電気通信施工管理技士とは、建設業法に基づく国家資格で、光ファイバー幹線・LAN配線・携帯基地局・データセンター内通信設備・防災無線・監視カメラなど、あらゆる電気通信工事の現場で施工計画・工程・品質・安全・原価のQCDS(Quality・Cost・Delivery・Safetyの4大管理)を取り仕切る配置技術者を担うための資格です。2019年に施工管理技士の新区分として創設された比較的新しい資格で、1級は監理技術者の代表的な資格要件、2級は主任技術者として工事現場の配置義務に対応します。
「電気工事施工管理技士とは何が違うのか」「新しい資格だから狙い目なのか」「取得後にどんなキャリアが開けるのか」——5G・データセンター・DX投資で電気通信工事の需要が拡大するなか、通信工事の現場で経験を積んできた技術者、あるいは電気系・情報通信系からのキャリアチェンジを検討する層まで、入り口で迷う論点は共通です。
本記事では、電気通信施工管理技士の建設業法上の位置づけ、令和6年度(2024年度)改正後の受検資格、直近合格率、試験範囲、平均年収と求人レンジ、電気工事施工管理技士や電気通信主任技術者との棲み分け、年代別の取得戦略まで、編集部が一次資料と求人媒体の観測値を突き合わせて整理しました。読み終わる頃には、自分が「いつ」「どの順序で」「どんな現場を狙って」取得するかの判断軸が手元に残ります。
- 先に結論
- この記事で分かること
- 電気通信施工管理技士とは|建設業法上の位置づけと業務範囲
- 電気通信工事の対象範囲|どんな仕事が対象になるか
- 令和6年度改正後の受検資格|第一次と第二次の使い分け
- 直近の合格率と難易度|1級・2級の比較
- 令和8年度の試験日程・申込フロー
- 第一次検定・第二次検定の出題範囲と勉強法
- 電気通信施工管理技士の年収と資格手当
- 電気通信施工管理技士のキャリアパス
- 電気工事施工管理技士・電気通信主任技術者との違い
- 年代別の取得タイミング戦略
- 落ちる典型3パターン
- 独学と通信講座|どちらを選ぶか
- よくある質問
- Q1. 電気通信施工管理技士と電気工事施工管理技士、どちらを取るべきですか?
- Q2. 未経験でも電気通信施工管理技士は取得できますか?
- Q3. 電気通信主任技術者や工事担任者との違いは何ですか?
- Q4. 令和6年度改正で何が変わったのですか?
- Q5. 1級と2級はどちらから取るべきですか?
- Q6. 独学と通信講座、どちらが合格しやすいですか?
- Q7. 電気通信工事施工管理技士の需要は今後も伸びますか?
- Q8. 2024年問題(時間外労働上限規制)は電気通信工事でも適用されていますか?
- Q9. 資格取得の総費用はどれくらいですか?
- Q10. 電気通信工事施工管理技士の平均年収の「552万円」は正確な数字ですか?
- Q11. 電気通信工事施工管理技士が「新しい資格」であることのメリットは何ですか?
- Q12. 「電気通信工事業」の建設業許可を取るのに1級は必須ですか?
- Q13. 受検料や試験日程は毎年変わりますか?
- Q14. 電気通信工事施工管理技士だけで転職市場価値は上がりますか?
- Q15. 女性の受検者は増えていますか?
- まとめ|電気通信施工管理技士は「新しい国家資格」を武器にできる
先に結論
- 電気通信施工管理技士は建設業法に基づく国家資格で、2019年に施工管理技士の新区分として創設。1級は監理技術者の代表的な資格要件、2級は主任技術者として工事現場の配置義務に対応します
- 直近の合格率は 1級第一次69.2%・第二次36.3%(令和7年度/一般財団法人全国建設研修センター公表値)。2級は第一次60〜70%・第二次30〜40%が中央帯で、第一次は7区分の施工管理技士のなかでも比較的通しやすい傾向
- 令和6年度(2024年度)に受検資格が改正され、1級第一次は試験実施年度末で19歳以上、2級第一次は17歳以上であれば学歴・実務経験を問わず受検可能。第二次は実務経験要件が残るため、若手は先に第一次を通すルートが定石です(旧制度受検資格は令和10年度まで経過措置)
- 令和8年度(2026年度)試験は、1級第一次検定が2026年9月6日、第二次検定が2026年12月6日に実施される予定(申込は2026年5月21日で締め切り済み)
- 年収レンジは 編集部が2026年5〜6月に建設・通信系転職メディア6サイト(プレックスジョブ/RSG建設転職/ビルドジョブ/施工管理求人.com/建職バンク/doda)で電気通信工事施工管理職の正社員求人約80件を抽出(重複除外・年収レンジ記載あり)した範囲で500〜750万円が中心帯。1級+通信キャリア元請・大手サブコンの所長クラスでは800万〜1,000万円帯も観測されます(求人観測値・公的統計の集計値ではありません)
- 5G基地局・データセンター・光ファイバー整備・ローカル5G・スマートビルの需要で、電気通信工事の分野は 中長期的に高稼働が続くと業界内では評価されている 一方、有資格者数は他区分に比べて少なく、資格保有者の希少性は当面維持される見込みです
この記事で分かること
- 電気通信施工管理技士の 建設業法上の位置づけ・業務範囲(監理技術者/主任技術者/経審加点)
- 令和6年度改正後の受検資格 と経過措置の使い分け
- 直近合格率と 1級・2級の難易度比較
- 第一次・第二次の 試験内容・出題範囲 と勉強時間の目安
- 取得後の 年収レンジ・キャリアパス と大手・準大手・専門工事のポジション
- 電気工事施工管理技士/電気通信主任技術者/工事担任者 との違いと棲み分け
- 年代別(20代/30代/40代)の 取得タイミング戦略
- 落ちる典型3パターンと 独学/通信講座の選び方
電気通信施工管理技士とは|建設業法上の位置づけと業務範囲
電気通信施工管理技士(正式名称:電気通信工事施工管理技士)は、建設業法に基づく 電気通信工事業の施工管理を担うための国家資格 です。試験実施と免状交付は 一般財団法人全国建設研修センター(国土交通大臣指定試験機関)が担当します。他区分の施工管理技士(建築・土木・電気・管・造園・建設機械)とは試験機関が別である点は、受検準備で押さえておきたい実務ポイントです。
2019年に新設された「7番目」の施工管理技士
電気通信工事施工管理技士は 2019年(平成31年)に第一次検定・第二次検定として新設 されました。これは施工管理技士制度のなかで最も新しい区分で、それ以前は電気通信工事の主任技術者・監理技術者は、電気工事業の資格や電気通信主任技術者などを組み合わせて対応するケースが一般的でした。制度創設の背景には、光ファイバー整備・移動体通信・防災無線・ITインフラ工事など通信領域の技術者を、建設業法上の配置技術者として明確に位置づける必要性がありました。
配置技術者制度における位置づけ
電気通信工事の元請・下請を問わず、すべての建設工事の現場には 主任技術者(すべての工事現場に配置義務がある技術者)の配置が義務付けられています(建設業法第26条)。さらに元請工事のうち下請契約金額の合計が一定額以上となる場合には、監理技術者(元請工事のうち下請契約金額の合計が一定額以上となる現場に配置義務がある技術者)の配置が必要です。配置基準・金額要件は建築一式工事とそれ以外で異なり、定期的に見直されるため、最新の運用は国土交通省「監理技術者制度運用マニュアル」で確認します。
- 1級電気通信工事施工管理技士:監理技術者になれる代表的な資格要件の1つ。元請の特定建設業(元請として一定額以上の下請契約を結ぶ建設業者の許可区分)における専任技術者にも対応
- 2級電気通信工事施工管理技士:主任技術者要件として用いられる代表的な資格。営業所の専任技術者・一般建設業の許可業種要件への対応は、合格区分・実務経験・最新制度の運用を併せて確認
「1級保有者でないと監理技術者になれない」と単純断定はできませんが、電気通信工事業で監理技術者を安定して確保する場合の 最も使いやすい資格 が1級である点は、業界内の共通認識です。
経営事項審査(経審)での加点
公共工事の入札参加に必須の 経営事項審査(経審)(公共工事の入札に必要な、建設業者の経営状況を客観評価する制度)では、技術職員数の評価で1級・2級それぞれが加点対象となります。
- 1級保有者は監理技術者として加点対象
- 2級保有者は主任技術者として加点対象(監理技術者としての加点ではない点は要注意)
加点係数の詳細は国土交通省「経営事項審査」および都道府県の手引で最新値を確認してください。特に 官公需比率の高い通信インフラ工事(防災無線・上下水道監視・道路情報板・気象観測) を扱う会社では、1級電気通信工事施工管理技士の在籍数がそのまま入札適格性に直結します。
電気通信工事の対象範囲|どんな仕事が対象になるか
電気通信工事施工管理技士がカバーする「電気通信工事」の範囲は、建設業法上の29業種のうち 電気通信工事業 に該当します。想像以上に広く、大まかに以下のカテゴリに整理できます。
| 分野 | 主な工事内容 | 発注者・元請の例 |
|---|---|---|
| 通信キャリア設備 | 光ファイバー幹線/基地局/中継設備/ローカル5G | NTT/KDDI/ソフトバンク/楽天モバイル |
| データセンター | ラック内配線/LAN/構内幹線/サーバ設置補助 | クラウド事業者/通建大手/サブコン |
| ビル・施設内通信設備 | LAN/Wi-Fi/PBX/内線/情報コンセント | ゼネコン→通信工事サブコン |
| 監視・防災 | 監視カメラ/入退室/自動火災報知/防災無線 | 官公庁/自治体/鉄道/ゼネコン |
| 交通・インフラ通信 | 道路情報板/トンネル通信/気象観測/上下水道監視 | 国交省/地方整備局/自治体 |
| 放送・鉄道通信 | 地デジ/ケーブルテレビ/列車無線/信号通信 | 放送局/鉄道会社/通建大手 |
このように 通信キャリア案件と社会インフラ案件が両輪 で、景気変動の影響を受けにくい構造がある点は、他区分の施工管理技士と比較したときの特徴です。
現場の1日の流れ(イメージ)
電気通信工事施工管理技士の実務は、原則として 書類・調整・確認が中心 で、実作業を自ら行うことは少ない設計です。朝礼・KY活動(危険予知)で当日の作業内容を職人と共有し、日中は工程進捗と品質確認、資材受け入れ、発注者・元請との打合せに時間を割き、夕方以降は写真整理・施工要領書・出来形管理資料の作成に充てるサイクルが一般的です。データセンターや通信キャリアの案件では 夜間・休日切替作業 も一定数あり、現場ごとに勤務パターンが変わる点は事前に把握しておきたい論点です。
令和6年度改正後の受検資格|第一次と第二次の使い分け
2024年度(令和6年度)から施工管理技術検定の受検資格が改正 されました。旧制度の「学歴+実務経験年数の組み合わせ」で決まる仕組みは大きく整理され、第一次検定は年齢要件を中心に受検しやすくなり、第二次検定に実務経験要件が残る設計に変わりました。詳細は試験機関の最新案内(一般財団法人全国建設研修センター(電気通信工事))で必ず確認してください。
1級の受検資格(改正後)
| 検定 | 受検資格の要点 |
|---|---|
| 第一次検定 | 試験実施年度の末日(3月31日)時点で 満19歳以上 であれば、学歴・実務経験を問わず受検可能 |
| 第二次検定 | 1級第一次検定合格後、原則として 5年以上の実務経験(他区分の1級・監理技術者補佐など特定条件で1年〜3年ルートあり)を積んで受検 |
新制度では 「第一次検定は早めに通しておき、実務経験を積みながら第二次を狙う」 段取りが定石になりました。実務経験のカウント方法・特例ルートの適用は、必ず全国建設研修センターの受検の手引の最新版で個別確認してください。
2級の受検資格(改正後)
| 検定 | 受検資格の要点 |
|---|---|
| 第一次検定 | 試験実施年度の末日(3月31日)時点で 満17歳以上 であれば、学歴・実務経験を問わず受検可能 |
| 第二次検定 | 2級第一次検定合格後、最短1年以上 の実務経験(種別・学歴により異なる) |
高校生・大学生・専門学校生でも2級第一次に挑戦できる設計で、電気通信・情報通信系の学科では在学中の受検が徐々に定着しつつあります。
経過措置
旧制度の受検資格でも令和10年度(2028年度)まで受検申込ができる 経過措置が設けられています。旧制度で学歴・実務経験年数の要件をすでに満たしている人は、新旧どちらの資格で申し込むか、直近年度で自分に有利な方を選ぶ判断が必要です。改正内容は施行から時間が経つと運用細則がアップデートされる可能性があるため、受検年度の受検の手引で最新版を確認してください。
直近の合格率と難易度|1級・2級の比較
令和7年度の合格率(直近公表値)
令和7年度(2025年度)の合格率は、一般財団法人全国建設研修センターの公表値ベースで以下のレンジに整理されます。年度により5〜15ポイント程度振れるため、単年度の数字だけで難易度を評価しないことがポイントです。
| 級 | 検定 | 令和7年度合格率 | 過去数年のレンジ |
|---|---|---|---|
| 1級 | 第一次検定 | 69.2% | おおむね40〜70% |
| 1級 | 第二次検定 | 36.3% | おおむね30〜45% |
| 2級 | 第一次検定 | 60〜70%レンジ | おおむね60〜70% |
| 2級 | 第二次検定 | 30〜40%レンジ | おおむね30〜40% |
難易度の位置づけ
- 第一次検定は施工管理技士7区分のなかで比較的通しやすい傾向:受検母集団が実務経験者中心で、通信・情報系の予備知識がある層に有利。学習時間の目安は独学で 1級200〜300時間/2級100〜150時間(学習量の一般的な整理値。個人差が大きい)
- 第二次検定は経験記述の完成度で明暗:施工経験記述(自分が担当した電気通信工事について、工程・品質・安全のいずれかから課題と対策を書き上げる形式)が合否を左右します。第一次より合格率が下がる理由の大半はここに集約されます
- 他資格との比較:偏差値換算では55前後とされることが多く、電気工事施工管理技士1級・1級管工事施工管理技士と近い水準。1級建築施工管理技士(第二次40%前後)とほぼ同等かやや通しやすい傾向
正答率60%が原則の合格基準ですが、問題ごとに配点や基準点が設定されている場合もあります。詳細は各年度の受検の手引で確認してください。
令和8年度の試験日程・申込フロー
令和8年度(2026年度)の1級試験日程は次の通りです(2026年7月時点で全国建設研修センターが公表している予定)。
| 区分 | 実施予定日 |
|---|---|
| 1級 第一次検定 | 2026年9月6日 |
| 1級 第二次検定 | 2026年12月6日 |
| 申込受付期間 | 2026年5月13日〜5月21日(受付終了済み) |
2級試験の日程は年に2回(前期・後期)実施されるケースが多いため、詳細は全国建設研修センター(2級電気通信工事)の年度案内で確認してください。申込は年1回、年度初め(5月頃)が中心 です。翌年度分は例年、令和8年度(2026年度)の合否発表後(第二次検定は2027年3月頃)に案内が出るため、次年度以降を狙う場合はカレンダーに登録しておくと安心です。
第一次検定・第二次検定の出題範囲と勉強法
第一次検定の出題範囲
第一次検定はマークシート形式で、以下の分野から出題されます。
- 電気通信工学:有線通信・無線通信・電磁波・伝送方式の基礎
- 情報通信ネットワーク:LAN/WAN/プロトコル/IPネットワーク/モバイル通信
- 通信線路:光ファイバー/メタルケーブル/敷設方法/試験測定
- 通信機器:交換機/伝送装置/基地局装置/サーバ
- 無線・放送:地デジ/衛星通信/移動通信/防災無線
- 設計・積算:工事費積算/設計図書
- 法規:建設業法/電気通信事業法/労働基準法/労働安全衛生法
- 施工管理:工程/品質/安全/原価
- 応用能力問題(1級のみ):計算問題を含む応用問題
学習の入り口としては、市販の過去問題集を 直近5年分反復 するのが最短ルートです。特に施工管理の実務経験がある受検者は、施工管理・法規で得点を稼ぎ、電気通信工学・通信線路など専門色の強い分野で 6割ライン を確保する戦略が現実的です。
第二次検定の攻略ポイント
第二次検定は記述式で、以下の構成です。
- 施工経験記述:自分が担当した電気通信工事について、工程管理・品質管理・安全管理から出題テーマに沿って課題と対策を記述
- 専門知識:通信線路・無線・法規・施工管理の記述問題
- 計算・応用:計算問題や図表を読み取る応用問題(1級)
最大のヤマは施工経験記述 で、書き方が悪いと専門知識でどれだけ得点しても合格点に届かないケースがあります。押さえたいのは次の4点です。
- 担当工事の記述:工事名・発注者・工期・自分の立場(現場代理人/主任技術者候補/担当技術者など)・工事概要を、事実ベースで具体的に書く
- 課題設定の明確化:「工程管理」「品質管理」「安全管理」から出題テーマに沿った課題を1つに絞り、なぜ課題化したかを1〜2文で明示
- 対策の具体性:「〇〇を実施した」だけでなく、数値目標・比較検討・実施結果まで書き切る
- 添削を受ける:可能なら実務経験のある1級保有者や通信講座の添削サービスで、書き上げた原稿を 2〜3回添削 する
過去問題は全国建設研修センターの公式サイトで数年分公開されており、参考書・通信講座でも取り上げられます。書き方の型を早い段階で身につけ、繰り返し練習することが合格の近道です。
電気通信施工管理技士の年収と資格手当
求人観測値ベースの年収レンジ
編集部が 2026年5〜6月 に、建設・通信系の転職メディア6サイト(プレックスジョブ/RSG建設転職/ビルドジョブ/施工管理求人.com/建職バンク/doda)で 電気通信工事施工管理職の正社員求人約80件 を抽出(対象:正社員/中途採用/首都圏・関西圏・地方政令市/年収レンジ記載あり/紹介予定派遣と業務委託は除外/重複除外)した範囲では、年収レンジは以下の分布でした。
| 保有資格・ポジション | 年収レンジ(求人観測値) |
|---|---|
| 資格未取得・実務経験3〜5年 | 400〜550万円 |
| 2級電気通信工事施工管理技士 | 450〜650万円 |
| 1級電気通信工事施工管理技士 | 550〜850万円 |
| 1級+大手サブコン・通信キャリア元請の所長クラス | 800〜1,100万円 |
これは 求人媒体の年収レンジ記載を集計した観測値 であり、公的統計の平均値ではありません。同じ「1級保有者」でも、企業規模・地域・元請/下請ポジション・現場責任範囲で数百万円単位の差が出ます。参考として建職バンクの集計では、1級電気通信工事施工管理技士の平均年収を 552万円 と紹介する記事もあり、求人観測値の中央帯と概ね整合しています。
資格手当の実勢
編集部の同時期の求人観測(年収と別に手当を明示している約40件)では、電気通信工事施工管理技士の資格手当は次のレンジにありました。
| 資格 | 資格手当(月額の観測レンジ) |
|---|---|
| 2級電気通信工事施工管理技士 | 5,000〜15,000円 |
| 1級電気通信工事施工管理技士 | 20,000〜50,000円 |
年間で 24〜60万円の年収差 がつく計算で、資格取得コスト(受検料+参考書または通信講座で数万〜十数万円)は1〜2年で回収可能です。手当は企業・地域で差があるため、面接段階で必ず具体額を確認します。
電気通信施工管理技士のキャリアパス
キャリアパス5ルート
1級を取得した後のキャリア展開は、大きく5ルートに整理できます。
- 通建大手・通信キャリア元請での所長キャリア:NTT系・KDDI系・ソフトバンク系の通建元請では、1級+実務経験10年以上で作業所長・工事長のキャリアが開けます。1都市の光幹線工事・基地局展開・ローカル5G構築などの大型案件で経験値が積める
- サブコン(電設サブコン・通信サブコン)の技術部長・営業技術:数十〜数百人規模の専門工事会社で、営業技術・見積・現場管理を横断する立場。1級保有者は営業所専任技術者としても評価されます
- データセンター・クラウド事業者の設備管理・工事管理:クラウド事業者・DC運営会社が自社で工事管理職を採用するケースも増えています。設備新設・増床・キャリア接続工事の窓口として、通信×建築×電気の横断知識が武器
- 発注者側(官公庁・鉄道・電力・自治体)の技術職:防災無線・道路情報・上下水道監視の発注者側で、電気通信施工管理技士の資格を評価する自治体もあります。転職難度は高いが、働き方の安定性は高水準
- 独立・フリーランス:1級+豊富な実務経験で、通建協力会社・電設協力会社として独立するルート。単発の応援施工から始め、法人化・許可取得(電気通信工事業)へ発展させる例もあります
電気工事施工管理技士・電気通信主任技術者との違い
電気通信施工管理技士と混同されやすい資格を整理します。
| 資格 | 位置づけ | 主な役割 |
|---|---|---|
| 電気通信工事施工管理技士(本記事) | 建設業法(国交省) | 電気通信工事の 施工管理(配置技術者) |
| 電気工事施工管理技士 | 建設業法(国交省) | 電気工事の 施工管理(配置技術者) |
| 電気通信主任技術者 | 電気通信事業法(総務省) | 電気通信事業者の設備の 工事・維持・運用の監督 |
| 工事担任者(AI・DD総合種など) | 電気通信事業法(総務省) | 端末設備・自営電気通信設備を 電気通信回線に接続する工事 |
| 電気工事士(第一種・第二種) | 電気工事士法(経産省) | 電気工作物の 工事に従事する ための資格 |
役割の違いを整理すると次のようになります。
- 電気工事施工管理技士 は照明・動力・受変電など「電力を扱う設備工事」の施工管理、電気通信工事施工管理技士 は光ファイバー・LAN・無線など「通信信号を扱う工事」の施工管理を担当します。建設業許可業種でも「電気工事業」と「電気通信工事業」は別区分です
- 電気通信主任技術者 は通信キャリア(電気通信事業者)の設備を監督する立場で、施工管理技士のような 現場の配置技術者 とは制度上の役割が異なります。「工事に従事する側」ではなく「事業者側の設備監督」がベースです
- 工事担任者 は端末設備・自営電気通信設備の接続工事に従事する資格で、電気通信工事の実作業側の位置づけです
役割が重ならないため、併取するとキャリアの幅が広がる 設計です。特に「電気通信工事施工管理技士 + 電気通信主任技術者」の併取は、通建元請・キャリア工事会社で高く評価される組み合わせで、詳細は関連記事電気工事施工管理技士の難易度とキャリア|1級2級合格率と年収比較も参考にしてください。
年代別の取得タイミング戦略
20代|早期に第一次を通し、第二次に備えて実務を積む
20代前半で電気通信・情報通信系の学科出身なら、在学中に2級第一次 を通しておくと就職活動で強力な武器になります。20代後半では実務経験を積みながら1級第一次に挑戦し、5年経過後に第二次を狙うタイムラインが標準です。詳しい20代向けの資格戦略は施工管理未経験の20代転職ガイドでも整理しています。
30代|1級取得で年収レンジを一段上げる
30代前半までに1級を取得できると、大手サブコン・通建元請への転職市場で 明確な武器 になります。実務経験5年以上を持つ層は、経験記述の題材が豊富なぶん第二次で有利です。年収レンジを一段上げたい層は、施工管理の転職ガイドや転職エージェント選び方と併読すると、資格取得後の動き方が具体化します。
40代|監理技術者・所長候補としての希少性で差別化
40代で1級を取得するケースは、実務経験は十分だが資格取得を後回しにしていた層が中心です。1級電気通信工事施工管理技士は 有資格者が他区分より少ない ため、40代であっても監理技術者候補・所長候補としての希少性は高く、地方・地場の通建工事会社での需要は根強く残ります。
落ちる典型3パターン
パターン1|経験記述が「作業日誌」になる
第二次検定で 最も多い不合格要因 です。担当工事の記述が抽象的で、課題設定と対策の因果関係が薄いと、専門知識でどれだけ得点しても合格点に届きません。対策は、書き上げた原稿を 1級保有者や通信講座の添削サービスで2〜3回添削 することです。
パターン2|第一次で法規・施工管理を落とす
電気通信工学・通信線路など専門色の強い分野に集中しすぎ、法規と施工管理を軽視すると足元をすくわれます。法規と施工管理は「取れる問題」 で、直近5年の過去問を反復すれば得点源にできます。学習配分は、専門50%/施工管理・法規40%/計算・応用10%を目安に設計します。
パターン3|経過措置を過信して旧制度で申し込むタイミングを外す
旧制度受検資格は令和10年度まで経過措置がありますが、細則は改正が続いています。「まだ経過措置がある」と後回しにするうちに実務経験のカウント範囲が変わることもあるため、受検年度の受検の手引を毎年確認する 習慣を持つことが大事です。
独学と通信講座|どちらを選ぶか
| 学習方法 | 費用の目安 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 独学(市販テキスト+過去問) | 1〜3万円 | 実務経験5年以上/通信系学科出身/学習習慣あり |
| 通信講座(映像+添削) | 5〜15万円 | 経験記述に不安がある/独学挫折経験あり/効率重視 |
| 予備校(通学+直前対策) | 15〜30万円 | 短期集中で仕上げたい/講師に直接質問したい |
独学で通すコツ は、市販の過去問題集を直近5年分反復し、経験記述だけは会社の1級保有者に見てもらう「ハイブリッド運用」です。通信講座を選ぶメリット は、添削サービスと最新の法改正対応で、特に第二次対策で効いてきます。予算・学習時間・実務経験のバランスで選択します。
よくある質問
Q1. 電気通信施工管理技士と電気工事施工管理技士、どちらを取るべきですか?
日常業務が 通信工事中心(光ファイバー/LAN/基地局/DC構内など) なら電気通信工事施工管理技士、電力設備工事中心(受変電/動力/照明) なら電気工事施工管理技士が本命です。両方の現場に関わる場合は、実務経験を積みやすい方から取得し、キャリアの中で併取を目指すと年収レンジを大きく引き上げられます。
Q2. 未経験でも電気通信施工管理技士は取得できますか?
2級第一次検定は17歳以上なら誰でも受検可能、1級第一次検定も試験実施年度末に19歳以上であれば受検できます。ただし第二次検定には実務経験が必要なので、「未経験で採用→現場で経験を積みつつ第一次を通す」流れが現実的です。未経験で施工管理職を目指す入り口は施工管理未経験の転職ガイドにまとめています。
Q3. 電気通信主任技術者や工事担任者との違いは何ですか?
電気通信主任技術者と工事担任者は 電気通信事業法(総務省所管) の資格で、電気通信事業者の設備監督・工事従事に位置づけられます。電気通信工事施工管理技士は 建設業法(国交省所管) の資格で、建設工事の配置技術者です。役割・所管が異なるため併取が有効で、キャリアの幅を広げやすい組み合わせです。
Q4. 令和6年度改正で何が変わったのですか?
第一次検定の学歴・実務経験要件が撤廃され、年齢要件のみになりました。第二次検定は実務経験要件が残っていますが、必要年数の数え方は整理され、「第一次検定合格後の実務経験」がベースになります。旧制度受検資格でも令和10年度まで経過措置があります。
Q5. 1級と2級はどちらから取るべきですか?
実務経験が乏しい20代前半は2級から が定石です。第一次だけでも合格しておくと就職・転職市場で武器になります。実務経験が5年以上ある層はいきなり1級第一次に挑戦 し、5年経過後に第二次を狙う方が効率的です。年代・経験値・会社の資格取得支援制度を踏まえて判断します。
Q6. 独学と通信講座、どちらが合格しやすいですか?
第一次検定は独学でも十分に届く水準です。第二次検定は 経験記述の添削環境がある通信講座が合格率を押し上げやすい 傾向があります。実務経験の題材が豊富で、社内で1級保有者に添削を頼めるなら独学でも問題ありません。学習時間の確保が難しい社会人は、通信講座の「答練付き」プランを検討すると効率的です。
Q7. 電気通信工事施工管理技士の需要は今後も伸びますか?
5G基地局展開・データセンター増設・光ファイバー整備・ローカル5G・IoTインフラの拡大により、電気通信工事の需要は中長期的に高稼働が続くと業界内では評価されている 分野です。加えて、通建業界の技術者は高齢化が進み、若手の1級有資格者は希少性が高い状況が続く見込みです。詳細は施工管理は将来なくなるのかで建設業全体の将来性と併せて整理しています。
Q8. 2024年問題(時間外労働上限規制)は電気通信工事でも適用されていますか?
2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用されています。原則は 月45時間/年360時間、特別条項付き36協定がある場合でも 年720時間以内、時間外労働と休日労働の合計で 単月100時間未満/複数月平均80時間以内 が上限です。違反企業には 6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金 が科されます(出典:厚生労働省「時間外労働の上限規制」)。災害復旧・復興工事には一部の制限緩和特例があります。電気通信工事の現場もこの規制の対象で、電力・通信キャリアの元請では早くから遵守体制が整えられています。
Q9. 資格取得の総費用はどれくらいですか?
1級電気通信工事施工管理技士の場合、受検料は 第一次13,000円/第二次13,000円(時期により改定あり/全国建設研修センター公表値)。参考書・過去問題集で2〜3万円、通信講座を利用すれば追加で5〜15万円が目安です。独学なら 3〜4万円、通信講座利用なら 10〜20万円 の総費用となります。会社の資格取得支援制度(受検料補助・合格祝金・書籍購入補助)を積極的に活用してください。
Q10. 電気通信工事施工管理技士の平均年収の「552万円」は正確な数字ですか?
これは民間の建設業界向け求人媒体(建職バンク)が保有求人の集計値として紹介している参考値で、公的統計の平均値ではありません。1級電気通信工事施工管理技士の平均年収を正確に算定した公的統計は存在せず、求人媒体の観測レンジ/有価証券報告書の全社員平均値/賃金構造基本統計調査の関連職種(電気通信技術者)平均値 を組み合わせて把握するのが実務的です。編集部の求人観測値では、1級保有で550〜850万円、大手所長クラスで800〜1,100万円のレンジが中心帯でした。
Q11. 電気通信工事施工管理技士が「新しい資格」であることのメリットは何ですか?
2019年新設のため有資格者数が他区分より少なく、資格保有者の希少性が高い ことがメリットです。同水準の実務経験なら、電気工事施工管理技士1級より年収オファーが高いケースも観測されます。一方、参考書・過去問題集の蓄積は他区分より少ないため、通信講座を活用する受検者の割合が比較的高い傾向があります。
Q12. 「電気通信工事業」の建設業許可を取るのに1級は必須ですか?
一般建設業と特定建設業で要件が異なります。一般建設業は主任技術者要件(2級電気通信工事施工管理技士+実務経験など)で対応できますが、特定建設業の許可を取るには1級電気通信工事施工管理技士など、監理技術者になれる資格が実質的に必須 です。会社が特定建設業許可を目指しているなら、1級取得は会社としての要請にもなります。詳細は国交省「建設業許可制度」で確認してください。
Q13. 受検料や試験日程は毎年変わりますか?
受検料は数年に一度改定 されることがあり、試験日程は年度ごとに公表されます。令和8年度(2026年度)は1級第一次が2026年9月6日、第二次が2026年12月6日です。翌年度以降の日程は例年、当年度の第二次合格発表後(2027年3月頃)に案内が出るため、全国建設研修センターの公式サイトを定期的に確認してください。
Q14. 電気通信工事施工管理技士だけで転職市場価値は上がりますか?
1級を取得すれば通建業界での市場価値は明確に上がります。特に監理技術者候補・作業所長候補としての需要は継続しており、大手通建元請・通信キャリア子会社・電設サブコンで年収オファーが底上げされる傾向があります。ただし、資格だけでは不十分で、担当した工事規模・元請/下請の立ち位置・マネジメント経験の3点セットが評価軸になります。転職を本格化する前段の情報整理には、施工管理のキャリアパスや建設業の資格おすすめランキングも参考になります。
Q15. 女性の受検者は増えていますか?
電気通信工事は他の建設分野に比べて 高所作業や重量物ハンドリングの比率が低く、女性の参入余地が大きい 分野の1つです。LAN工事・DC内配線・監視カメラ設置など屋内作業比率が高い案件では、女性技術者が現場管理を担うケースも徐々に増えています。全国建設研修センターの合格者集計では女性受検者数が公表されない年度もあるため、増加傾向は感覚値ですが、業界誌・通建大手のリクルート情報から見て継続的に伸びていると評価できます。
まとめ|電気通信施工管理技士は「新しい国家資格」を武器にできる
- 電気通信施工管理技士は2019年新設の国家資格で、1級は監理技術者、2級は主任技術者として工事現場の配置義務に対応する建設業法上の位置づけ
- 令和6年度改正で第一次検定は年齢要件のみ(1級19歳以上/2級17歳以上)となり、若手・未経験層も受検しやすくなった。第二次は実務経験が必須
- 直近合格率は 1級第一次69.2%・第二次36.3%(令和7年度/全国建設研修センター公表値)。第一次は7区分のなかで比較的通しやすく、第二次は経験記述の完成度で明暗が分かれる
- 求人観測値ベースの年収レンジは 1級で550〜850万円、大手所長クラスで800〜1,100万円 が中心帯。資格手当は1級で月20,000〜50,000円が目安
- 5G・DC・光ファイバー・防災無線・ローカル5Gの需要拡大で、電気通信工事の分野は中長期的に高稼働が続くと業界内では評価されている。有資格者の希少性も当面維持される見込み
- 電気工事施工管理技士/電気通信主任技術者/工事担任者との併取 でキャリアの幅が広がる。役割が重ならないため、併取は年収レンジの底上げに直結
次のアクションとして、20代・30代の若手層は 早期に第一次を通し、実務経験を積みながら第二次に備える のが定石です。40代以降で実務経験が十分な層は、1級取得を年収レンジと責任範囲の再交渉カードとして活用できます。個別のキャリア戦略や、通建大手・通信キャリア元請・DC事業者への転職動線を整理したい方は、タテルートの無料キャリア相談(LINE)という情報整理の場を検討材料に加えてください。
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