くなり、逆に印象が弱くなります。応募先の得意領域と合う案件を優先し、直近5年程度を厚めに、それ以前は代表案件のみに絞ります。
Q6|監理技術者として関わった案件はどう書けばよいですか?
「監理技術者として担当」「主任技術者として担当」と役職欄に明記します。ただし、監理技術者として実際に選任されていた記録(工事写真台帳の技術者記載欄・元請への技術者届出書等)と整合するように書きます。1級施工管理技士を保有していただけで、実際には主任技術者や現場担当だった案件を「監理技術者担当」と書くと、面接で追及されると通らなくなります。実際の配置状況は監理技術者資格者証・所属要件・工事条件を踏まえて個別確認します。詳細は監理技術者と主任技術者の違いでも整理しています。
Q7|異業種から施工管理へ転職する場合、工事経歴はどう書くのですか?
未経験からの転職では、施工管理としての工事経歴は基本的にありません。代わりに前職の職務経歴を「施工管理職で活きる要素」に翻訳して書く ことになります。プロジェクト管理経験・多職種調整経験・数値目標管理経験・現場経験(製造業・物流業からの転職の場合)などが翻訳材料です。異業種転職の全体像は施工管理 未経験 20代、30代は施工管理 未経験 30代 転職、40代は施工管理 未経験 40代 転職などで整理しています。
Q8|工事経歴に「工期短縮◯か月」と書きたいが、根拠が薄い場合は?
根拠のない数値は書かない、または留保表現に留める のが原則です。「工期短縮の傾向」「工程管理を担当」等に置き換えます。無理に数値を入れると、面接で追加質問されたときに答えられず、書類全体の信頼を損ないます。数値を入れる場合は、必ず元データ(工程会議議事録・実行予算差異表・無災害記録等)で裏取りをします。
Q9|複数の会社を経験している場合、工事経歴はどう並べればよいですか?
会社ごとに区切り、その中で時系列(新→旧または旧→新)で並べる のが読みやすい構成です。職務経歴書の職歴欄と工事経歴の並びを一致させると、読み手が理解しやすくなります。転職回数が多い場合は、代表案件のみに絞り込むことで、案件件数を抑えつつ経験の厚みを示すことができます。
Q10|JCIP(建設業許可電子申請システム)で工事経歴書を提出する際の注意点は?
JCIPは2023年1月から段階導入され、2026年8月時点で本格運用に至っています。工事経歴書はシステム上での直接入力またはエクセルからの一括インポートに対応しており、7割ルールなどのバリデーションが自動で行われます。要件を満たさない場合は入力段階で警告が出る ため、事前にルールを確認してから入力を始めるのが実務上の推奨です。詳細は国土交通省「建設業許可・経営事項審査電子申請システム」を確認してください。
Q11|経審を受ける場合、決算変更届の工事経歴書はどう書けばよいですか?
経審を受ける事業年度の決算変更届は、必ず税抜で工事経歴書を作成 します。税込で作ってしまうと、経審時に税抜への差替が必要になり、審査スケジュールに影響することがあります。事業年度末の段階で経審を受けるかどうか判断し、書式を統一しておくのが実務上の推奨です。
Q12|職務経歴書と工事経歴書で書く内容が重複してもよいですか?
はい、多少の重複は問題ありません。むしろ、職務経歴書には案件一覧の要約を、工事経歴書には各案件の詳細を 書くという役割分担にすると、読み手が両方読んだときに全体像がつかみやすくなります。ただし、まったく同じ表現の繰り返しは避け、職務経歴書では「◯件の物流倉庫を担当」のような要約、工事経歴書では「延床28,000㎡ S造3階の物流倉庫新築を副所長として担当」のような詳細、と書き分けます。
Q13|自己PR欄では、工事経歴のどこを引き取ればよいですか?
自己PR欄では、工事経歴で並べた案件の中から代表1〜2件のエピソード を、STAR法/CAR法で深掘りします。工事経歴の一覧を見た読み手が「詳しく聞きたい」と思うポイントを、自己PRで先回りして詳しく書くイメージです。詳細は施工管理の職務経歴書の書き方の自己PR章で整理しています。
Q14|面接で工事経歴のどこを深掘りされることが多いですか?
現場での判断事例・トラブル対応・工程遅延の回復・原価管理の工夫、が頻出の深掘り領域です。書類に書いた成果(「工程1か月短縮」「実行予算比△2%」等)については、必ず具体的な行動プロセスを答えられるようにしておく 必要があります。書類の数値と面接での説明が一致しないと、案件そのものへの信頼を失います。面接対策全体は施工管理の転職面接対策で整理しています。
Q15|工事経歴書を書いた後、どこに相談すればよいですか?
社内の先輩・上司・退職済みなら過去の同僚に 書いた案件の記憶と整合するか を確認するのが最も精度が高い方法です。守秘義務がクリアできる範囲で、転職エージェント(キャリアアドバイザー)に見せて客観的フィードバックをもらうことも効果的です。エージェント選びは施工管理の転職エージェントおすすめで整理しています。タテルートの無料キャリア相談(LINE)という情報整理の場もあります。
まとめ
- 「工事経歴」の書き方は用途で2種類に分かれる:転職向け(職務経歴書の実績欄・工事経歴書)と、建設業許可・経審向け(様式第二号)。書式・目的・読み手が別物であり、混同すると目的とズレた書類ができる
- 転職向けは案件棚卸し6ステップ(洗い出し→選別→データ再確認→数値裏取り→匿名化→強調整理)から始め、記載7項目テンプレ(工期/発注者区分/工事概要/請負金額/担当役職/担当領域/成果)で書く
- 成果はSTAR法/CAR法で数値化する。QCDS(品質/原価/工程/安全)の観点で、担当範囲内での成果を明確に示す
- 業種別・年代別に書き分ける。建築はRC/S/SRC/木造と延床、土木は工種と数量、電気は容量と系統、管は用途と口径。20代は幅、30代は判断、40代以降はマネジメント規模で強調点を変える
- 建設業許可・経審の様式第二号は7割ルール・税抜表記・記載対象期間の3点が最重要。JCIP電子申請では要件バリデーションが自動で入る
- 職務経歴書全体の書き方は姉妹記事の施工管理 職務経歴書 書き方を参照。本記事は工事経歴・実績欄の書き出しに特化した実務ガイド
工事経歴は、書き終わった後に 応募先を見て書き替える 前提の書類です。1つ書けば終わりではなく、応募先ごとに強調ポイントを組み替える、という運用が実務上の推奨です。書類の作り込みで迷ったら、施工管理の転職エージェントおすすめや施工管理の年収交渉、施工管理の転職フェア活用といった関連記事も参考にしてください。
運営:株式会社ヘルスベイシス・コンストラクション/タテルート編集部
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